診療報酬

在宅療養支援診療所・病院

看取りまでを含めたトータルなケアが受けられるよう、在宅医療の中心的な役割を担う診療所及び病院として診療報酬上で位置付けられているのが在宅療養支援診療所(以下、在支診)及び在宅療養支援病院(以下、在支病)です。また、在支診・在支病の中でも、在宅での看取りや緊急時対応など、一定の実績要件を満たしたのが機能強化型の在支診・在支病です。

主な施設基準は下表のとおりですが、今回の改定では、医師が栄養管理の必要性を認めた患者に対して、訪問栄養食事指導を行える体制を整備することなどが新たな要件として追加されました。具体的には、在支診の場合は「自院の管理栄養士又は栄養ケア・ステーションもしくは他医療機関の管理栄養士との連携により実施できる体制整備が望ましい」とされ、在支病の場合は「自院の管理栄養士が実施できる体制」が要件となります(2024年3月31日時点での在支病の届出医療機関は25年5月31日まで経過措置)。

なお、在宅医療専門の診療所(往診又は訪問診療の患者割合が95%以上)が在支診になる場合は、これらに加えて別途定められた基準(本誌では割愛)を満たす必要があり、満たせない場合は在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料を所定点数(在支診以外の場合)の80%で算定します。

在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院の主な施設基準
在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院の主な施設基準

往診料 720点

患者や家族から求められ、医師が往診を行った場合の評価です。720点が基本点数となりますが、緊急、夜間・休日、深夜の各加算があり、医療機関の種類や患者の違いによって点数が異なる仕組みです。

今回の改定では、「別に厚生労働大臣が定める患者」が規定され、これらの患者以外の場合はより低い点数で算定することになりました。

【往診料の緊急、夜間・休日、深夜加算】

機能強化型の在支診・在支病※1
(別に厚生労働大臣が
定める患者に行う場合)
病床
あり
緊急往診加算 850点
夜間・休日往診加算 1,700点
深夜往診加算 2,700点
病床
なし
緊急往診加算 750点
夜間・休日往診加算 1,500点
深夜往診加算 2,500点
上記以外の在支診・在支病※2
(別に厚生労働大臣が
定める患者に行う場合)
緊急往診加算 650点
夜間・休日往診加算 1,300点
深夜往診加算 2,300点
在支診・在支病以外
(別に厚生労働大臣が
定める患者に行う場合)
緊急往診加算 325点
夜間・休日往診加算 650点
深夜往診加算 1,300点
別に厚生労働大臣が
定める患者以外に行う場合
緊急往診加算 325点
夜間・休日往診加算 405点
深夜往診加算 485点

※1: 施設基準を満たし届け出た施設では在宅緩和ケア充実診療所・病院加算として100点をさらに加算

※2: 施設基準を満たし届け出た施設では、在宅療養実績加算1として75点を、又は同加算2として50点をさらに加算

【別に厚生労働大臣が定める患者】

  1. イ)
    往診を行う医療機関において過去60日以内に在宅患者訪問診療料(Ⅰ)(Ⅱ)又は在宅がん医療総合診療料を算定している
  2. ロ)
    往診を行う医療機関と連携体制を構築している他の医療機関において、過去60日以内に在宅患者訪問診療料(Ⅰ)(Ⅱ)又は在宅がん医療総合診療料を算定している
  3. ハ)
    往診を行う医療機関の外来で継続的に診療を受けている
  4. ニ)
    往診を行う医療機関と平時からの連携体制を構築している介護老人保健施設、介護医療院及び特別養護老人ホームに入所する患者

この他の加算としては、「患家診療時間加算」(30分又は端数を増すごとに100点)、「死亡診断加算」(200点)がありましたが、今回の改定で往診料でも「在宅ターミナルケア加算」と「看取り加算」が算定できるようになりました(要件や点数は在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の加算〔参照〕と同様)。さらに「往診時医療情報連携加算」と「介護保険施設等連携往診加算」が新設されました。

往診時医療情報連携加算 200点

在支診・在支病以外の医療機関が訪問診療を行っている患者に対して、連携している在支診・在支病が往診を行った場合の加算です。24時間の在宅医療体制の構築を推進するため、今回の改定で新設されました。

