DPCはやわかりマニュアル

医療機関別係数
機能評価係数Ⅱ

機能評価係数Ⅱ

医療機関が担うべき役割や機能等を評価している、DPC対象病院に対するインセンティブとしての係数で、下記の6つの指数に基づいて設定される係数の合計が病院ごとの機能評価係数Ⅱです。

2022年度改定においては、従来の6つの係数を維持した上で、地域医療係数の設定に用いる地域医療指数の評価内容が一部見直されました。

保険診療係数、複雑性係数、カバー率係数、地域医療係数については、医療機関群ごとに評価が行われています。

なお、係数は、2020年10月1日~2021年9月30日の実績等に基づき設定されていますが、新型コロナウイルス感染症に係る臨時的な取り扱いがなされています(参照)。

機能評価係数

【機能評価係数Ⅱ】

1.保険診療指数
考え方 提出データの質や医療の透明化、保険診療の質的向上等を目指す取り組みを評価
評価指標
原則1点だが、下記の基準に該当した場合はそれぞれ加算又は減算
  1. (1)
    適切なDPCデータ作成
    1. 「部位不明・詳細不明コード」の使用割合が10%以上の場合、0.05点減算
    2. 以下に該当する様式間の記載矛盾のデータ件数が全体の1%以上の場合、0.05点減算
      1. ⅰ.
        様式1の親様式・子様式間:データ属性等(郵便番号、性別、生年月日等)
      2. ⅱ.
        様式1とEFファイル間:入院日数、入院料の算定回数
      3. ⅲ.
        様式4とEFファイル:医科保険情報と先進医療等情報
      4. ⅳ.
        DファイルとEFファイル:記入されている入院料等
    3. 未コード化傷病名の割合が2%以上の場合、0.05点減算(様式1で評価)
  2. (2)
    病院情報の公表
    自院のホームページで公表した場合、0.05点加算
  3. (3)
    保険診療への取り組み
    2024年度からの評価を検討
2.効率性指数
考え方 在院日数短縮の努力を評価
評価指標
〔全DPC対象病院の平均在院日数〕/〔当該病院の患者構成が全DPC対象病院と同じと仮定した場合の平均在院日数〕
計算対象
  • 当該病院において、12症例(1症例/月)以上ある診断群分類
  • 包括評価対象の診断群分類
3.複雑性指数
考え方 一入院当たり医療資源投入の観点から見た患者構成への評価
評価指標
〔当該病院の包括範囲出来高点数(一入院当たり)を、包括対象の診断群分類ごとに全病院の平均包括範囲出来高点数に置き換えた点数〕/〔全病院の平均一入院当たり包括点数〕
計算対象
  • 当該病院において、12症例(1症例/月)以上ある診断群分類
  • 包括評価対象の診断群分類
4.カバー率指数
考え方 さまざまな疾患に対応できる総合的な体制を評価
評価指標
〔当該病院で一定症例数以上算定している診断群分類数〕/〔全診断群分類数〕
計算対象
  • 当該病院において、12症例(1症例/月)以上ある診断群分類
  • 全て(包括評価対象・対象外の両方含む)の支払い分類
5.救急医療指数
考え方 救急医療入院の対象となる患者治療に要する資源投入量の乖離を評価
評価指標
1症例当たり〔下記の患者について、入院後2日間までの包括範囲出来高点数(出来高診療実績)と診断群分類点数表の点数との差額の総和〕
救急医療管理加算2相当の指数値は1/2
  1. (1)
    救急医療管理加算の施設基準を取得している施設
    「救急医療入院」かつ以下のいずれかを入院初日から算定している患者
    救急医療管理加算/救命救急入院料/特定集中治療室管理料/ハイケアユニット入院医療管理料/脳卒中ケアユニット入院医療管理料/小児特定集中治療室管理料/新生児特定集中治療室管理料/総合周産期特定集中治療室管理料
  2. (2)
    救急医療管理加算の施設基準を取得していない施設
    「救急医療入院」の患者
6.地域医療指数
考え方 地域医療への貢献を評価
体制評価指数 5疾病5事業等における急性期入院医療を評価(下表参照)
(計10項目、DPC標準病院群は上限6ポイント、大学病院本院群・DPC特定病院群は上限8ポイント)
定量評価指数
〔当該病院の所属地域の担当患者数〕/〔当該病院の所属地域の発生患者数〕を、15歳未満と15歳以上に分けてそれぞれ同配分で評価
*評価対象:
DPC標準病院群は2次医療圏、大学病院本院群・DPC特定病院群は3次医療圏のDPC対象病院の入院患者

