投薬
調剤料(点数等は次表参照)
処方料
(点数等は次表参照)
処方料は、入院以外の患者に対して、1回の処方につき算定します。なお、入院患者への処方料は、入院基本料に含まれているため、別に算定できません。
今回の改定では、「特定疾患処方管理加算」の対象疾患から脂質異常症、高血圧症、糖尿病が削除されました。さらに長期処方やリフィル処方を推進する観点から、従来の「加算1」(処方期間28日未満)が廃止となり、「処方期間28日以上」のみが対象となったうえで点数も引き下げられました。
また、「外来後発医薬品使用体制加算」については、医薬品の供給不足時における治療計画の見直し等に対応できる体制の整備や、患者への説明と院内及びウェブサイトへの掲示等が新たな要件として追加され(ウェブサイトへの掲示は2025年5月31日まで経過措置)、点数も引き上げられました。
薬剤料
内服薬及び浸煎薬、屯服薬、外用薬ごとの所定単位につき、使用薬剤の薬価が15円以下の場合は1点とし、15円を超える場合は10円又はその端数を増すごとに1点を加算して算定します。
処方料 (1処方につき) |
調剤料 (1処方につき) |
薬剤料※2 の単位 |
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入院外 | 内服薬 | 42点※1 | 11点 | 1剤1日分 | |
浸煎薬 | |||||
屯服薬 | 1回分 | ||||
外用薬 | 8点 | 1調剤 | |||
麻薬等加算 | +1点 | +1点 | ― | ||
乳幼児加算(3歳未満) | +3点 | ― | |||
特定疾患処方管理加算 | +56点(月1回) | ― | |||
抗悪性腫瘍剤処方管理加算 (許可病床200床以上の病院に限る) |
+70点(月1回) | ― | |||
外来後発医薬品使用体制加算 | 1 | +8点 | ― | ||
2 | +7点 | ||||
3 | +5点 | ||||
向精神薬調整連携加算 | +12点(月1回) | ||||
入院 | 内服薬 | 算定不可 | 1日につき 7点 |
1剤1日分 | |
浸煎薬 | |||||
屯服薬 | 1回分 | ||||
外用薬 | 1調剤 | ||||
麻薬等加算 | ― | 1日につき +1点 |
― |
※1: 向精神薬多剤投与時は18点で算定し、7種類以上の内服薬の投薬時(臨時で投薬期間が2週間以内の場合及び地域包括診療加算を算定する場合を除く)又は向精神薬長期処方時は29点で算定
※2: 向精神薬多剤投与時は該当する向精神薬は所定点数の80%で算定、7種類以上の内服薬の投薬(臨時で投薬期間が2週間以内の場合及び地域包括診療加算・地域包括診療料を算定する場合を除く)の場合は所定点数の90%で算定
注) 初診料・外来診療料において紹介割合等による減算措置の対象となる医療機関で30日以上の投薬(一部を除く)を行った場合、処方料、薬剤料は所定点数の40%で算定(参照)
向精神薬多剤投与時の減算
処方料 18点|処方箋料 20点|薬剤料 20%減
処方料 18点|処方箋料 20点|薬剤料 20%減
「1回の処方において、抗不安薬を3種類以上、睡眠薬を3種類以上、抗うつ薬を3種類以上、抗精神病薬を3種類以上又は抗不安薬と睡眠薬を合わせて4種類以上投与」の場合は「向精神薬多剤投与」となり、処方料、処方箋料、薬剤料が上記の点数に減算されます(薬剤料は、抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬のみが減算)。ただし、次のいずれかに該当する場合は減算の対象外となります。
【減算の対象外となる場合】
- イ)患者の初受診日において、他医療機関ですでに向精神薬多剤投与されている場合の連続した6カ月間
- ロ)向精神薬多剤投与に該当しない期間が1カ月以上継続し、症状の改善が不十分又はみられず、薬剤の切り替えが必要であり、すでに投与されている薬剤と新しく導入する薬剤を一時的に併用する場合の連続した3カ月間(年2回まで)
- ハ)臨時投与の場合(連続する投与期間2週間以内又は14回以内)。なお、抗不安薬及び睡眠薬については、臨時に投与する場合についても種類数に含める
- ニ)抗うつ薬又は抗精神病薬に限り、次のいずれにも該当する精神科医師として地方厚生局に届け出たものが、やむを得ず投与の必要があると認めた場合
- 臨床経験5年以上
- 適切な医療機関(医師に対する適切な研修を実施するため、常勤の指導責任者を配置した上で、研修プログラムの策定、医師に対する精神科医療に係る講義の提供、症例検討会の実施等を満たす医療機関)で3年以上の精神科の診療経験
- 精神疾患に関する専門的な知識とICD-10のF0からF9の全てについて主治医として治療経験を有する
- 精神科薬物療法に関する適切な研修を修了
注)
減算対象外となる場合は、その理由をレセプトの摘要欄に記載する。また、イの場合は当該医療機関の初診日、ロの場合は切り替え開始日、切り替え対象の薬剤名及び新規導入の薬剤名、ハの場合は臨時投与の開始日を、それぞれレセプトの摘要欄に記載する
7種類以上の内服薬又は向精神薬長期処方時の減算
処方料 29点|処方箋料 32点|薬剤料 10%減
処方料 29点|処方箋料 32点|薬剤料 10%減