【主な算定要件】

  • 他の医療機関(在支診又は在支病以外に限る)と月1回程度の定期的なカンファレンス又はICTの活用により当該他の医療機関が定期的に訪問診療を行っている患者の診療情報及び病状の急変時の対応方針等の情報(以下、診療情報等)の共有を行っている医療機関(在支診又は在支病に限る)が、当該患者(当該他の医療機関が往診を行うことが困難な時間帯等に対応を行う予定の在支診又は在支病の医療機関名、電話番号及び担当医師の氏名等を提供されている患者に限る)に対して、当該他の医療機関が往診を行うことが困難な時間帯に、共有された診療情報等を参考にして、往診を行った場合に算定できる。この場合、当該他の医療機関名、参考にした診療情報等及び診療の要点を診療録に記録する
  • ICTを用いて連携機関と患者の個人情報を取り扱う場合には、厚生労働省の定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること

介護保険施設等連携往診加算 200点

介護保険施設等の「協力医療機関」が、入所者の急変時等に往診を行った場合に加算できます。

【主な算定要件】

  • 介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホーム(以下、介護保険施設等)において療養を行っている患者の病状の急変等に伴い、介護保険施設等の従事者等の求めに応じて、事前に共有されている患者の診療情報・病状の急変時の対応方針等を踏まえて往診を行った際に、提供する医療の内容について患者又は介護保険施設等の従事者に十分に説明した場合に限り算定できる。この場合、介護保険施設等の名称、活用した当該患者の診療情報、急変時の対応方針及び診療の要点を診療録に記録する
  • 介護保険施設等と「特別の関係」の場合は算定できない

【主な施設基準】

  1. 当該医療機関単独で以下のア~ウを満たす
    1. ア)
      介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホーム(以下、介護保険施設等)から協力医療機関として定められている
    2. イ)
      24時間連絡を受ける担当者をあらかじめ指定し、担当者及び担当者と直接連絡がとれる連絡先電話番号等、緊急時の注意事項等について、事前に介護保険施設等の管理者等に対して説明の上、提供している
    3. ウ)
      介護保険施設等の求めに応じて、24時間往診が可能な体制を確保し、往診担当医の氏名、担当日等を文書により当該介護保険施設等に提供している
  2. 次のいずれかの要件を満たす
    ア)次の(イ)及び(ロ)に該当している
    1. (イ)
      往診を行う患者の診療情報及び急変時の対応方針等が、あらかじめ患者の同意を得た上で協力医療機関に提供され、必要に応じて往診を行う医師が所属する医療機関がICTを活用して診療情報及び急変時の対応方針等を常に確認可能な体制を有している
    2. (ロ)
      介護保険施設等と協力医療機関において、入所者の診療情報及び急変時の対応方針等の共有を図るため、年3回以上カンファレンスを実施(ビデオ通話でも可)
    イ)介護保険施設等と協力医療機関において、入所者の診療情報及び急変時の対応方針等の共有を図るため、月1回以上カンファレンスを実施(ビデオ通話でも可)
  3. 介護保険施設等に協力医療機関として定められており、急変等に対応すること及び協力医療機関として定められている介護保険施設等の名称について、医療機関の見やすい場所及びホームページ等に掲示している
  4. ③の掲示事項は、原則としてウェブサイトに掲載する(2025年5月31日まで経過措置)。ただし、自ら管理するホームページ等を有しない場合は、この限りではない

在宅患者訪問診療料(Ⅰ) (1日につき)
在宅患者訪問診療料1
同一建物居住者以外 888点
同一建物居住者 213点
在宅患者訪問診療料2
同一建物居住者以外 884点
同一建物居住者 187点

診療料1は1人の患者に1つの医療機関が訪問診療を行った場合、診療料2は他の医療機関からの求めに応じて、診療が求められた傷病に対して訪問診療を行った場合の評価です。具体的には、在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料又は在宅がん医療総合診療料の算定要件を満たす他の医療機関から紹介された患者に訪問診療を行った場合に算定できます。

診療料1は週3日まで算定できますが、急性増悪などにより一時的に頻回な訪問が必要な場合は、月1回に限り14日まで算定できます。

診療料2は「6カ月を限度に月1回」が原則ですが、①その診療科の医師でなければ困難な診療、②すでに診療した傷病やその関連疾患とは明らかに異なる傷病に対する診療―のいずれかに該当する診療の求めが新たにあった場合には、6カ月を超えて算定できます。

また、診療料1・2いずれも末期の悪性腫瘍など、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者には、所定の算定回数を超えて算定できます。