※評価シェアは1:1

〈体制評価指数〉
評価項目 概要 DPC標準病院群 大学病院本院群 DPC特定病院群
1 がん がんの地域連携
体制への評価(0.5P)
退院患者の〔がん治療連携計画策定料の算定患者数〕/〔医療資源病名が悪性腫瘍の関連病名の患者数〕
がん診療連携
拠点病院等の
体制への評価(0.5P)
下記のいずれかの指定(0.5P)
  • がん診療連携拠点病院
  • 小児がん拠点病院
  • 地域がん診療病院
  • 特定領域がん診療連携拠点病院
  • 都道府県がん診療連携拠点病院又は小児がん拠点病院の指定(0.5P)
  • 地域がん診療連携拠点病院の指定(0.25P)
2 脳卒中 脳卒中の急性期の
診療実績への評価
下記のいずれかの最大値がポイント
  • t-PA療法の実施(0.25P)
  • 超急性期脳卒中加算の算定実績又は血管内治療の実施実績(0.5P)
  • 超急性期脳卒中加算の算定実績及び血管内治療の実施実績(1P)
    【血管内治療の実施】
    入院2日目までに以下のいずれかの点数を算定した症例の診療実績
    経皮的選択的脳血栓・塞栓溶解術(頭蓋内脳血管)/経皮的選択的脳血栓・塞栓
    溶解術〔頸部脳血管(内頸動脈、椎骨動脈)〕/経皮的脳血栓回収術
3 心筋梗塞等の
心血管疾患
緊急時の心筋梗塞の
PCIや外科治療の
実績(0.5P)
下記全てを満たす症例の診療実績
  • 医療資源を最も投入した傷病名が「急性心筋梗塞」
  • 予定外の入院で、手術に係る時間外対応加算(特例含む)・休日加算・深夜加算を算定
  • 入院2日目までに以下のいずれかの点数を算定
    経皮的冠動脈形成術/経皮的冠動脈粥腫切除術/経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの)/経皮的冠動脈ステント留置術/冠動脈内血栓溶解療法/経皮的冠動脈血栓吸引術/冠動脈形成術(血栓内膜摘除)/冠動脈、大動脈バイパス移植術/冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)
急性大動脈解離の
手術実績(0.5P)
入院中に下記のいずれかの点数を算定した症例の診療実績
(25パーセンタイル値以上の病院は0.5P、その他は0P)
大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む)(上行大動脈)/大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む) (弓部大動脈)/大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む)(上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術)/大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む)(下行大動脈)/大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む)(胸腹部大動脈)/オープン型ステントグラフト内挿術(弓部大動脈)/オープン型ステントグラフト内挿術(上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術)/オープン型ステントグラフト内挿術(下行大動脈)/ステントグラフト内挿術(血管損傷以外の胸部大動脈)
4 精神疾患 精神科
入院医療への評価
  • 精神科身体合併症管理加算の算定実績(0.5P)
  • 精神科救急・合併症入院料の1件以上の算定実績(1P)
5 災害 災害時における
医療への体制を評価
  • 災害拠点病院の指定(0.5P)
  • DMATの指定(0.25P)
  • EMISへの参加(0.25P)
  • BCPの策定(災害拠点病院を除く)(0.25P)
6 周産期 周産期医療への
体制を評価
下記のいずれかの指定(1P)
  • 総合周産期母子医療センター
  • 地域周産期母子医療センター
  • 総合周産期母子医療センターの指定(1P)
  • 地域周産期母子医療センターの指定(0.5P)
7 へき地 へき地医療への
体制を評価
  • 下記のいずれか(1P)
    1. へき地医療拠点病院の指定かつ巡回診療、医師派遣、代診医派遣を合算で年12回以上実施
    2. 社会医療法人認可におけるへき地医療の要件を満たしている
  • へき地医療拠点病院の指定(巡回診療、医師派遣、代診医派遣を合算で年12回以上実施している場合を除く)(0.5P)
8 救急 医療計画上の体制及び
救急医療の実績を評価
2次救急医療機関で下記のいずれか(0.1P)
  • 病院群輪番制への参加施設
  • 共同利用型の施設
  • 救命救急センター
  • 救命救急センター(0.5P)
  • 2次救急医療機関で病院群輪番制への参加施設、共同利用型の施設(0.1P)
上記体制を前提とし、救急車で来院し、入院となった患者数(最大0.9P) 上記体制を前提とし、救急車で来院し、入院となった患者数(救急医療入院に限る)(最大0.5P)
9 感染症 新興感染症等に係る
医療への体制を評価
  • 新型インフルエンザ患者入院医療機関(0.25P)
  • 新型コロナウイルス感染症に係る病床を確保(0.25P)
  • 上記のいずれも満たしている(0.75P)
  • G-MISへの参加(日次調査への年間の参加割合を線形で評価)(最大0.25P)
10 その他 その他
重要な分野への貢献
右記のいずれか1項目を満たしている(1P)
治験等の実施
  • 過去3カ年において、主導的に実施した医師主導治験が8件以上、又は主導的に実施した医師主導治験が4件以上かつ主導的に実施した臨床研究実績が40件以上(1P)
  • 20例以上の治験の実施、10例以上の先進医療の実施又は10例以上の患者申出療養の実施(0.5P)
    ※協力施設としての治験の実施を含む

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。

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