調剤技術料

調剤技術料は、「調剤基本料」と「薬剤調製料」で構成されています。

調剤基本料 (処方箋受付1回につき)

薬局の基本的な調剤体制を評価した報酬で、処方箋の受付回数や特定の医療機関からの処方箋の集中率等に応じて区分されています。

今回の改定では、医療従事者の賃上げに対応して点数が引き上げられたほか、特別調剤基本料が同一敷地内薬局を対象とした「A」と調剤基本料の届出がない「B」に区分されるなどの見直しが行われました。

地域支援体制加算
地域支援体制加算1 32点
地域支援体制加算2 40点
地域支援体制加算3 10点
地域支援体制加算4 32点

地域包括ケアシステムの中で地域医療に貢献する薬局を評価している加算です。

今回の改定では施設基準の見直しなどが行われた上で、点数が引き下げられています。

処方箋受付回数・特定の医療機関からの処方箋受付割合等 点数
調剤基本料1 調剤基本料2・3、特別調剤基本料以外 45点
調剤基本料2
  1. 処方箋受付回数が月4,000回超、かつ上位3の医療機関の処方箋集中率の合計70%超
  2. 処方箋受付回数が月2,000回超~4,000回、かつ処方箋集中率85%超
  3. 処方箋受付回数が1,800回超~2,000回、かつ処方箋集中率95%超
  4. 特定の医療機関からの処方箋受付枚数が4,000回超
29点
調剤基本料3 同一グループで処方箋受付回数が月3万5,000回超~4万回、かつ処方箋集中率95%超 24点
同一グループで処方箋受付回数が月4万回超~40万回、かつ処方箋集中率85%超
同一グループで処方箋受付回数が月40万回超又は同一グループの保険薬局の数が300以上、かつ処方箋集中率85%超 19点
同一グループで処方箋受付回数が月40万回超又は同一グループの保険薬局の数が300以上、かつ処方箋集中率85%以下 35点
特別調剤基本料 A 同一敷地内薬局 5点
B 調剤基本料の届出を行っていない薬局 3点
その他の留意事項等
  • 上記区分に関わらず次の要件を満たす場合は調剤基本料1を算定
    1. 厚生労働大臣が定める地域(医療資源が少ない地域等)の薬局
    2. 特定の区域内(原則、中学校区)の医療機関数(歯科のみの医療機関を除く)が10以下であり、許可病床数200床以上の病院がない(ただし、特定の医療機関の処方箋割合が70%を超える場合は、その医療機関は特定区域内に所在するとみなす)
    3. 処方箋受付回数が月2,500回以下
  • 複数の医療機関から交付された処方箋を同時に受け付けた場合で、当該処方箋のうち受付が2回目以降の調剤基本料は、処方箋の受付1回につき所定点数の80%の点数で算定
  • 次のいずれかに該当する薬局は所定点数の50%で算定
    1. 医療用医薬品の取引価格の妥結率が50%以下
    2. 妥結率、医療用医薬品の取引に係る状況及び流通改善に関する取り組み状況を地方厚生局長等に報告していない
    3. かかりつけ機能に係る次の業務の算定回数が年間で合計10回未満(特別調剤基本料を算定する薬局は合計100回未満)。ただし、処方箋受付回数が月600回以下の薬局を除く
      薬剤調製料の時間外・休日・深夜加算、夜間・休日等加算/服薬管理指導料の麻薬管理指導加算/調剤管理料の重複投薬・相互作用等防止加算/在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料/かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料/外来服薬支援料1/服用薬剤調整支援料/在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費、介護予防居宅療養管理指導費を算定する際に実施する業務/退院時共同指導料/服薬情報等提供料
  • 次のいずれかに該当する薬局は所定点数から5点を減算(処方箋受付回数が月600回以下の薬局を除く)
    1. 後発医薬品の調剤割合が50%以下(直近1カ月の処方箋受付回数のうち、先発医薬品の変更不可の記載がある処方箋の受付回数が50%以上の場合は除く)
    2. ①の状況を地方厚生局長に報告していない

〈分割調剤の取り扱い〉

  • 14日分超の処方箋受付時に、保存が困難である等の理由により分割調剤を行った場合は、2回目以降の調剤については、1分割調剤につき5点を算定
  • 後発医薬品の処方箋受付時に、患者が初めて当該後発医薬品を服用する等の理由により分割調剤を行った場合は、2回目の調剤に限り5点を算定
  • 医師の分割指示に係る処方箋受付時は、調剤基本料及びその加算、薬剤調製料及びその加算、薬学管理料(服薬情報等提供料を除く)の所定点数を分割回数で除した点数を1分割調剤につき算定