今回の改定では、診療料1について、在支診又は在支病で「厚生労働大臣が定める基準(直近3カ月の患者1人当たり平均訪問診療回数が12回未満)」を満たさなくなった場合は、その後の直近1か月間は同一患者の5回目以降の訪問診療は、所定点数の50%で算定する減算措置が導入されました(2024年3月31日時点での在支診・在支病は24年9月30日まで経過措置)。

この他、各種加算が設定されていますが、今回の改定では「在宅ターミナルケア加算」が見直され、死亡日及び死亡日前14日以内に退院時共同指導料1を算定して訪問診療を行った場合でも算定できるようになりました。また、「在宅医療DX情報活用加算」が新設されました。なお、通則の加算として「外来感染対策向上加算」及びその加算(参照)(診療料(Ⅱ)も同様)も設定されています。

在宅患者訪問診療料(Ⅱ) 150点(1日につき)

有料老人ホーム等に併設されている医療機関が、その施設の入所者に訪問診療を行った場合の点数です。対象者は①施設入居時等医学総合管理料の対象患者、②障害福祉サービス施設及び事業所又は福祉ホームの入居者、③小規模多機能型居宅介護又は複合型サービスにおける宿泊サービスを利用中の患者―です。

算定対象となる訪問診療は次のいずれかです。

【算定対象となる訪問診療(次のいずれか)】

  1. イ)
    当該医療機関が、在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料の算定要件を満たす医療機関として、定期的に訪問診療を行った場合(初診日の訪問診療を除く)
  2. ロ)
    在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料又は在宅がん医療総合診療料の算定要件を満たす他の医療機関の求めに応じ、当該他の医療機関から紹介された患者に訪問診療を行った場合

イは患者1人につき週3回まで算定できますが、急性増悪などにより一時的に頻回な訪問が必要な場合は、月1回に限り14日まで算定できます。ロは患者1人につき6カ月を限度に月1回算定できます。イ、ロともに、末期の悪性腫瘍など別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者は所定の回数を超えて算定できます。

今回の改定では、同診療料(Ⅰ)と同様に、在支診又は在支病で「厚生労働大臣が定める基準」を満たさなくなった場合の減算措置が導入されました(診療料(Ⅰ)の項を参照)。また、加算についても同様に「在宅ターミナルケア加算」の見直しや「在宅医療DX情報活用加算」の新設が行われました。

在宅医療DX情報活用加算 10点(月1回)

居宅同意取得型のオンライン資格確認等システム、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービス等により取得した診療情報や薬剤情報等の活用を評価しています。

在宅患者訪問診療料(Ⅰ)(Ⅱ)共通の加算ですが、医療情報取得加算、医療DX推進体制整備加算、訪問看護医療DX情報活用加算の算定月は算定できません。

【主な施設基準】

  1. レセプトオンライン請求を行っている
  2. オンライン資格確認を行う体制を有している
  3. 居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムの活用により、医師等が患者の診療情報等を取得及び活用できる体制を有している
  4. 電子処方箋により処方箋を発行できる体制を有している(2025年3月31日まで経過措置)
  5. 国等が提供する電子カルテ情報共有サービスにより取得される診療情報等を活用する体制を有している(2025年9月30日まで経過措置)
  6. 次の事項を医療機関の見やすい場所に掲示している
    1. (ア)
      医師が居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムにより取得した診療情報等を活用して、計画的な医学管理の下に訪問診療を実施していること
    2. (イ)
      マイナ保険証の利用を促進する等、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるよう取り組んでいること
    3. (ウ)
      電子処方箋の発行及び電子カルテ情報共有サービスなどの医療DXにかかる取り組みを実施していること(2025年9月30日まで経過措置)
  7. ⑥について、原則としてウェブサイトに掲載している(2025年5月31日まで経過措置)。ただし、自ら管理するホームページ等を有しない場合は、この限りではない

【その他の在宅患者訪問診療料(Ⅰ)(Ⅱ)の加算】

乳幼児加算(6歳未満) 400点

患家診療時間加算 100点

診療時間が1時間を超えた場合、30分又はその端数を増すごとに加算

在宅ターミナルケア加算(Ⅰの1のみ算定可)

機能強化型の在支診・在支病(病床あり) 6,500点
機能強化型の在支診・在支病(病床なし) 5,500点
上記以外の在支診・在支病 4,500点
在支診・在支病以外 3,500点