1処方につき7種類以上の内服薬(臨時で2週間以内のもの及び地域包括診療加算〔薬剤料は地域包括診療料も含む〕の算定患者を除く)が投与された場合、または「向精神薬長期処方」の場合は、それぞれ上記の点数に減算されます(薬剤料の10%減算は「7種類以上の内服薬」の場合のみ対象)。
【向精神薬長期処方の取り扱い】
-
薬効分類上の抗不安剤、催眠鎮静剤、精神神経用剤又はその他の中枢神経系用薬のいずれかに該当する医薬品のうち、ベンゾジアゼピン受容体作動薬を1年以上にわたって、同一の成分を同一の1日当たり用量で連続して処方している場合をいう。なお、定期処方と屯服間の変更については、同一の1日当たり用量には該当しない。また、以下のいずれかに該当する医師が行った処方又は当該処方の直近1年以内に精神科の医師からの助言を得て行っている処方については、向精神薬長期処方に該当しない
- ア)不安又は不眠に係る適切な研修を修了した医師
- イ)精神科薬物療法に係る適切な研修を修了した医師
処方箋料 (処方箋交付1回につき)
- 向精神薬多剤投与時 20点
- 7種類以上の内服薬の投薬時
又は向精神薬長期処方時 32点 - 上記以外 60点
保険薬局で調剤を行うために処方箋を交付する場合は、調剤料や処方料、薬剤料は算定せずに、処方箋料のみを算定します。所定点数は60点が基本ですが、向精神薬多剤投与時や7種類以上の内服薬の投薬時又は向精神薬長期処方時は減算されます。また、初診料・外来診療料において紹介割合等による減算の対象となる医療機関で30日以上の投薬(一部を除く〔参照〕)を行った場合は所定点数の40%で算定しますが、リフィル処方箋で1回の使用による投与期間が29日以内の投薬を行った場合は減算の対象外となります。
今回の改定では、各区分で8点ずつ点数が引き下げられたほか、いわゆる敷地内薬局を有する医療機関では、「1」が18点、「2」が29点、「3」が42点を算定する減算措置が導入されました。具体的には次に該当する医療機関が減算の対象となります。
【敷地内薬局を有する医療機関の減算措置】
-
次のいずれにも該当する医療機関が処方箋を交付する場合
- ア)直近3カ月の処方箋交付回数が12,000回超
- イ)調剤報酬の特別調剤基本料Aを算定している薬局と不動産取引等その他の特別な関係を有している医療機関である
- ウ)当該特別な関係を有する薬局の当該医療機関に係る処方箋による調剤の割合が9割超
処方箋料の加算としては、「特定疾患処方管理加算」「抗悪性腫瘍剤処方管理加算」「向精神薬調整連携加算」「乳幼児加算(3歳未満)」があります(点数及び取り扱いは処方料と同様)。今回の改定で、特定疾患処方管理加算については処方料と同様に「処方期間28日以上」のみが対象となりましたが、「リフィル処方箋の複数回の使用による合計の処方期間が28日以上の場合を含む」とされました。
処方箋料のみの加算としては「一般名処方加算」があります。後発医薬品のある医薬品について、一般名で処方箋を交付した場合に、処方箋に記載された全ての後発医薬品のある医薬品(2品目以上の場合に限る)が一般名の場合は「加算1」として10点を、1品目でも一般名(後発医薬品のある医薬品)の場合は「加算2」として8点を加算できます。今回の改定では、点数が引き上げられるとともに、医薬品の供給不足時における治療計画の見直し等に対応できる体制の整備や、患者への説明と院内及びウェブサイトへの掲示等が新たな要件として追加(ウェブサイトへの掲示は2025年5月31日まで経過措置)されました。
調剤技術基本料
入院患者 42点|その他の患者 14点
入院患者 42点|その他の患者 14点
薬剤師が常勤している医療機関で調剤を行った場合に月1回算定できます。入院患者に対して、院内製剤の上で調剤を行った場合は、「院内製剤加算」(10点)を加算できます。薬剤管理指導料又は在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している場合は、算定できません。
長期収載品の選定療養
診療報酬とは異なりますが、今回の改定に伴い、長期収載品の保険給付の扱いが見直され、選定療養の仕組みを利用した患者の自己負担が導入されることになりました。施行日は2024年10月1日からです。
【長期収載品の選定療養化】
- 後発品の上市後5年以上経過したもの又は後発品の置換率が50%以上となった長期収載品を対象に、後発品の最高価格帯との価格差の4分の3までを保険給付の対象とし、残りの4分の1を患者の選択によるものとして選定療養(患者の自己負担)とする
- 医療上の必要性があると認められる場合(例:医療上の必要性により医師が銘柄名処方〔後発品への変更不可)をした場合)や、後発品を提供することが困難な場合(例:薬局に後発品の在庫が無い場合)は選定療養とはせず、引き続き保険給付の対象とする
- 長期収載品は、準先発品を含むこととし、バイオ医薬品は対象外とする。また、後発品への置換率が極めて低い長期収載品(置換率が1%未満)も対象外とする
- 医療機関や薬局は、長期収載品の投与に係る特別の料金その他必要な事項を医療機関・薬局内の見やすい場所に掲示する
- 医療上の必要性がある場合が処方等の段階で明確になるよう、処方箋様式を改正する
- 2024年10月1日から施行・適用する