診療報酬はやわかりマニュアル

診療報酬

投薬

今回の改定では、リフィル処方箋の導入に伴い、処方箋料の算定要件が一部見直されています。また、湿布薬の処方制限は、これまでの「70枚まで」から「63枚まで」に厳格化されました。

向精神薬多剤投与時の減算
処方料 18点|処方箋料 28点|薬剤料 20%減

「1回の処方において、抗不安薬を3種類以上、睡眠薬を3種類以上、抗うつ薬を3種類以上、抗精神病薬を3種類以上又は抗不安薬と睡眠薬を合わせて4種類以上投与」の場合は「向精神薬多剤投与」となり、処方料、処方箋料、薬剤料が上記の点数に減算されます(薬剤料は、抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬のみが減算)。ただし、次のいずれかに該当する場合は減算の対象外となります。

【減算の対象外となる場合】

  1. イ)
    患者の初受診日において、他医療機関ですでに向精神薬多剤投与されている場合の連続した6カ月間
  2. ロ)
    向精神薬多剤投与に該当しない期間が1カ月以上継続し、症状の改善が不十分又はみられず、薬剤の切り替えが必要であり、すでに投与されている薬剤と新しく導入する薬剤を一時的に併用する場合の連続した3カ月間(年2回まで)
  3. ハ)
    臨時投与の場合(連続する投与期間2週間以内又は14回以内)。なお、抗不安薬及び睡眠薬については、臨時に投与する場合についても種類数に含める
  4. ニ)
    抗うつ薬又は抗精神病薬に限り、次のいずれにも該当する精神科医師として地方厚生局に届け出たものが、やむを得ず投与の必要があると認めた場合
    • 臨床経験5年以上
    • 適切な医療機関(医師に対する適切な研修を実施するため、常勤の指導責任者を配置した上で、研修プログラムの策定、医師に対する精神科医療に係る講義の提供、症例検討会の実施等を満たす医療機関)で3年以上の精神科の診療経験
    • 精神疾患に関する専門的な知識とICD-10のF0からF9の全てについて主治医として治療経験を有する
    • 精神科薬物療法に関する適切な研修を修了

注)

減算対象外となる場合は、その理由をレセプトの摘要欄に記載する。また、イの場合は当該医療機関の初診日、ロの場合は切り替え開始日、切り替え対象の薬剤名及び新規導入の薬剤名、ハの場合は臨時投与の開始日を、それぞれレセプトの摘要欄に記載する

7種類以上の内服薬又は向精神薬長期処方時の減算
処方料 29点|処方箋料 40点|薬剤料 10%減

1処方につき7種類以上の内服薬(臨時で2週間以内のもの及び地域包括診療加算〔薬剤料は地域包括診療料も含む〕の算定患者を除く)が投与された場合、または「向精神薬長期処方」の場合は、それぞれ上記の点数に減算されます(薬剤料の10%減算は「7種類以上の内服薬」の場合のみ対象)。

【向精神薬長期処方の取り扱い】

  • 薬効分類上の抗不安剤、催眠鎮静剤、精神神経用剤又はその他の中枢神経系用薬のいずれかに該当する医薬品のうち、ベンゾジアゼピン受容体作動薬を1年以上にわたって、同一の成分を同一の1日当たり用量で連続して処方している場合をいう。なお、定期処方と屯服間の変更については、同一の1日当たり用量には該当しない。また、以下のいずれかに該当する医師が行った処方又は当該処方の直近1年以内に精神科の医師からの助言を得て行っている処方については、向精神薬長期処方に該当しない
    1. ア)
      不安又は不眠に係る適切な研修を修了した医師
    2. イ)
      精神科薬物療法に係る適切な研修を修了した医師

調剤料(点数等は下記表参照)

処方料(点数等は下記表参照)