在宅ターミナルケア加算(Ⅱのイのみ算定可)

機能強化型の在支診・在支病(病床あり) 6,200点
機能強化型の在支診・在支病(病床なし) 5,200点
上記以外の在支診・在支病 4,200点
在支診・在支病以外 3,200点

在宅で死亡した患者(往診又は訪問診療を行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した患者を含む)の死亡日及び死亡前14日以内の計15日間に2回以上の往診もしくは訪問診療を行った患者又は退院時共同指導料1を算定し、かつ訪問診療を実施した患者に加算。機能強化型の在支診・在支病で別に定められた施設基準を満たし、届け出ている場合は在宅緩和ケア充実診療所・病院加算(1,000点)を、機能強化型以外の在支診・在支病で別に定められた施設基準を満たし、届け出ている場合は在宅療養実績加算1(750点)又は同加算2(500点)を、がん患者に対して酸素療法を行っていた場合は酸素療法加算(2,000点)をさらに加算

看取り加算(Ⅰの1、Ⅱのイのみ算定可) 3,000点

死亡日に往診又は訪問診療を行い、在宅で患者を看取った場合に加算

死亡診断加算(Ⅰの1、Ⅱのイのみ算定可) 200点

患家で死亡診断を行った場合に加算(看取り加算を算定した場合は算定不可)

在宅時医学総合管理料(月1回)

施設入居時等医学総合管理料(月1回)

いずれも在宅患者等に対する総合的な医学管理を評価した包括点数で、基本的な算定要件は同じです。

対象は診療所、在支病、許可病床200床未満の病院のみです。投薬は包括されていますが、注射や検査などは別に算定できます。主な施設基準としては、「在宅医療の連携調整担当者の配置」「在宅医療を担当する常勤医師が勤務」などがあります。

点数は①機能強化型の在支診・在支病、それ以外の在支診・在支病、在支診・在支病以外、②重症者、重症者以外、③単一建物の診療患者数―によって細かく設定されています。

また、施設入居時等医学総合管理料の対象は、①養護老人ホーム、軽費老人ホーム(A型に限る)、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、認知症対応型共同生活介護事業所、指定障害者支援施設(生活介護を行う施設に限る)の入所者、②短期入所生活介護、介護予防短期入所生活介護のサービスを受けている者―のいずれかです。

今回の改定では、単一建物診療患者の数が「10人~19人」「20人~49人」「50人以上」の区分が新設されるとともに、評価も見直されました。

在宅時医学総合管理料の点数一覧
在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院の主な施設基準

※1: 施設基準を満たし届け出た施設では在宅緩和ケア充実診療所・病院加算(1人:400点、2~9人:200点、10~19人:100点、20~49人:85点、50人以上:75点)が算定可

※2: 施設基準を満たし届け出た施設では在宅療養実績加算1(1人:300点、2~9人:150点、10~19人:75点、20~49人:63点、50人以上:56点)又は在宅療養実績加算2(1人:200点、2~9人:100点、10~19人:50点、20~49人:43点、50人以上:38点)が算定可

※3: 重症者等とは、①末期の悪性腫瘍/スモン/指定難病/後天性免疫不全症候群/脊髄損傷/真皮を越える褥瘡、②在宅自己連続携行式腹膜灌流/在宅血液透析/在宅酸素療法/在宅中心静脈栄養法/在宅成分栄養経管栄養法/在宅自己導尿/在宅人工呼吸/植込型脳・脊髄刺激装置による疼痛管理/肺高血圧症であって、プロスタグランジンI2製剤を投与/気管切開/気管カニューレを使用/ドレーンチューブ又は留置カテーテルを使用/人工肛門又は人工膀胱を設置―のいずれかの患者

施設入居時等医学総合管理料の点数一覧
施設入居時等医学総合管理料の点数一覧

※1: 施設基準を満たし届け出た施設では在宅緩和ケア充実診療所・病院加算(1人:300点、2~9人:150点、10~19人:75点、20~49人:63点、50人以上:56点)が算定可

※2: 施設基準を満たし届け出た施設では在宅療養実績加算1(1人:225点、2~9人:110点、10~19人:56点、20~49人:47点、50人以上:42点)又は在宅療養実績加算2(1人:150点、2~9人:75点、10~19人:40点、20~49人:33点、50人以上:30点)が算定可

