療養病棟入院基本料
療養病棟が算定する入院基本料ですが、看護職員・看護補助者の配置が「20対1以上」であることが要件となります。これを満たさない場合でも「25対1以上」等の基準を満たせば経過措置(いわゆる注11の経過措置)として減算された点数を算定できましたが、今回の改定でこの注11の経過措置は廃止されました。
今回の改定では、医療区分とADL区分に基づく9分類となっていたこれまでの報酬体系について、疾患・状態に係る3つの医療区分、処置等に係る3つの医療区分、3つのADL区分に基づく27分類及びスモンに関する3分類を組み合わせた合計30分類の評価体系へと大幅に見直されました。
また、中心静脈栄養の扱いが変更になったほか、入院料27では1日2単位を超える疾患別リハビリテーション料は包括される扱いとなりました(参照)。
【療養病棟入院基本料の区分及び点数】
(生活療養を受ける場合の点数は割愛)
入院料 | 疾患・状態の 医療区分 |
処置等の 医療区分 |
ADL 区分 |
点数(1日につき) | |
---|---|---|---|---|---|
療養病棟 入院料1 |
療養病棟 入院料2 |
||||
1 | 3(スモン除く) | 3 | 3 | 1,964点 | 1,899点 |
2 | 3(スモン除く) | 3 | 2 | 1,909点 | 1,845点 |
3 | 3(スモン除く) | 3 | 1 | 1,621点 | 1,556点 |
4 | 3(スモン除く) | 2 | 3 | 1,692点 | 1,627点 |
5 | 3(スモン除く) | 2 | 2 | 1,637点 | 1,573点 |
6 | 3(スモン除く) | 2 | 1 | 1,349点 | 1,284点 |
7 | 3(スモン除く) | 1 | 3 | 1,644点 | 1,579点 |
8 | 3(スモン除く) | 1 | 2 | 1,589点 | 1,525点 |
9 | 3(スモン除く) | 1 | 1 | 1,301点 | 1,236点 |
10 | 2 | 3 | 3 | 1,831点 | 1,766点 |
11 | 2 | 3 | 2 | 1,776点 | 1,712点 |
12 | 2 | 3 | 1 | 1,488点 | 1,423点 |
13 | 2 | 2 | 3 | 1,455点 | 1,389点 |
14 | 2 | 2 | 2 | 1,427点 | 1,362点 |
15 | 2 | 2 | 1 | 1,273点 | 1,207点 |
16 | 2 | 1 | 3 | 1,371点 | 1,305点 |
17 | 2 | 1 | 2 | 1,343点 | 1,278点 |
18 | 2 | 1 | 1 | 1,189点 | 1,123点 |
19 | 1 | 3 | 3 | 1,831点 | 1,766点 |
20 | 1 | 3 | 2 | 1,776点 | 1,712点 |
21 | 1 | 3 | 1 | 1,488点 | 1,423点 |
22 | 1 | 2 | 3 | 1,442点 | 1,376点 |
23 | 1 | 2 | 2 | 1,414点 | 1,349点 |
24 | 1 | 2 | 1 | 1,260点 | 1,194点 |
25 | 1 | 1 | 3 | 983点 | 918点 |
26 | 1 | 1 | 2 | 935点 | 870点 |
27 | 1 | 1 | 1 | 830点 | 766点 |
28 | 3(スモンに限る) | ― | 3 | 1,831点 | 1,766点 |
29 | 3(スモンに限る) | ― | 2 | 1,776点 | 1,712点 |
30 | 3(スモンに限る) | ― | 1 | 1,488点 | 1,423点 |
注1) 入院料1~3、10~12、19~21の場合で、当該病棟において中心静脈栄養を実施している状態にある者の摂食機能又は嚥下機能の回復に必要な体制が確保されていない場合は、それぞれ入院料4~6、13~15、22~24までのいずれかを算定する
注2) 急性増悪により、一般病棟へ転棟又は別の医療機関の一般病棟へ転院する場合には、転棟の場合は前日を1日目として3日前まで、転院の場合は当日を1日目として3日前までは「入院料27」の点数を算定し、包括項目も出来高で算定する
注3) 新型インフルエンザ等感染症がまん延している期間として厚生労働大臣が指定した期間に、療養病棟で同感染症等の患者(擬似症患者を含む)を入院させた場合は、一般病棟入院基本料が算定可能。ただし、その旨の届出が必要
注4) 療養病棟入院料1、2以外の病棟は、当分の間、地方厚生局長に届け出た場合に限り、特別入院基本料として582点を算定できる
なお、加算については、「静脈経腸栄養ガイドライン」等を踏まえた栄養管理に係る説明を実施した上で、新たに経腸栄養を開始した場合を評価した「経腸栄養管理加算」(1日につき、300点)が新設されるとともに、「看護補助体制充実加算」が3区分に再編されました。