入院以外の患者に対して、1回の処方につき算定します。なお、入院患者への処方料は、入院基本料に含まれているため、別に算定できません。

外来後発医薬品使用体制加算
1 (後発医薬品割合90%以上) 5点
2 (後発医薬品割合85%以上) 4点
3 (後発医薬品割合75%以上) 2点

院内処方の診療所における後発医薬品の使用を評価した加算です。後発医薬品割合によって点数が区分されています。今回の改定では点数に変更はありませんでしたが、各区分の後発医薬品割合の基準が引き上げられています(その他の加算は下記の一覧表を参照)。

【主な施設基準】

  1. 診療所であって、薬剤部門又は薬剤師が後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえ後発医薬品の採用を決定する体制が整備されている
  2. 当該医療機関で調剤した「後発医薬品のある先発医薬品+後発医薬品の規格単位数量」に占める「後発医薬品の規格単位数量」の割合が、「1」は90%以上、「2」は85%以上、「3」は75%以上である
  3. 当該医療機関で調剤した薬剤(④の医薬品を除く)の規格単位数量に占める「後発医薬品のある先発医薬品+後発医薬品の規格単位数量」の割合が50%以上
  4. 後発医薬品の規格単位数量の割合を算出する際に以下の医薬品は除外する

    経腸成分栄養剤(エレンタール配合内用剤、エレンタールP乳幼児用配合内用剤、エンシュア・リキッド、エンシュア・H、ツインラインNF配合経腸用液、ラコールNF配合経腸用液、エネーボ配合経腸用液、ラコールNF配合経腸用半固形剤及びイノラス配合経腸用液)/特殊ミルク製剤(フェニルアラニン除去ミルク配合散「雪印」及びロイシン・イソロイシン・バリン除去ミルク配合散「雪印」)/生薬(薬効分類番号510)/漢方製剤(薬効分類番号520)/その他の生薬及び漢方処方に基づく医薬品(薬効分類番号590)

  5. 後発医薬品の使用に積極的に取り組んでいる旨を受付及び支払窓口の見やすい場所に掲示している

薬剤料

内服薬及び浸煎薬、屯服薬、外用薬ごとの所定単位につき、使用薬剤の薬価が15円以下の場合は1点とし、15円を超える場合は10円又はその端数を増すごとに1点を加算して算定します。

処方料・調剤料・薬剤料の単位・点数一覧
処方料
(1処方につき)
調剤料
(1処方につき)
薬剤料※2
の単位
入院外 内服薬 42点※1 11点 1剤1日分
浸煎薬
屯服薬 1回分
外用薬 8点 1調剤
麻薬等加算 +1点 +1点
乳幼児加算(3歳未満) +3点
特定疾患処方管理加算 1 +18点(月2回)
2 +66点(月1回)
抗悪性腫瘍剤処方管理加算 +70点(月1回)
外来後発医薬品使用体制加算 1 +5点
2 +4点
3 +2点
向精神薬調整連携加算 +12点(月1回)
入院 内服薬 算定不可 1日につき
7点
1剤1日分
浸煎薬
屯服薬 1回分
外用薬 1調剤
麻薬等加算 1日につき
+1点

※1: 向精神薬多剤投与時は18点で算定し、7種類以上の内服薬の投薬時(臨時で投薬期間が2週間以内の場合及び地域包括診療加算を算定する場合を除く)又は向精神薬長期処方時は29点で算定

※2: 向精神薬多剤投与時は該当する向精神薬は所定点数の80%で算定、7種類以上の内服薬の投薬(臨時で投薬期間が2週間以内の場合及び地域包括診療加算・地域包括診療料を算定する場合を除く)の場合は所定点数の90%で算定

注) 初診料・外来診療料において紹介割合等による減算措置の対象となる医療機関で30日以上の投薬(一部を除く)を行った場合、処方料、薬剤料は所定点数の40%で算定(参照

