診断群分類区分の決定について

診断群分類区分の決定は、主治医が患者の退院時(DPC算定病棟等以外の病棟等への転棟含む)に行います。その際、DPC算定病床に入院していた期間に治療対象となった傷病のうち、医療資源を最も投入した傷病をICD-10から選択することになっています。一入院期間中に複数の傷病に対して治療を行った場合でも、診断群分類区分は1つだけ決定します。

なお、医療資源を最も投入した傷病が確定していない場合は、入院の契機となった傷病で判断し、検査入院等で入院中に確定診断がつかなかった場合は、疑い病名により診断群分類区分を決定することが可能です。

診断群分類区分決定時の主な留意事項

  1. 下記のICD-10は選択できません。
    • 詳細不明の寄生虫症(B89)
    • 他章に分類される疾患の原因である連鎖球菌及びブドウ球菌(B95)からその他及び詳細不明の感染症(B99)まで
    • 心拍の異常(R00)からその他の診断名不明確及び原因不明の死亡(R99)まで〔鼻出血(R04.0)、喀血(R04.2)、気道のその他の部位からの出血(R04.8)、気道からの出血,詳細不明(R04.9)、熱性けいれん〈痙攣〉(R56.0)、限局性発汗過多〈多汗〉(症)(R61.0)、全身性発汗過多〈多汗〉(症)(R61.1)、発汗過多〈多汗〉(症),詳細不明(R61.9)、ブドウ糖負荷試験異常(R73.0)除く〕
    • 独立した(原発性)多部位の悪性新生物〈腫瘍〉(C97)、部位不明の表在損傷(T14.0)から損傷,詳細不明(T14.9)まで(主たる部位のICD-10を選択)
  2. 手術等を実施していない期間に診断群分類区分の適用を判断する場合は、入院診療計画等で確認できる予定手術等も勘案します(手術を実施していない時点で請求する場合、入院診療計画等に手術の実施を記載しており、かつ、患者等への説明を行っている場合は「手術あり」の診断群分類区分により算定)。
  3. 医科点数表で「区分番号K○○○の○○術に準じて算定する」と規定されている手術の診断群分類区分を決定する場合は、準用元の手術で判断します。
  4. 定義テーブルの「手術」の欄において、「+」により複数の手術が並列されているものは、一入院期間中に並列された全手術を実施した場合が該当します。
  5. 同一傷病に対し、複数の手術等を実施した場合等も、下記に基づき、1つだけ診断群分類区分を決定します。
    • 入院中に定義テーブルに記載された複数の手術等の診療行為を行い、同一疾患内の複数のDPCコードに該当する可能性がある場合は、「手術」「手術・処置等1」「手術・処置等2」「定義副傷病」の全項目について、ツリー図で下に掲げられたDPCコードを優先して選択
  6. 同一手術野又は同一病巣につき、2以上の手術を同時に実施した場合も、原則として主たる手術の所定点数のみ算定しますが、算定しなかった手術が診断群分類区分の定義テーブルの項目に含まれている場合は、当該手術に係る分岐を選択することができます。この場合、算定しなかった手術の区分番号、名称、実施日をレセプトの「診療関連情報」欄に記載します。
  7. 他院で手術を実施した後に自院に転院した患者について、自院で手術を実施しなかった場合は、「手術なし」を選択します。
  8. 定義副傷病には、入院時併存症(入院当初に患者が既に持っている傷病)及び入院後発症傷病(入院後に発症した傷病)の両方が含まれます(疑い病名除く)。
    該当項目については、手術あり・なし別に、定義テーブルの定義副傷病欄のフラグに基づき判断します。なお、定義テーブルの定義副傷病欄に6桁の分類が記載されていますが、6桁の分類の傷病名欄に記載されたICD-10コードに該当する場合に、「定義副傷病あり」を選択します。
    【定義副傷病欄のフラグの番号の意味】
    1. 「1」:
      手術あり・なし共通の定義副傷病
    2. 「2」:
      手術なしの場合の定義副傷病
    3. 「3」:
      手術ありの場合の定義副傷病
  9. JCSは、DPC算定病棟等への入院等の時点で判断します。ただし、入院等の後に発症した傷病が医療資源を最も投入した傷病となる場合は、当該傷病の発症時に判断します。
  10. 「15歳以上」等の年齢については、診断群分類区分が適用される入院時の年齢で判断します。
  11. 慢性肝炎等の分類中に規定する「インターフェロンβ」の「一定期間以上投与した場合に限る」は、連続投与に限らず、一入院期間中における7日以上の投与を意味します。