※3: 「重症者等」の規定は在宅時医学総合管理料と同様

また、今回の改定では「単一建物診療患者数が10人以上」の場合で、次の要件を満たさない場合は、所定点数の60%で算定する減算措置が導入されました。

【「満たさない場合」に60%減算となる要件】

  • 「単一建物診療患者数が10人以上」の場合について、「自院及び特別の関係にある医療機関(2024年3月31日以前に開設されたものを除く)の訪問診療回数が直近3カ月間で2,100回未満」であり、次のいずれも満たす
    1. 直近1年間に5つ以上の医療機関から、文書による紹介を受けて訪問診療を開始した実績がある
    2. 当該医療機関において、直近1年間の在宅における看取りの実績が20件以上である又は重症児の十分な診療実績等を有している
    3. 直近3カ月間の在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料の算定患者のうち、施設入居時等医学総合管理料の割合が7割以下
    4. 直近3月カ間に在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料を算定した患者のうち、要介護3以上又は別に厚生労働大臣が定める状態の患者(「重症者等」等)の割合が5割以上

2024年3月31日時点での届出医療機関は24年9月30日まで基準を満たすものとする

在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料の加算には次のものがあります。

今回の改定では、「頻回訪問加算」「在宅療養移行加算」「包括的支援加算」が見直されたほか、「在宅医療情報連携加算」が新設されました。

【在宅時(施設入居時等)医学総合管理料の加算】

処方箋を交付しない場合の加算 300点
在宅移行早期加算 100点

退院後に在宅療養を始めた患者に、在宅時(施設入居時等)医学総合管理料の算定開始から3カ月間に限り月1回算定。退院後1年を経過すると算定不可だが、再入院し退院した後は、再び3カ月を限度に月1回算定可

頻回訪問加算
初回の場合 800点
2回目以降の場合 300点

末期の悪性腫瘍の患者など、別に定められた特別な管理が必要な重症患者に月4回以上の往診又は訪問診療を行った場合に1回限り加算

在宅療養移行加算1 316点
在宅療養移行加算2 216点
在宅療養移行加算3 216点
在宅療養移行加算4 116点

在支診以外の診療所、在支病以外の病院が、自院の外来を4回以上受診した後に在宅に移行した患者に対して、訪問診療を行った場合に算定。今回の改定で加算1と3が新設。加算1と3は、連携先との定期的なカンファレンスの実施など平時から連携体制を構築する必要がある

包括的支援加算 150点

要介護3以上の状態又はこれに準じる状態」「認知症高齢者の日常生活自立度ランクⅢ以上」「週1回以上の訪問看護を受けている状態」「麻薬の投薬を受けている状態」など別に定められた一定の状態にある患者に対して加算。ただし、「重症者等」の区分の点数を算定している患者は対象外

在宅データ提出加算 50点
在宅医療情報連携加算 100点

他の医療機関等の関係職種がICTを用いて記録した患者の診療情報等を活用した上で、医師が計画的な医学管理を行った場合に月1回限り算定

施設基準を満たし、届出が必要

救急患者連携搬送料
入院中の患者以外 1,800点
入院初日の患者 1,200点
入院2日目の患者 800点
入院3日目の患者 600点

三次救急医療機関等に救急搬送されたのちに、他の医療機関でも対応可能と判断されて搬送した場合を評価した新設項目です。救急外来を受診した入院3日目までの患者に初期診療を実施したうえで、医師、看護師又は救急救命士が同乗して搬送を行った場合に算定できます。ただし、搬送先が特定機能病院、救命救急センターを設置している病院、総合入院体制加算又は急性期充実体制加算の届出医療機関、「特別の関係」にある医療機関―である場合は算定できません。

【主な施設基準】

  • 救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプターによる救急搬送件数が年間2,000件以上
  • 地域のメディカルコントロール協議会等と協議の上で、受入先の候補となる医療機関のリストを作成している
  • 搬送した患者の診療について、転院搬送先からの相談に応じる体制及び搬送した患者の急変時等に再度患者を受け入れる体制を有する
  • 毎年8月において、救急外来等における初期診療を実施した患者の他の医療機関への搬送の状況について所定の様式により報告する

在宅患者訪問看護・指導料 (1日につき)

同一建物居住者訪問看護・指導料 (1日につき)

いずれも医師の指示に基づく訪問看護を行った場合に算定しますが、訪問者により①保健師・助産師・看護師、②准看護師、③悪性腫瘍患者に対する緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアの専門研修を受けた看護師―の3つの区分があります。

