特定疾患治療管理料
特定薬剤治療管理料1
470点(月1回)
特定の薬剤を投与している特定の疾患の患者に対し、薬物血中濃度を測定して投与量を精密に管理した場合に算定します。月1回470点の算定が原則ですが、次のように算定方法が異なる場合もあります。
【算定方法が異なる場合(加算を含む)】
- ジギタリス製剤の急速飽和を行った場合又はてんかん重積状態の患者に対して、抗てんかん剤の注射等を行った場合は1回限り740点を算定
- 抗てんかん剤又は免疫抑制剤を投与している患者以外は、4カ月目以降は所定点数の50%で算定
- てんかん患者で、抗てんかん剤を2種類以上投与している場合、同一暦月に血中の複数の抗てんかん剤の濃度測定を行い、個々の投与量を精密に管理した場合は、当該月に2回に限り所定点数を算定
- 臓器移植後の患者に免疫抑制剤の投与を行った場合は、移植後3カ月以内に限り2,740点を加算
- バンコマイシンを投与している入院患者に対し、血中のバンコマイシンの濃度を複数回測定し、その測定結果に基づき、投与量を精密に管理した場合は、1回に限り530点を加算
- 前記の臓器移植後の患者、バンコマイシンを投与している入院患者以外の患者には初回月に280点を加算
- ミコフェノール酸モフェチル又はエベロリムスを投与している臓器移植後の患者で、2種類以上の免疫抑制剤を投与されている患者に、同一暦月に血中の複数の免疫抑制剤の濃度を測定し、その測定結果に基づき、個々の投与量を精密に管理した場合は、ミコフェノール酸モフェチル投与患者は6カ月に1回限り、エベロリムス投与患者は初回月を含め3カ月に限り月1回、4カ月目以降は4カ月に1回に限り、250点を加算
対象となる疾患・薬剤は次のとおりです。
対象疾患・患者 | 対象薬剤 |
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心疾患 | ジギタリス製剤 |
てんかん | 抗てんかん剤 |
臓器移植術を受けた患者 | 拒否反応の抑制を目的として投与される免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス水和物、エベロリムス、ミコフェノール酸モフェチル) |
気管支喘息、喘息性(様)気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫、未熟児無呼吸発作 | テオフィリン製剤 |
不整脈 | 以下の不整脈用剤を継続的に投与している場合プロカインアミド、N-アセチルプロカインアミド、ジソピラミド、キニジン、アプリンジン、リドカイン、ピルジカイニド塩酸塩、プロパフェノン、メキシレチン、フレカイニド、シベンゾリンコハク酸塩、ピルメノール、アミオダロン、ソタロール塩酸塩、ベプリジル塩酸塩 |
統合失調症 | ハロペリドール製剤、ブロムペリドール製剤 |
躁うつ病 | リチウム製剤 |
躁うつ病又は躁病 | バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピン |
ベーチェット病の患者であって活動性・難治性眼症状を有するもの又はその他の非感染性ぶどう膜炎(既存治療で効果不十分で、視力低下のおそれのある活動性の中間部又は後部の非感染性ぶどう膜炎)、再生不良性貧血、赤芽球癆、尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、関節症性乾癬、全身型重症筋無力症、アトピー性皮膚炎(既存治療で十分な効果が得られない患者)、ネフローゼ症候群、川崎病の急性期 | シクロスポリン |
全身型重症筋無力症、関節リウマチ、ループス腎炎、潰瘍性大腸炎、間質性肺炎(多発性筋炎又は皮膚筋炎に合併するもの) | タクロリムス水和物 |
若年性関節リウマチ、リウマチ熱、慢性関節リウマチ | サリチル酸系製剤(継続的に投与) |
悪性腫瘍 | メトトレキサート |
結節性硬化症 | エベロリムス |
右記薬剤を数日間以上投与している入院中の患者 | アミノ配糖体抗生物質、グリコペプチド系抗生物質(バンコマイシン、テイコプラニン)、トリアゾール系抗真菌剤(ボリコナゾール) |
重症又は難治性真菌感染症又は造血幹細胞移植 | トリアゾール系抗真菌剤(造血幹細胞移植の場合は深在性真菌症の予防目的に限る) |
イマチニブを投与している患者 | |
リンパ脈管筋腫症 | シロリムス製剤 |
腎細胞癌 | スニチニブ(抗悪性腫瘍剤として) |
片頭痛 | バルプロ酸ナトリウム |
統合失調症 | 治療抵抗性統合失調症治療薬(クロザピン) |
ブスルファンを投与している患者 |
特定薬剤治療管理料2 100点(月1回)
特定薬剤治療管理料2は、サリドマイド及びその誘導体を投与している患者について、服薬に係る安全管理の遵守状況を確認し、その結果を所定の機関に報告する等により、投与の妥当性を確認した上で、必要な指導等を行った場合に月1回に限り算定します。
小児特定疾患カウンセリング料
乳幼児期、学童期の特定の疾患の患者及びその家族に対し、日常生活の環境などに十分配慮したうえで治療計画に基づくカウンセリングを行った場合を評価しています。(イ)は小児科又は心療内科の医師が行った場合、(ロ)は医師の指示のもとに公認心理師が実施した場合に算定できます。
今回の改定では、児童思春期の精神疾患の支援を充実する観点から評価が細分化されるとともに、「情報通信機器を用いた場合」が新設されました。
小児特定疾患カウンセリング料 ( )内は情報通信機器を用いた場合の点数 |
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(イ)医師による場合 | 初回 | 800点(696点) | |
初回カウンセリング日から1年以内 | 月の1回目 | 600点(522点) | |
月の2回目 | 500点(435点) | ||
初回カウンセリング日から2年以内 | 月の1回目 | 500点(435点) | |
月の2回目 | 400点(348点) | ||
初回カウンセリング日から4年以内 | 400点(348点) | ||
(ロ)公認心理師による場合 | 200点 |