  12. 「060350急性膵炎、被包化壊死」における重症度等の「重症」は、下記に基づき判断します。
    • 急性膵炎の重症度判定基準(2008年改訂)により、重症(予後因子3点以上又は造影CT grade2以上)として判定される病態
      厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 難治性膵疾患に関する調査研究班
    • 重症度が判定できない「不明」の場合は、「軽症」の診断群分類区分を選択
  13. 「010060脳梗塞」における重症度等の発症時期は、診断群分類区分の適用開始時を起点として選択します。なお、適用開始後に発症した場合は、発症後3日目以内を選択します。
  14. 「040080肺炎等」は、下記に基づき判断します。
    • 「市中肺炎」の該当の有無は、以下の例を参考にすること
      例)市中肺炎に該当しないもの
      • 入院48時間以降に病院内で発症した肺炎
      • 重篤な免疫抑制状態
      • 老人施設と長期療養施設で発症した肺炎
      • 慢性下気道感染症の急性増悪
    • 重症度等の「A-DROPスコア」とは、以下のうち入院時(入院中の発生は発症時)の状態に該当する項目の合計数
      • 男性70歳以上、女性75歳以上
      • BUN21mg/dL以上又は脱水あり
      • SpO2 90%以下(PaO2 60Torr以下)
      • 意識障害あり
      • 血圧(収縮期)90mmHg以下
  15. 「120170早産、切迫早産」における「年齢、出生時体重等の妊娠週数」は、入院時の妊娠週数を意味し、「妊娠週数34週以上」には妊娠週数が不明の場合等も含まれます。
  16. 「100250下垂体機能低下症」における「内分泌負荷試験 下垂体前葉負荷試験」は、医科点数表第2章第3部検査の「D287内分泌負荷試験」の「1下垂体前葉負荷試験」を意味します。
  17. 「他の病院・診療所の病棟からの転院」は、入院経路が他の病院・診療所の病棟からの転院の場合を意味します。なお、特別の関係にある医療機関からの転院も含まれます。
  18. 「120260分娩の異常」における「分娩時出血量」は、「入院前1週間以内に分娩あり」又は「入院中の分娩あり」の場合の分娩時出血量を意味します。なお、「入院周辺の分娩の有無」が「その他」の場合や分娩時出血量が不明の場合は、「2,000ml未満」を選択します。
  19. 「060300肝硬変(胆汁性肝硬変を含む)」における重症度等の「Child-Pugh分類」は、一入院期間で医学的に最も重症度が高いと考えられる時点での状態に基づき、下表の5項目の合計点により選択します。なお、「不明」の項目は「1点」とします。
  20. 項目 評点
    1点 2点 3点
    T-Bil(mg/dL) <2.0 2.0~3.0 3.0<
    Alb(g/dL) 3.5< 2.8~3.5 <2.8
    腹水 なし 少量 中等量
    脳症 なし 軽症 ときどき昏睡
    PT(%) 70< 40~70 <40
  21. 化学療法の「レジメン別分岐」は、分岐の対象となっている薬剤に加えて、他の薬剤を併用しても選択できます。なお、手術中に行った化学療法のみで「化学療法あり」を選択することはできません。DPCコードとツリー図の定義にあるように、「化学療法」には手術中の使用、外来・退院時及び在宅医療での処方は含まれていません。
  22. 手術中に使用した薬剤のみで「手術・処置等2」の特定の薬剤名(成分名)での分岐を選択することはできません。特定の薬剤名での分岐には、手術中の使用、外来・退院時及び在宅医療での処方は含まれていません。
  23. 「060020胃の悪性腫瘍」等で、化学療法と放射線療法の両方を行った場合の「手術・処置等2」は、「放射線療法あり」を選択します。「放射線療法あり」については、特に明記されていない場合、化学療法を併用した患者も含まれます。
  24. 医科点数表第2章第12部放射線治療で評価される特定保険医療材料のみを使用した場合、診断群分類区分は「放射線療法なし」を選択します。
  25. 「G006植込型カテーテルによる中心静脈注射」を実施しても、「手術・処置等2」の分岐にある「G005中心静脈注射」を選択することはできません。

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