診療報酬はやわかりマニュアル

診療報酬

療養病棟入院基本料

療養病棟が算定する入院基本料ですが、看護職員・看護補助者の配置が「20対1以上」であることが要件となります。ただし、これを満たさない場合でも「25対1以上」等の基準を満たせば経過措置(いわゆる注11の経過措置)の適用が受けられ、この場合は所定点数が減算されます。

今回の改定では、この減算規定が「所定点数の85%」から「所定点数の75%」へと引き下げられました。さらに、注11の病棟におけるリハビリテーションの扱いも見直され、「医療区分2の患者で、疾患別リハビリテーション料を算定する患者に対してFIM(機能的自立度評価法)の測定を行っていない場合は、医療区分1の場合に相当する点数を算定する」「FIMの測定を月1回以上行っていない場合は、疾患別リハビリテーション料の算定は1日につき2単位まで」(経過措置あり〔次表の※2参照〕)という扱いになりました。

この他、医療区分3のうち、中心静脈栄養を実施している患者については、「摂食機能又は嚥下機能の回復に必要な体制を有していない場合は、医療区分3の 場合の点数に代えて、医療区分2の場合に相当する点数を算定する」という扱いになりました(経過措置あり〔次表の※1参照〕)。

また、加算として、「看護補助体制充実加算」(1日につき55点)が新設されています。

療養病棟入院料1(1日につき) 療養病棟入院料2(1日につき)
医療区分1 医療区分2 医療区分3 医療区分1 医療区分2 医療区分3
ADL区分3 入院料G
968点
(953点)
入院料D
1,414点
(1,399点)
入院料A
1,813点
(1,798点)
入院料G
903点
(889点)
入院料D
1,349点
(1,335点)
入院料A
1,748点
(1,734点)
ADL区分2 入院料H
920点
(905点)
入院料E
1,386点
(1,372点)
入院料B
1,758点
(1,744点)
入院料H
855点
(841点)
入院料E
1,322点
(1,307点)
入院料B
1,694点
(1,680点)
ADL区分1 入院料I
815点
(801点)
入院料F
1,232点
(1,217点)
入院料C
1,471点
(1,457点)
入院料I
751点
(736点)
入院料F
1,167点
(1,153点)
入院料C
1,406点
(1,392点)
看護職員 20対1以上(最小必要数の20%以上が看護師) 20対1以上(最小必要数の20%以上が看護師)
看護補助者 20対1以上 20対1以上
入院患者 医療区分2又は3の患者が80%以上 医療区分2又は3の患者が50%以上
その他の
施設基準等
  • 褥瘡の発生割合等について継続的に測定を行い、その結果に基づき評価を行っている
  • 医療区分、ADL区分に係る疾患及び状態等、ADLの判定基準による判定結果について、記録している
  • 当該医療機関において適切な意思決定支援に関する指針を定めている
  • 中心静脈注射用カテーテルに係る感染防止のための体制として、次の体制を整備している
    ア) 中心静脈注射用カテーテルに係る院内感染対策のための指針の策定
    イ) 入院患者について、中心静脈注射用カテーテルに係る感染症の発生状況を継続的に把握し、その結果を所定の様式に記載する
  • データ提出加算の届出
  • 医療区分3のうち、中心静脈栄養を実施している患者で、摂食機能又は嚥下機能の回復に必要な体制を有していない場合は、医療区分3の場合の点数に代えて、医療区分2の場合に相当する点数を算定する※1
    〈注11の経過措置の病棟(本表の欄外注5参照)におけるリハビリテーション等の扱い※2
  • 医療区分2の患者で、疾患別リハビリテーション料を算定する患者に対してFIM(機能的自立度評価法)の測定を行っていない場合は、医療区分1の場合に相当する点数を算定する
  • FIM(機能的自立度評価法)の測定を月1回以上行っていない場合は、疾患別リハビリテーション料は1日につき2単位まで算定
包括される
項目
検査/投薬及び注射(下記「出来高算定できる薬剤」を除く)/病理診断/画像診断のうち、エックス線診断料の単純撮影に係る写真診断・撮影の費用/処置のうち、創傷処置〔手術日から14日以内の患者に対するものを除く〕、喀痰吸引、摘便、酸素吸入、酸素テント、皮膚科軟膏処置、膀胱洗浄、留置カテーテル設置、導尿、膣洗浄、眼処置、耳処置、耳管処置、鼻処置、口腔・咽頭処置、間接喉頭鏡下喉頭処置、ネブライザ、超音波ネブライザ、介達牽引、消炎鎮痛等処置、鼻腔栄養、長期療養患者褥瘡等処置
〈出来高算定できる薬剤(除外薬剤・注射薬)〉
悪性新生物の患者への抗悪性腫瘍剤/疼痛コントロールのための医療用麻薬/人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与されたHIF-PH阻害剤、エリスロポエチン、ダルベポエチン、エポエチンベータペゴル/インターフェロン製剤(B型・C型肝炎の効能・効果を有するものに限る)/抗ウイルス剤(B型・C型肝炎の効能・効果を有するもの及び後天性免疫不全症候群又はHIV感染症の効能・効果を有するものに限る)/血友病の治療に係る血液凝固因子製剤及び血液凝固因子抗体迂回活性複合体
加算
  • 褥瘡対策加算1 +15点(1日につき)(ADL区分3の患者が対象)
    褥瘡対策加算2 + 5点(1日につき)(ADL区分3の患者が対象)
  • 重症児(者)受入連携加算   +2,000点(入院初日)
  • 急性期患者支援療養病床初期加算+300点(1日につき、14日限度)
  • 在宅患者支援療養病床初期加算 +350点(1日につき、14日限度)
  • 慢性維持透析管理加算 +100点(1日につき)(入院料1のみ)
  • 在宅復帰機能強化加算 + 50点(1日につき)(入院料1のみ)
  • 夜間看護加算 +50点(1日につき)
  • 看護補助体制充実加算 +55点(1日につき)
算定可能な
入院基本料
等加算
地域医療支援病院入院診療加算/臨床研修病院入院診療加算/紹介受診重点医療機関入院診療加算/在宅患者緊急入院診療加算/診療録管理体制加算/医師事務作業補助体制加算(50対1、75対1、100対1に限る)/乳幼児加算・幼児加算/超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算/地域加算/離島加算/HIV感染者療養環境特別加算/療養病棟療養環境加算/療養病棟療養環境改善加算/重症皮膚潰瘍管理加算/栄養サポートチーム加算/医療安全対策加算/感染対策向上加算/患者サポート体制充実加算/報告書管理体制加算/病棟薬剤業務実施加算1/データ提出加算/入退院支援加算(1の療養病棟入院基本料等の場合又は2の療養病棟入院基本料等の場合に限る)/認知症ケア加算/薬剤総合評価調整加算/排尿自立支援加算