対象疾患等は気分障害、神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害(小児心身症を含む。また、喘息や周期性嘔吐症等の状態が心身症と判断される場合は対象となる)、生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群(摂食障害を含む)、心理的発達の障害(自閉症を含む)、小児期又は青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(多動性障害を含む)です。なお、登校拒否の者、家族や同居人から虐待を受けている者(疑いを含む)も含みます。
がん性疼痛緩和指導管理料
200点(月1回)
がん性疼痛の症状緩和のために麻薬を投与している患者に対し、医師がWHO方式のがん性疼痛の治療法に従って、計画的な治療管理や指導を行った場合を評価した管理料です。患者が15歳未満の場合は「小児加算」(50点)を加算できます。また、情報通信機器を用いた場合は174点を算定できます。
今回の改定で点数には変更ありませんでしたが、介護老人保健施設の入所者にも算定できることになりました。また、加算として、「難治性がん性疼痛緩和指導管理加算」が新設されました。
難治性がん性疼痛緩和指導管理加算
100点(1回限り)
がん性疼痛緩和のために専門的な治療が必要な患者に対する、説明や情報提供等を評価した新設加算です。具体的には、がん疼痛の症状緩和を目的とした放射線治療及び神経ブロック等の療法について、患者や家族等が十分に理解し、納得した上で治療方針を選択できるように文書を用いて説明を行った場合に、患者1人につき1回限り算定できます。
【主な施設基準】
- ①高エネルギー放射線治療の届出を行っている
- ②神経ブロック(神経破壊剤、高周波凝固法又はパルス高周波法使用)を年間合計10例以上実施している
- ③がん性疼痛の症状緩和を目的とした放射線治療及び神経ブロックをがん患者に提供できる体制について、医療機関の見やすい場所に掲示している
- ④③の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載している。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではない(2025年5月31日までは経過措置)
慢性腎臓病透析予防指導管理料
イ.初回指導管理日から1年以内 300点(月1回)
ロ.初回指導管理日から1年超 250点(月1回)
イ.初回指導管理日から1年以内 300点(月1回) ロ.初回指導管理日から1年超 250点(月1回)
今回の改定により新設された医学管理料で、慢性腎臓病の患者に対する「透析予防診療チーム」による指導等を評価しています。
慢性腎臓病(糖尿病患者又は現に透析療法を行っている患者を除く)で、医師が透析予防に関する指導の必要性があると認めた通院の患者(入院・在宅療養の患者は対象外)に対して、医師、看護師・保健師、管理栄養士等が共同で必要な指導等を行った場合に算定できます。ただし、外来栄養食事指導料や集団栄養食事指導料は併算定できません。
情報通信機器を用いた場合は(イ)が261点、(ロ)が218点を算定できます。
【主な算定要件】
- 通院(在宅療養を行う患者を除く)の慢性腎臓病患者のうち、重症度分類で透析のリスクが高い患者(糖尿病患者又は現に透析療法を行っている患者を除く)に対し、医師が透析を要する状態となることを予防するために重点的な指導の必要性があると認めた患者に算定する
- 「透析予防診療チーム」が日本腎臓学会の「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン」等に基づき、患者の病期分類、食塩制限及び蛋白制限等の食事指導、運動指導、その他生活習慣に関する指導等を必要に応じて個別に実施した場合に算定する
- 透析予防診療チームは、慢性腎臓病のリスク要因に関する評価を行い、結果に基づいて指導計画を作成する
- 透析予防診療チームは、慢性腎臓病のリスク要因に関する評価結果、指導計画、指導内容を診療録、療養指導記録又は栄養指導記録に添付又は記載する
- 同一月又は同一日においても、「外来栄養食事指導料」と「集団栄養食事指導料」を除き、他の医学管理等及び在宅療養指導管理料を併算定できる
- 所定の様式により1年間の算定患者数、状態の変化等について報告を行う
- 算定患者について、保険者から保健指導を行う目的で情報提供等の協力の求めがある場合には、患者の同意を得て、必要な協力を行う
【主な施設基準】
-
以下から構成される透析予防診療チームを設置
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ア)慢性腎臓病指導の経験を有する専任の医師(経験5年以上)
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イ)慢性腎臓病指導の経験を有する専任の看護師(経験3年以上)又は保健師(経験2年以上)
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ウ)慢性腎臓病指導の経験を有する専任の管理栄養士(経験3年以上)
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- ア~ウのいずれかは、慢性腎臓病の予防指導に係る適切な研修を修了した者であることが望ましい
- ア、イの医師、看護師又は保健師のうち、1名以上は常勤である
- ア~ウのほか、薬剤師、理学療法士が配置されていることが望ましい
- 腎臓病教室を定期的に実施すること等により、腎臓病について患者及びその家族に対して説明が行われていること。ただし、糖尿病透析予防指導管理料に規定する糖尿病教室(腎臓病についての内容が含まれる場合に限る)の実施により代えても可
- 算定患者の状態の変化等について、所定の様式で地方厚生(支)局長に報告している
※1: 6歳未満は3カ月に1回、6歳以上は6カ月に1回
※2: 月1回、6カ月目まで
※3: 「イ」「ニ」は1回限り、「ロ」「ハ」は6回限り
※4: 6カ月に1回(初回算定月から6カ月以内は月1回)
※5: 入院中1回