A.
電子化された添付文書の「9. 特定の背景を有する患者に関する注意」の項に、以下の記載があります。
・高度腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者:投与しないこと。カナグリフロジン水和物の効果が期待できない。
・中等度腎機能障害患者:投与の必要性を慎重に判断すること。カナグリフロジン水和物の効果が十分に得られない可能性がある。
有効成分のひとつのカナグリフロジンは、SGLT2阻害作用により腎臓でのグルコース再吸収を抑制し、血中に過剰に存在するグルコースの尿中排泄を促進することにより、HbA1c等を改善する作用を持ちます。
この作用機序の面から、高度腎機能障害患者では効果が期待できないため投与を避け、中等度腎機能障害患者では効果が十分に得られない可能性があるため投与の必要性を慎重に判断してください1,2)。
カナグリフロジンの利尿作用により多尿・頻尿、体液量の減少がみられることがありますので、脱水や糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症等の発現に注意してください3)。
また、カナグリフロジンの投与により血清クレアチニンの上昇またはeGFRの低下がみられることがあるので、腎機能を定期的に検査してください。腎機能障害患者においては経過を十分に観察し、継続的にeGFRが45mL/min/1.73m2未満に低下した場合は投与の中止を検討してください4)。
腎機能障害患者にカナグリフロジンおよびテネリグリプチンを別に投与して薬物動態および尿中グルコース排泄量(カナグリフロジンのみ)を検討した結果は、以下の通りでした5)。
【カナグリフロジン】
中等度腎機能障害(eGFR:30~49mL/min/1.73m2)を伴う2型糖尿病患者(12例)に、カナグリフロジン100mgを単回経口投与したとき、カナグリフロジンのAUC0-∞の8766ng・h/mLは、腎機能正常2型糖尿病患者(eGFR≧80mL/min/1.73m2、12例)のAUC0-∞の6929ng・h/mLと比較して約26%上昇しました。
また、腎機能正常および中等度腎機能障害を伴う2型糖尿病患者における投与後24時間までの累積尿中グルコース排泄量のベースラインからの変化量(平均値[95%信頼区間])は、86.592g[75.612-97.572]、61.017g[49.362-72.671]でした。(日本人のデータ)
【テネリグリプチン】
テネリグリプチン20mgを単回経口投与したときのAUC0-∞は、健康成人(Ccr>80mL/min、8例)の1748.39ng・hr/mLと比較して、軽度腎機能障害者(50≦Ccr≦80mL/min、8例)で2178.90ng・hr/mL、中等度腎機能障害者(30≦Ccr<50mL/min、8例)で2930.17ng・hr/mL、および高度腎機能障害者(Ccr<30mL/min、8例)で2603.17ng・hr/mLであり、それぞれ約1.25倍、約1.68倍および約1.49倍でした。(外国人のデータ)
参考資料: |
1) |
インタビューフォーム/Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目/6.特定の背景を有する患者に関する注意 |
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2) |
インタビューフォーム/Ⅴ.治療に関する項目/2.効能又は効果に関連する注意 |
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3) |
インタビューフォーム/Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目/5.重要な基本的注意とその理由 |
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4) |
添付文書/8. 重要な基本的注意 |
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5) |
インタビューフォーム/Ⅶ.薬物動態に関する項目/10.特定の背景を有する患者 |
[管理番号:14116]
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