処方箋料 (処方箋交付1回につき)
向精神薬多剤投与時 28点
7種類以上の内服薬の投薬時又は向精神薬長期処方時 40点
上記以外 68点

保険薬局で調剤を行うために処方箋を交付する場合は、調剤料や処方料、薬剤料は算定せずに、処方箋料のみを算定します。初診料・外来診療料において紹介割合等による減算の対象となる医療機関では、所定点数の40%で算定しますが、リフィル処方箋の場合で1回の使用による投与期間が29日以内の投薬を行った場合は減算の対象外となります。

加算として、特定疾患処方管理加算1・2、抗悪性腫瘍剤処方管理加算、向精神薬調整連携加算、乳幼児加算がありますが、取り扱いは処方料と同様です。

処方箋料のみの加算としては「一般名処方加算」があります。後発医薬品のある医薬品について、一般名で処方箋を交付した場合に、処方箋に記載された全ての後発医薬品のある医薬品(2品目以上の場合に限る)が一般名の場合は「加算1」として7点を、1品目でも一般名(後発医薬品のある医薬品)の場合は「加算2」として5点を加算できます。

リフィル処方箋

今回の改定では、処方箋の様式が見直され、新たに「リフィル処方箋」が導入されました。リフィル処方箋とは、1枚の処方箋を繰り返し使用できる仕組みのことです。

新たな処方箋様式では、処方欄に「リフィル可□( 回)」という欄が設けられ、ここに「✓」と回数を記入することで、リフィル処方箋となります。

【リフィル処方箋の取り扱いの主な留意事項】

  • 医師がリフィルによる処方が可能と判断した場合には、処方箋の「リフィル可」欄に✓を記入する
  • リフィル処方箋の総使用回数の上限は3回まで。また、1回当たり投薬期間及び総投薬期間については、医師が、患者の病状等を踏まえ、個別に医学的に適切と判断した期間とする
  • 保険医療機関及び保険医療養担当規則において、投薬量に限度が定められている医薬品及び湿布薬については、リフィル処方箋による投薬を行えない
  • 薬局は1回目又は2回目(3回可の場合)に調剤を行う場合、リフィル処方箋に調剤日及び次回調剤予定日を記載するとともに、調剤を実施した薬局名及び薬剤師の氏名を余白又は裏面に記載の上、当該リフィル処方箋の写しを保管する。また、当該リフィル処方箋の総使用回数の調剤が終わった場合、調剤済処方箋として保管する
  • 1回目の調剤が可能な期間は、使用期間に記載されている日までとする。2回目以降の調剤は、原則として、前回の調剤日を起点とし、当該調剤に係る投薬期間を経過する日を次回調剤予定日(実際に投薬が終了する日)とし、その前後7日以内とする
  • 薬局の薬剤師は、リフィル処方箋により調剤するに当たって、患者の服薬状況等の確認を行い、リフィル処方箋による調剤が不適切と判断した場合には、調剤を行わず、受診勧奨を行うとともに、処方医に情報提供を行う。また、リフィル処方箋により調剤した場合は、調剤した内容、患者の服薬状況等について必要に応じ処方医へ情報提供を行う
  • 薬局の薬剤師は、リフィル処方箋の交付を受けた患者に対して、継続的な薬学的管理指導のため、同一の薬局で調剤を受けるべきである旨を説明する
  • 薬局の薬剤師は、患者の次回の調剤を受ける予定を確認する。予定時期に患者が来局しない場合は、電話等により患者の状況を確認する。患者が他の薬局で次回の調剤を受けることを申し出た場合は、当該他の薬局に調剤の状況とともに必要な情報を提供する又は情報を記録したものを患者に提供する

調剤技術基本料
入院患者 42点|その他の患者 14点

薬剤師が常勤している医療機関で調剤を行った場合に月1回算定できます。入院患者に対して、院内製剤の上で調剤を行った場合は、「院内製剤加算」(10点)を加算できます。薬剤管理指導料又は在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している場合は、算定できません。

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。

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