※1: 2022年3月末時点で入院料1又は2の届出医療機関は、同年9月末まで摂食機能又は嚥下機能の回復に必要な体制が確保されているものとみなす。また、2022年3月末時点での入院料1又は2の算定患者で、医療区分3のうち「中心静脈注射を実施」に該当するものは、当該患者の入院病棟の摂食機能又は嚥下機能の回復に必要な体制の確保の状況にかかわらず、当該状態が継続している間に限り、医療区分3に該当する場合の点数を算定できる

※2: 2022年3月末時点での届出医療機関については、同年9月末までの間に限り、FIMの測定を行っているものとみなす

注1) ( )内の点数は生活療養を受ける場合

注2) 急性増悪により、一般病棟へ転棟又は別の医療機関の一般病棟へ転院する場合には、転棟の場合は前日を1日目として3日前まで、転院の場合は当日を1日目として3日前までは「入院料Ⅰ」の点数を算定し、検査、投薬等の包括項目も出来高で算定する

注3) 新型インフルエンザ等感染症がまん延している期間として厚生労働大臣が指定した期間に、療養病棟で同感染症の患者(擬似症患者を含む)を入院させた場合は、一般病棟入院基本料が算定可能。ただし、その旨の届出が必要

注4) 療養病棟入院料1、2以外の病棟は、当分の間、地方厚生局長に届け出た場合に限り、特別入院基本料として577点(生活療養を受ける場合は563点)を算定できる

注5) 療養病棟入院料1、2以外の病棟で、療養病棟入院料2の施設基準のうち「看護職員配置20対1以上」「看護補助者配置20対1以上」又は「医療区分2又は3の患者割合50%以上」のみを満たさない病棟は、療養病棟入院料2の所定点数の75%相当の点数を算定する(ただし、「20対1以上」を満たさない場合は「25対1以上」を満たす必要がある)

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。

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