DPCはやわかりマニュアル

2022年度DPC制度の見直し

改定の概要

2016年度改定で課題として示された、平均的な診療実態から外れて診療密度が低い病院等への対応が行われました。当初はDPC制度からの退出も視野に検討が進められてきましたが、回復期病棟を持つ病院がリハビリテーション目的等で転院してきた患者を一時的にDPC算定病棟に入院させているケースが明らかになり、転院症例と直接入院症例で医療資源投入量の傾向に差が見られました。そこで、疾患の頻度が高く、かつ、医療の標準化が進んでいると考えられる疾患のうち、手術が定義されていない診断群分類については、転院の有無により評価が区別されました。

この他、制度創設時から使用されている点数設定方式Aの入院初期の点数について、実態を踏まえて引き上げるなどの見直しが行われています。

主な見直し内容

医科診療報酬点数表(以下、医科点数表)の改定内容に関連した見直しの他、下記の見直しが行われました。

診断群分類等

  • 医療資源の同等性、臨床的類似性等の観点から、診断群分類及び診断群分類ごとの点数が見直されました。
  • 「050030急性心筋梗塞(続発性合併症を含む)、再発性心筋梗塞」「050050狭心症、慢性虚血性心疾患」「050130心不全」「160800股関節・大腿近位の骨折」に、転院の有無による分岐が導入されました。

点数設定方式

  • 点数設定方式Aの入院期間Ⅰの加算が15%から17%に引き上げられました。これに伴い、入院期間Ⅱ・Ⅲの点数は引き下げられました(参照)。
  • 短期滞在手術等基本料3に相当する診断群分類や、その他の手術等に係る診断群分類で、一定の要件を満たすものについては、点数設定方式Dで設定されました(参照)。

医療機関別係数

  • 基礎係数及び機能評価係数Ⅱの算出に使用される診療実績データについては、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえた臨時的な対応が行われました(参照)。
  • 機能評価係数Ⅰは、医科点数表の見直しが反映され、新設の紹介受診重点医療機関入院診療加算等が係数化されました。特定機能病院については、既存点数の医師事務作業補助体制加算2も係数化されています。一方、臨床研修病院入院診療加算の係数は廃止されました。なお、高度急性期医療を評価した新設の急性期充実体制加算は、係数化されていません(参照)。
  • 機能評価係数Ⅱは、地域医療指数の体制評価指数の評価項目に「感染症」が追加されました。体制評価指数では、医療計画の5疾病5事業等における急性期医療を評価していますが、第8次医療計画(2024~2029年度)から「新興感染症等の感染拡大時における医療」が追加され、5疾病6事業となることを踏まえた対応です。また、既存の「災害」「へき地」についても見直され、「災害」では災害拠点病院以外の病院におけるBCP(業務継続計画)の策定、「へき地」ではへき地医療拠点病院に対する事業目標が評価内容に追加されました(参照)。

算定ルール

  • 遺伝子組換えヒトvon Willebrand因子製剤について、改定前は、von Willebrand病の患者に対して使用する場合に高額薬剤判定が適用されていましたが、von Willebrand病は血友病と同様の疾病としての特徴があることから、包括対象外薬剤に追加され、薬剤に係る費用については、恒久的に出来高算定となりました(参照)。

その他

  • 入院医療を担う医療機関の機能や役割を分析・評価する目的から、診療行為や薬剤料等が包括されている下記を算定している場合、診療行為等を外来EFファイルとして提出するよう要件が見直されました。なお、6カ月間(2022年9月末まで)の経過措置が設けられています。

    小児科外来診療料/慢性維持透析患者外来医学管理料/地域包括診療料/認知症地域包括診療料/小児かかりつけ診療料/生活習慣病管理料/手術前医学管理料/在宅時医学総合管理料/施設入居時等医学総合管理料/在宅がん医療総合診療料

  • 様式1、Kファイルの内容が見直されました(参照

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。

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