A.
電子化された添付文書では「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与せず、インスリン製剤等を使用すること。本剤の成分であるテネリグリプチン及びカナグリフロジンの動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている。また、カナグリフロジンの動物実験(ラット)で、ヒトの妊娠中期及び後期にあたる期間の曝露により、幼若動物に腎盂及び尿細管の拡張が報告されている。」と記載されています。
妊婦に対する臨床試験は実施しておらず、安全性が確立していません1)。
【血液-胎盤関門通過性】2)
・妊娠ラット(妊娠18 日目、3 例/時点)に[14C]標識テネリグリプチン1mg/kg を単回経口投与したとき、胎盤の放射能濃度は投与0.5 時間後に最高値を示したのに対し、子宮、羊水及び胎膜の放射能濃度は投与5 時間後に最高値を示した。胎盤、羊水、胎膜の放射能濃度は投与0.5 及び5時間後において、母体の血漿中放射能濃度の1.7 及び4.1 倍(胎盤)、0.3 倍未満(羊水)、3.1 倍及び14.3 倍(胎膜)であった。投与0.5 及び5 時間後における胎児の血液中放射能濃度は、母体の血液中放射能濃度の0.15~0.31 倍であった。
・妊娠18 日目のラットに、[14C]標識カナグリフロジン5mg/kg を単回経口投与し、投与後3、8、24 及び48 時間の母体及び胎児中放射能分布を定量的全身オートラジオグラフィーにより検討した。胎盤の放射能AUC0-48h は、血液の1.7 倍と、血液よりも高い曝露が認められた。胎児の放射能AUC0-48h は母体の血液と同程度であり、カナグリフロジンもしくはその代謝物の胎盤及び胎児への移行が示唆された。
【生殖発生毒性試験】3)
〈幼若ラットを用いた試験〉
カナグリフロジンによる10 週間反復投与毒性試験(4、20、65 及び100mg/kg/日)では、すべての投薬群で腎盂の拡張、20mg/kg/日以上の群の雄及びすべての投薬群の雌で尿細管の拡張がみられた。20mg/kg/日以上の群で十二指腸の粘膜肥大/絨毛伸長がみられた。65mg/kg/日以上の群の雌で脾臓の髄外造血の増加がみられた。4週間の回復期間終了時には、20mg/kg/日以上の群の雄の腎盂の拡張は回復傾向を示したものの完全には回復しなかった。
参考資料: |
1) |
インタビューフォーム Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 6.特定の背景を有する患者に関する注意 (5)妊婦
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2) |
インタビューフォーム Ⅶ.薬物動態に関する項目 5.分布 |
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3) |
インタビューフォーム Ⅸ.非臨床試験に関する項目 2.毒性試験 |
[管理番号:14113]
※電子添文はこちらよりご覧いただけます