診療報酬

入院基本料及び特定入院料には、それぞれの医療機関の機能等に応じて算定可能な各種加算が設定されています。これを「入院基本料等加算」といいます。

今回の改定では、「特定感染症入院医療管理加算」「小児緩和ケア診療加算」「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」「バイオ後続品使用体制加算」「精神科入退院支援加算」「医療的ケア児(者)入院前支援加算」「協力対象施設入所者入院加算」が新設されました。

急性期充実体制加算 (1日につき)

手術や救急医療等の高度・専門的な急性期医療の提供体制を確保している医療機関を評価している加算です。対象は急性期一般入院料1の届出医療機関に限られ、手術等の実績要件などが設定されています。

今回の改定により、手術等の実績に応じて、加算1と加算2に区分されました。これに合わせて、手術の実績等の扱いも見直され、「300床未満の病院」に設定されていた特例も廃止されました。また、新たな施設基準として「救急時医療情報閲覧機能を有していること」が追加(2025年4月1日以降に適用)されました。

【急性期充実体制加算の点数】

急性期充実体制加算1
(1日につき、14日限度)
7日以内の期間 440点
8日以上11日以内の期間 200点
12日以上14日以内の期間 120点
急性期充実体制加算2
(1日につき、14日限度)
7日以内の期間 360点
8日以上11日以内の期間 150点
12日以上14日以内の期間 90点

【主な施設基準】

〈加算1・2共通〉
  • 急性期一般入院料1の届出
  • 以下のいずれかを満たす
    1. ア)
      救命救急センター又は高度救命救急センターを有する
    2. イ)
      救急用自動車又は救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が年間2,000件以上、又は許可病床数300床未満の医療機関は1床当たり年間6.0件以上
  • 精神科の体制として、自院又は他院の精神科医が速やかに診療に対応できる体制を常時整備している。また、精神疾患診療体制加算2の算定件数又は救急搬送患者の入院3日以内における入院精神療法もしくは救命救急入院料の精神疾患診断治療初回加算の算定件数が合計で年間20件以上
  • 救急時医療情報閲覧機能を有している(2025年4月1日以降に適用)
  • 救命救急入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料、新生児特定集中治療室管理料、総合周産期特定集中治療室管理料、新生児治療回復室入院医療管理料のいずれかの届出
  • 感染対策向上加算1の届出
  • 画像診断及び検査を24時間実施できる体制を確保
  • 薬剤師が夜間当直を行うことにより、調剤を24時間実施できる体制を確保
  • 急性期一般入院料1の届出病棟では、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱを用いて評価を行っている
  • 精神科リエゾンチーム加算又は認知症ケア加算1又は2の届出
  • 入院患者の病状の急変の兆候を捉えて対応する体制として「院内迅速対応チーム」の整備等を行っている
  • 外来を縮小する体制を確保している
  • 療養病棟入院基本料又は地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料の届出を行っていない
  • 一般病棟の病床数が、許可病床数から精神病棟の病床を除いた病床数の9割以上である
  • 同一建物内に特養、老健施設、介護医療院を設置していない
  • 特定の保険薬局と不動産取引等その他の特別な関係がない
  • 一般病棟の平均在院日数が14日以内
  • 一般病棟の退棟患者(退院を含む)に占める、同一医療機関の一般病棟以外の病棟に転棟したものの割合が1割未満
  • 入退院支援加算1又は2の届出
  • 敷地内禁煙である
  • 日本医療機能評価機構等が行う医療機能評価を受けている
  • 総合入院体制加算の届出を行っていない
〈加算1(手術等の実績基準)〉
  1. 以下のア及びイからキまでのうち5つ以上を満たす
    1. ア)
      全身麻酔による手術2,000件/年以上(うち、緊急手術350件/年以上)
    2. イ)
      悪性腫瘍手術400件/年以上
    3. ウ)
      腹腔鏡下手術又は胸腔鏡下手術400件/年以上
    4. エ)
      心臓カテーテル法による手術200件/年以上
    5. オ)
      消化管内視鏡による手術600件/年以上
    6. カ)
      化学療法の実施1,000件/年以上
    7. キ)
      心臓胸部大血管の手術100件/年以上(2024年3月31日時点の届出医療機関は26年5月31日までは経過措置)
  2. ①のカを満たしているものとして届出を行っている場合、外来における化学療法の実施を推進する体制として、次のいずれにも該当する(2024年3月31日時点の届出医療機関は25年5月31日まで経過措置)
    1. ア)
      外来腫瘍化学療法診療料1の届出
    2. イ)
      化学療法を実施した患者全体に占める外来での実施割合6割以上
〈加算2(手術等の実績基準)〉
  1. 次のいずれかを満たし、かつ加算1の①のア及びイからキまでのうち2つ以上を満たす
    1. ア)
      異常分娩の件数が50件/年以上
    2. イ)
      6歳未満の乳幼児の手術件数が40件/年以上
  2. 加算1の①のカを満たしているものとして届出を行っている場合、加算1の②を満たす
2024年3月31日時点での届出医療機関のうち、許可病床300床未満の医療機関は、26年5月31日までは手術等の実績については改定前の例による

急性期充実体制加算への加算としては、精神疾患患者に対する充実した受入体制を評価した「精神科充実体制加算」(30点)がありますが、今回の改定で「小児・周産期・精神科充実体制加算」が新設されました。

小児・周産期・精神科充実体制加算
急性期充実体制加算1の場合 90点
急性期充実体制加算2の場合 60点

充実した小児、妊産婦、精神疾患の患者の受け入れ体制を整備している場合の加算です。それぞれの区分に応じて急性期充実体制加算にさらに加算できます。

【主な施設基準】

  • 次のいずれも満たす
    1. 異常分娩の件数が50件/年以上
    2. 6歳未満の乳幼児の手術件数が40件/年以上
    3. 次のいずれも満たす
      1. ア)
        精神病床を有している
      2. イ)
        精神疾患の患者に対し、24時間対応できる体制を確保
      3. ウ)
        精神病棟入院基本料、精神科救急急性期医療入院料、精神科急性期治療病棟入院料、精神科救急・合併症入院料、児童・思春期精神科入院医療管理料、精神科地域包括ケア病棟入院料、地域移行機能強化病棟入院料のいずれかの届出を行っており、現に精神疾患患者の入院を受け入れている

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