診療報酬はやわかりマニュアル

診療報酬

精神科専門療法は、特に規定する場合を除き、精神科標榜の医療機関しか算定できません。

通院・在宅精神療法

通院又は在宅の患者に対し、精神科の担当医師(研修医を除く)が一定の治療計画のもとに危機介入、対人関係の改善、社会適応能力の向上を図るための指示、助言等の働きかけを継続的に行った場合に算定します。

今回の改定では、精神保健指定医が実施した場合とそれ以外の場合に区分され、点数も見直されています。

点数は次表のとおりですが、退院後4週間以内の場合は通院と在宅を合わせて週2回、その他の場合は週1回を限度に算定します。また、いずれも診療時間が5分を超えたときに限り算定でき、初診日は30分以上の診療が必要です。

【通院・在宅精神療法の点数】
通院
精神療法
在宅
精神療法
(イ)措置入院を経て退院した患者で、都道府県等が作成する退院後に必要な支援内容等を記載した計画に基づく支援期間にあるものに対して、当該計画における療養担当医療機関の精神科医が行った場合 660点
(ロ)初診日に60分以上行った場合 精神保健指定医 560点 620点
上記以外 540点 600点
(ハ)上記以外 ①60分以上 精神保健指定医 550点
上記以外 530点
②30分以上 精神保健指定医 410点 410点
上記以外 390点 390点
③30分未満 精神保健指定医 330点 330点
上記以外 315点 315点

この他、「1回の処方で3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬を投与した場合で、別に厚生労働大臣が定める要件を満たさない場合」は所定点数の50%相当で算定する減算規定があります。減算の対象から除外される場合は次のとおりです。

【減算の対象外となる場合】

次の全ての要件を満たす
  • 抗うつ薬又は抗精神病薬のいずれかを処方された患者のうち、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬を処方された患者の割合が1割未満か20名未満
  • 過去3カ月以内に以下の全てを行っている
    1. イ)
      患者・家族等に対して、当該投与により見込む効果及び特に留意する副作用等について説明し、診療録に説明内容及び患者等の受け止めを記載(説明が診療上適切でないと考える場合は、診療録にその理由を記載することで可)
    2. ロ)
      服薬状況(残薬を含む)を患者等から聴取し、診療録に記載
    3. ハ)
      3種類以上の抗精神病薬を投与している場合は、特定薬剤副作用評価加算に掲げる客観的な指標による抗精神病薬の副作用評価を行っている
    4. ニ)
      減薬の可能性について検討し、減薬計画又は減薬計画が立てられない理由を患者等に説明し、診療録に説明内容及び患者等の受け止めを記載
  • 処方料等の「向精神薬多剤投与」の減算規定から除外される場合(参照)に該当する場合

通院・在宅精神療法の加算には次のものがありますが、今回の改定では「療養生活継続支援加算」が新設されています。

【通院・在宅精神療法の加算】

20歳未満患者への加算 350点

必要に応じて児童相談所等と連携し、保護者等へ適切な指導を行った上で、20歳未満の患者に対して行った場合(当該医療機関の精神科の初受診日から1年以内)

児童思春期精神科専門管理加算

  1. イ.
    16歳未満の患者
    1. 初受診日から2年以内 500点
    2. ①以外 300点
  2. ロ.
    20歳未満の患者 1,200点(初受診日から3カ月以内)

特定機能病院もしくは児童・思春期精神科入院医療管理料の届出を行った医療機関又は別に定める施設基準を満たし届け出た医療機関で20歳未満の患者に専門的精神療法を行った場合。ただし、ロは60分以上実施した場合に1回限り算定

特定薬剤副作用評価加算 25点(月1回)

抗精神病薬を服用している患者について、客観的な指標による副作用の評価を行った場合。加算の対象は前記「通院・在宅精神療法の点数」の表中の(ハ)の①と②の場合

措置入院後継続支援加算 275点(3カ月に1回)

通院精神療法の加算。前記「通院・在宅精神療法の点数」の表中の(イ)の算定患者に対し、医師の指示を受けた看護職員又は精神保健福祉士が月1回以上の指導・助言を行った場合に算定

療養生活環境整備指導加算 250点(月1回)

通院精神療法の加算。精神科退院時共同指導料1を算定した患者に対して、精神科医師、保健師・看護師、精神保健福祉士が共同して、療養生活環境を整備するための指導を行った場合に、1年を限度に算定。施設基準を満たし、届出が必要

療養生活継続支援加算 350点(月1回)

通院精神療法の加算。重点的な支援を要するものに対して、精神科担当医の指示の下、看護師(適切な研修を受けた者)又は精神保健福祉士が、患者・家族等に対して、対面による20分以上の面接を含む支援を行うとともに、当該月内に保健所、市町村、指定特定相談支援事業者、障害福祉サービス事業者その他の関係機関と連絡調整を行った場合に、1年を限度として算定。専任の看護師(精神科等の経験3年以上で適切な研修の修了者)又は専任の精神保健福祉士の配置などの施設基準を満たし、届出が必要

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。

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