DPCはやわかりマニュアル

診断群分類点数の設定方式

1日当たり包括点数の設定

DPCの特徴の1つとして、診断群分類ごとに平均在院日数が定められていることが挙げられます。この平均在院日数を軸に3段階の1日当たり包括点数が設定されており、医療資源の投入量が多い入院初期の点数が高くなる仕組みになっています。

具体的な点数設定は、診断群分類によって医療資源投入のタイミングが異なることから、①点数設定方式A(一般的な診断群分類)、②点数設定方式B(入院初期の医療資源投入量が多い診断群分類)、③点数設定方式C(入院初期の医療資源投入量が少ない診断群分類)、④点数設定方式D(高額薬剤や手術等に係る診断群分類)――の4種類の方式が用いられています。

点数設定方式A

【一般的な診断群分類】

最も多くの診断群分類に用いられている設定方式で、入院期間Ⅰは“一入院期間での1日当たり医療資源の平均投入量”に基づいて17%加算した点数、入院期間Ⅱは右上図のAとBの面積が等しくなる点数、入院期間Ⅲは“入院期間Ⅱより15%減算”と“入院期間Ⅲの1日当たり医療資源の平均投入量”のうち、低い方の点数が設定されています。つまり、平均在院日数(第Ⅱ日)で退院した場合の1日当たりの点数が、“一入院期間での1日当たり医療資源の平均投入量”に相当するよう設定されています。

入院期間Ⅰの点数は、従来15%の加算でしたが、入院初期の医療資源投入量が年々増加していることを踏まえ、2022年度改定で17%に引き上げられました。なお、点数設定の仕組みにより、入院期間Ⅱの点数は入院期間Ⅰを引き上げた分低くなり、入院期間Ⅲの点数も入院期間Ⅱの点数を基準に設定されるため、引き下げられています。

点数設定方式Aで設定されている診断群分類は1,688分類で、全体の約72%に用いられています。

点数設定方式A

点数設定方式B

【入院初期の医療資源投入量が多い診断群分類】

入院期間Ⅰの点数は“入院期間Ⅰでの1日当たり医療資源の平均投入量”に基づき設定され、一般的な診断群分類より高くなります。入院期間Ⅱ・Ⅲの点数設定の仕組みは、点数設定方式Aと同様です。

2022年度改定では、257分類に用いられています。

点数設定方式B

点数設定方式C

【入院初期の医療資源投入量が少ない診断群分類】

考え方は点数設定方式Aと同じですが、入院期間Ⅰの加算が10%に縮小され、入院期間Ⅲの減算も10%と小さくなっています。

2022年度改定では、236分類に用いられています。

点数設定方式C

点数設定方式D

【高額薬剤や手術等に係る診断群分類】

高額な薬剤等を使用する診断群分類や短期滞在手術等基本料3に相当する診断群分類等に用いられている設定方式です。入院期間Ⅰは「1日」で固定され、入院初日に入院基本料以外の包括範囲の報酬が全て償還される点数設定となっています。

2022年度改定では、153分類に用いられています。

点数設定方式D

【参考】短期滞在手術等基本料3の対象手術等

  • D237
    終夜睡眠ポリグラフィー 3 1及び2以外
  • D237-2
    反復睡眠潜時試験(MSLT)
  • D287
    内分泌負荷試験
    1下垂体前葉負荷試験 イ成長ホルモン(GH)(一連として)
  • D291-2
    小児食物アレルギー負荷検査
  • D413
    前立腺針生検法 2その他のもの
  • K007-2
    経皮的放射線治療用金属マーカー留置術
  • K030
    四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術 2手、足(手に限る)
  • K046
    骨折観血的手術 2前腕、下腿、手舟状骨(手舟状骨に限る)
  • K048
    骨内異物(挿入物を含む)除去術
    3前腕、下腿(前腕に限る)、
    4鎖骨、膝蓋骨、手、足、指(手、足)その他(鎖骨、手に限る)
  • K070
    ガングリオン摘出術 1手、足、指(手、足)(手に限る)
  • K093-2
    関節鏡下手根管開放手術
  • K196-2
    胸腔鏡下交感神経節切除術(両側)
  • K202
    涙管チューブ挿入術 1涙道内視鏡を用いるもの
  • K217
    眼瞼内反症手術 2皮膚切開法
  • K219
    眼瞼下垂症手術 1眼瞼挙筋前転法、3その他のもの
  • K224
    翼状片手術(弁の移植を要するもの)
  • K242
    斜視手術 2後転法、3前転法及び後転法の併施
  • K254
    治療的角膜切除術 1エキシマレーザーによるもの(角膜ジストロフィー又は帯状角膜変性に係るものに限る)
  • K268
    緑内障手術 6水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術
  • K282
    水晶体再建術 1眼内レンズを挿入する場合 ロその他のもの、2眼内レンズを挿入しない場合
  • K318
    鼓膜形成手術
  • K333
    鼻骨骨折整復固定術
  • K389
    喉頭・声帯ポリープ切除術
    2直達喉頭鏡又はファイバースコープによるもの
  • K474
    乳腺腫瘍摘出術
  • K616-4
    経皮的シャント拡張術・血栓除去術
  • K617
    下肢静脈瘤手術 1抜去切除術、2硬化療法(一連として)、3高位結紮術
  • K617-2
    大伏在静脈抜去術
  • K617-4
    下肢静脈瘤血管内焼灼術
  • K617-6
    下肢静脈瘤血管内塞栓術
  • K633
    ヘルニア手術 5鼠径ヘルニア
  • K634
    腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側)
  • K721
    内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術
  • K743
    痔核手術(脱肛を含む)2硬化療法(四段階注射法によるもの)
  • K747
    肛門良性腫瘍、肛門ポリープ、肛門尖圭コンジローム切除術(肛門ポリープ切除術、肛門尖圭コンジローム切除術に限る)
  • K768
    体外衝撃波腎・尿管結石破砕術(一連につき)
  • K823-6
    尿失禁手術(ボツリヌス毒素によるもの)
  • K834-3
    顕微鏡下精索静脈瘤手術
  • K867
    子宮頸部(腟部)切除術
  • K872-3
    子宮鏡下有茎粘膜下筋腫切出術、子宮内膜ポリープ切除術
  • K873
    子宮鏡下子宮筋腫摘出術
  • K890-3
    腹腔鏡下卵管形成術
  • M001-2
    ガンマナイフによる定位放射線治療

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。

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