①と②は週3日を限度に算定できますが、末期の悪性腫瘍など別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者には週4日以上の算定が可能です。また、急性増悪などにより、一時的に頻回な訪問が必要な場合は月1回(気管カニューレ使用患者又は真皮を越える褥瘡患者については月2回)に限り、週7日(診療日から14日以内の期間に限る)まで算定できます。

ただし、③は評価体系が異なり、対象は「悪性腫瘍の鎮痛療法もしくは化学療法を行っている患者」「真皮を越える褥瘡の患者(在宅患者訪問褥瘡管理指導料を算定する場合は真皮までの状態)」「人工肛門・人工膀胱の造設患者で管理が困難な患者」で、専門の研修を受けた看護師を訪問させ、他の医療機関や訪問看護ステーションの看護師等と共同で同一日に看護・指導を行った場合に月1回算定します。また、加算は一部を除き算定不可で、施設基準を満たし届出が必要です。

今回の改定では、大きな見直しはありませんでしたが、加算として「訪問看護医療DX情報活用加算」と「遠隔死亡診断補助加算」が新設されました。

在宅患者訪問看護・指導料の点数(1日につき)
①保健師・助産師・看護師 週3日目まで580点
週4日目以降 680点
②准看護師 週3日目まで530点
週4日目以降 630点
悪性腫瘍患者に対する緩和ケア、褥瘡ケア又は
人工肛門ケア及び人工膀胱ケアの専門研修を受けた看護師
1,285点
同一建物居住者訪問看護・指導料の点数(1日につき)
①保健師・助産師・看護師同一日2人 週3日目まで580点
週4日目以降 680点
同一日3人以上 週3日目まで293点
週4日目以降 343点
②准看護師 同一日2人 週3日目まで530点
週4日目以降 630点
同一日3人以上 週3日目まで268点
週4日目以降 318点
悪性腫瘍患者に対する緩和ケア、褥瘡ケア又は
人工肛門ケア及び人工膀胱ケアの専門研修を受けた看護師
1,285点

【在宅患者(同一建物居住者)訪問看護・指導料の加算】

難病等複数回訪問加算

週4日以上の訪問看護が可能な患者又は週7日を限度に訪問看護が可能な患者に1日2回訪問を行った場合は450点、1日3回以上訪問を行った場合は800点を加算。ただし、同一建物居住者の場合は次表のとおり加算

同一建物居住者
1人又は2人 3人以上
1日2回訪問 450点 400点
1日3回以上訪問 800点 720点

緊急訪問看護加算
月14日目まで 265点
月15日目以降 200点

診療所又は在支病の医師の指示により、緊急に訪問を行った場合に、1日につき加算

長時間訪問看護・指導加算 520点

別に定められた長時間の訪問を要する患者(急性増悪等で一時的に頻回の訪問看護が必要な患者等)に90分超の訪問看護を行った場合に、週1日(15歳未満の超重症児又は準超重症児等の場合は週3日)加算

乳幼児加算

6歳未満の乳幼児の場合は130点を、超重症児など別に厚生労働大臣が定める患者は180点を加算

複数名訪問看護・指導加算

週4日以上の訪問看護が可能な患者など別に定められた患者に対し、複数名による訪問看護を行った場合に、①同行者が保健師、助産師、看護師の場合は450点を週1日、②同行者が准看護師の場合は380点を週1日、③同行者がその他職員の場合は300点を週3日、④同行者がその他職員で、別に厚生労働大臣が定める患者の場合、1日1回の場合は300点、1日2回の場合は600点、1日3回以上の場合は1,000点を加算。ただし、同一建物居住者の場合は次表のとおり加算

同一建物居住者
1人又は2人 3人以上
①の場合 450点 400点
②の場合 380点 340点
③の場合 300点 270点
④の場合 1日1回 300点 270点
1日2回 600点 540点
1日3回以上 1,000点 900点

在宅患者(同一建物居住者)連携指導加算 300点

訪問診療の実施医療機関を含め、歯科訪問診療を行っている医療機関又は訪問薬剤管理指導を行っている保険薬局と文書等による情報共有を行い、必要な指導を行った場合に月1回加算(准看護師の場合は対象外)