経腸栄養管理加算
300点(1日につき)
療養病棟入院基本料の算定患者に対する経腸栄養の実施を評価しています。入院中に1回限り、経腸栄養の開始日から7日間を限度に算定できます。ただし、栄養サポートチーム加算、入院栄養食事指導料、集団栄養食事指導料は別に算定できません。
【主な施設基準】
- 栄養サポートチーム加算の届出又は療養病棟における経腸栄養管理を担当する専任の管理栄養士を1名以上配置している
- 内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影を実施する体制を有している。なお、当該検査等については、耳鼻咽喉科又はリハビリテーション科その他必要な診療科を標榜する他の医療機関との協力により確保することでも差し支えない
看護補助体制充実加算(1日につき)
看護補助体制充実加算1
80点
看護補助体制充実加算2
65点
看護補助体制充実加算3
55点
看護補助体制充実加算1 80点
看護補助体制充実加算2 65点
看護補助体制充実加算3 55点
看護職員の処遇改善や負担軽減等のため、看護補助者の夜間配置や看護職員とのタスクシェア・シフトなどを評価した加算です。加算3が従来を踏襲しており、加算1・2が新設扱いとなります。
加算1は、加算3の基準に加え、①3年以上の勤務経験がある看護補助者を5割以上配置、②入院患者比で100対1以上の看護補助者の配置、③看護補助者の育成・評価体制―などが要件で、加算2は②③を満たすことなどが要件です。
なお、患者に身体的拘束を行った日は、加算1・2の届出を行っていても加算3の点数を算定します(2025年6月1日より適用)。
【療養病棟入院基本料の主な施設基準・算定可能な加算】
療養病棟入院料1 | 療養病棟入院料2 | |||||
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看護職員 | 20対1以上(最小必要数の20%以上が看護師) | |||||
看護補助者 | 20対1以上 | |||||
入院患者 | 医療区分2又は3の患者が80%以上 | 医療区分2又は3の患者が50%以上 | ||||
その他の 施設基準等 |
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包括される 項目 |
検査/投薬及び注射(下記「出来高算定できる薬剤」を除く)/病理診断/画像診断のうち、エックス線診断料の単純撮影に係る写真診断・撮影の費用/処置のうち、創傷処置〔手術日から14日以内の患者に対するものを除く〕、喀痰吸引、摘便、酸素吸入、酸素テント、皮膚科軟膏処置、膀胱洗浄、留置カテーテル設置、導尿、膣洗浄、眼処置、耳処置、耳管処置、鼻処置、口腔・咽頭処置、間接喉頭鏡下喉頭処置、ネブライザ、超音波ネブライザ、介達牽引、消炎鎮痛等処置、鼻腔栄養、長期療養患者褥瘡等処置
〈出来高算定できる薬剤(除外薬剤・注射薬)〉
悪性新生物の患者への抗悪性腫瘍剤/疼痛コントロールのための医療用麻薬/人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与されたHIF-PH阻害剤、エリスロポエチン、ダルベポエチン、エポエチンベータペゴル/インターフェロン製剤(B型・C型肝炎の効能・効果を有するものに限る)/抗ウイルス剤(B型・C型肝炎の効能・効果を有するもの及び後天性免疫不全症候群又はHIV感染症の効能・効果を有するものに限る)/血友病の患者に使用する医薬品(出血傾向の抑制の効能・効果を有するものに限る)
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加算 |
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算定可能な 入院基本料 等加算 |
地域医療支援病院入院診療加算/臨床研修病院入院診療加算/紹介受診重点医療機関入院診療加算/在宅患者緊急入院診療加算/診療録管理体制加算/医師事務作業補助体制加算(50対1、75対1、100対1に限る)/乳幼児加算・幼児加算/超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算/地域加算/離島加算/HIV感染者療養環境特別加算/療養病棟療養環境加算/療養病棟療養環境改善加算/重症皮膚潰瘍管理加算/栄養サポートチーム加算/医療安全対策加算/感染対策向上加算/患者サポート体制充実加算/報告書管理体制加算/病棟薬剤業務実施加算1/データ提出加算/入退院支援加算(1の療養病棟入院基本料等の場合又は2の療養病棟入院基本料等の場合に限る)/医療的ケア児(者)入院前支援加算/認知症ケア加算/薬剤総合評価調整加算/排尿自立支援加算/協力対象施設入所者入院加算 |