在宅患者(同一建物居住者)緊急時等カンファレンス加算 200点

患者の急変時等に、他の医療機関の医師の求めにより、当該他の医療機関の医師、歯科医師、薬局薬剤師、ケアマネジャー等と共同でカンファレンスに参加し、共同指導を行った場合に月2回加算(准看護師の場合は対象外)

在宅(同一建物居住者)ターミナルケア加算

死亡日及び死亡日前14日以内に2回以上の訪問看護・指導を実施し、ターミナルケアを行った場合に加算。①在宅で死亡した患者又は特別養護老人ホーム等で死亡した患者で介護報酬の看取り介護加算等を算定していない場合は2,500点、②特別養護老人ホーム等で死亡した患者で介護報酬の看取り介護加算等を算定している場合は1,000点を加算

在宅移行管理加算

別に定められた特別な管理が必要な患者に計画的な管理を行った場合に250点を、重症度等の高い患者の場合は500点を1回に限り加算

夜間・早朝訪問看護加算、深夜訪問看護加算

夜間(18時~22時)又は早朝(6時~8時)に訪問看護を行った場合は210点を、深夜(22時~翌6時)に訪問看護を行った場合は420点を加算

看護・介護職員連携強化加算 250点

看護師・准看護師が、介護職員等が喀痰吸引等を行う上での助言などを行った場合に、月1回に限り加算

特別地域訪問看護加算

患家までの移動に1時間以上かかり、なおかつ医療機関の所在地もしくは患家の所在地が別に厚生労働大臣が定める地域(医療資源が少ない地域等)である場合に、所定点数の50%を加算

訪問看護・指導体制充実加算 150点

24時間の訪問看護体制の確保や在宅医療に関する実績要件など、定められた施設基準を満たして届け出た医療機関において、月1回に限り加算

専門管理加算 250点

緩和ケアや褥瘡ケア等の専門研修を受けた看護師又は特定行為研修修了の看護師が訪問看護・指導を行った場合に月1回に限り加算。施設基準を満たし、届出が必要

訪問看護医療DX情報活用加算 5点

居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムを活用し、患者の診療情報や薬剤情報等を取得したうえで訪問看護・指導を行った場合に月1回限り加算。施設基準を満たし、届出が必要

遠隔死亡診断補助加算 150点

情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修を受けた看護師が、情報通信機器を用いて医師の死亡診断の補助を行った場合に加算。施設基準を満たし、届出が必要

上記のほか、通則の加算として「外来感染対策向上加算」(参照)及びその加算が算定可能

在宅がん患者緊急時医療情報連携指導料 200点(月1回)

在宅で療養を行っている末期の悪性腫瘍患者の病状の急変時に、ICTの活用によって、医療従事者等の間で共有されている人生の最終段階における医療・ケアに関する情報を踏まえ、医師が療養上必要な指導を行った場合を評価した新設項目です。

【主な算定要件】

  • 過去30日以内に「在宅医療情報連携加算」を算定している末期の悪性腫瘍の患者に対し、関係職種が、患者の情報について医師が常に確認できるように記録している場合であって、患者の急変時等に医師が患者情報を活用して患者又はその家族等に療養上必要な指導を行った場合に算定する
  • 患者に対して診療等を行う医師は、療養上の必要な指導を行うにあたり、活用された患者の情報について、情報を記録した者の氏名、記録された日、取得した情報の要点及び患者に行った指導の要点を診療録に記載する
その他の在宅患者診療・指導料
その他の在宅患者診療・指導料

※1: 施設基準を満たし届け出た施設では在宅緩和ケア充実診療所・病院加算として150点をさらに加算

※2: 施設基準を満たし届け出た施設では、在宅療養実績加算1として110点を、又は同加算2として75点をさらに加算

※3: 施設基準を満たし届け出た施設では「外来感染対策向上加算」(参照)及びその加算が算定可

※4: 急性増悪等により一時的に頻回の訪問リハビリが必要な場合は、6カ月に1回限り、診療日から14日以内の訪問リハビリについては1日4単位に限り算定可

※5: 気管カニューレ使用又は真皮を越える褥瘡の患者は月2回まで

※6: 末期の悪性腫瘍、中心静脈栄養法の患者は週2回かつ月8回まで

※7: 15歳未満の人工呼吸器装着患者、15歳未満から引き続き人工呼吸を実施しており体重が20kg未満の患者又は神経難病等、別に規定された患者を対象とする場合は年12回まで算定可

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