【主な施設基準】

  • 地域医療への貢献に係る実績(次表参照)を満たす
  • 十分な医薬品の備蓄、周知(医療用医薬品1,200品目)
  • 薬局間連携による医薬品の融通等
  • 医療材料及び衛生材料を供給できる体制
  • 麻薬小売業者の免許
  • 集中率85%超の薬局は、後発品の調剤割合70%以上
  • 取り扱う医薬品に係る情報提供体制
  • 一定時間以上の開局
  • 休日、夜間の開局時間外の調剤・在宅業務の対応体制
  • 当該薬局を利用する患者からの相談応需体制
  • 夜間・休日の調剤、在宅対応体制(輪番体制含む)の周知
  • 診療所・病院・訪問看護ステーションと円滑な連携
  • 保健医療・福祉サービス担当者との連携体制
  • 在宅薬剤管理の実績が薬局当たり年24回以上
  • 在宅に係る研修の実施
  • プレアボイド事例の把握・収集
  • 医療安全に資する取組実績の報告
  • 副作用報告に係る手順書を作成
  • かかりつけ薬剤師指導料及び同包括管理料の届出
  • 管理薬剤師要件(5年以上の薬局勤務経験等)
  • 患者毎に服薬指導の実施、薬剤服用歴の作成
  • 研修計画の作成、学会発表などの推奨
  • プライバシーに配慮、椅子に座った状態での服薬指導
  • 一般用医薬品及び要指導医薬品等(基本的な48薬効群)の販売
  • 健康相談、生活習慣に係る相談の実施
  • 緊急避妊薬の取扱いを含む女性の健康に係る対応
  • 敷地内における禁煙の取扱い
  • たばこの販売禁止(併設する医薬品店舗販売業を含む)

2024年5月31日時点での届出薬局は、新規の要件等について、一部経過措置(24年8月31日まで)が設定

【主な実績要件】

〈調剤基本料1の薬局〉

  • 加算1:①~⑩のうち、④を含む3つ以上を満たす
  • 加算2:①~⑩のうち8つ以上を満たす

〈調剤基本料1以外の薬局〉

  • 加算3:①~⑩のうち、④、⑦を含む3つ以上を満たす
  • 加算4:①~⑩のうち8つ以上を満たす
調剤基本料1の薬局 調剤基本料1以外の薬局
  1. 夜間・休日等の対応実績
40回以上 400回以上
  1. 麻薬の調剤実績
1回以上 10回以上
  1. 重複投薬・相互作用等防止加算等の実績
20回以上 40回以上
  1. かかりつけ薬剤師指導料等の実績
20回以上 40回以上
  1. 外来服薬支援料1の実績
1回以上 12回以上
  1. 服用薬剤調整支援料の実績
1回以上 1回以上
  1. 単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理の実績
24回以上 24回以上
  1. 服薬情報等提供料に相当する実績
30回以上 60回以上
  1. 小児特定加算の算定実績
1回以上 1回以上
  1. 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得した薬剤師が地域の多職種と連携する会議への出席
1回以上 5回以上

①~⑨は処方箋1万枚当たり年間回数、⑩は薬局当たり年間回数

連携強化加算 5点

他の薬局や医療機関、行政などと連携し、災害や新興感染症の発生時等に医薬品供給や衛生管理に係る対応など、必要な役割を果たせる体制を確保している場合を評価しています。

今回の改定では、「地域支援体制加算の届出薬局であること」の要件が廃止され、「感染症法上の第二種協定指定医療機関であること」が要件となりました。また、点数も引き上げられています。

【主な施設基準・算定要件】

  • 第二種協定指定医療機関の指定を受けている(2024年3月31日時点での届出薬局は24年12月31日まで経過措置)
  • 感染症対応に係る薬剤師への研修、訓練を年1回以上実施
  • 個人防護具を備蓄
  • 新型インフルエンザ等感染症等の発生時等において、要指導医薬品及び一般用医薬品の提供、感染症に係る体外診断用医薬品(検査キット)の提供、マスク等の感染症対応に必要な衛生材料等の提供ができる体制を感染症等の発生等がないときから整備し、これらを提供している
  • 自治体からの要請に応じて、避難所・救護所等における医薬品の供給又は調剤所の設置に係る人員派遣等の協力等を行う体制が整備
  • 災害対応に係る薬剤師に対する研修、訓練を年1回以上実施
  • 災害や新興感染症発生時における薬局の体制や対応について、それぞれの状況に応じた手順書等の作成
  • 情報通信機器を用いた服薬指導を行う体制が整備
  • 要指導医薬品及び一般用医薬品の販売、検査キット(体外診断用医薬品)の取扱い
  • 災害や新興感染症の発生時等において対応可能な体制を確保していることについて、自薬局、行政機関、薬剤師会等のウェブサイトで広く周知している

後発医薬品調剤体制加算
1(後発医薬品割合80%以上)21点
2(後発医薬品割合85%以上)28点
3(後発医薬品割合90%以上)30点

調剤基本料の加算で、①後発医薬品の調剤割合が一定以上、②「後発医薬品の調剤を積極的に行っている」旨を薬局の内側及び外側の見えやすい場所に掲示し、当該加算算定の旨を薬局内の見えやすい場所に掲示していること―が主な施設基準となります。

在宅薬学総合体制加算
在宅薬学総合体制加算115点
在宅薬学総合体制加算250点

麻薬の備蓄や無菌製剤処理の体制、小児在宅医療の対応など、在宅医療を行うための体制整備や実績を評価した新設の加算です。

在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料又は介護保険における居宅療養管理指導費、介護予防居宅療養管理指導費を算定する患者の処方箋を受け付け、調剤した場合に算定できます。ただし、特別調剤基本料Aの薬局では、所定点数の10%しか算定できず、特別調剤基本料Bの薬局では算定できません。

【主な施設基準】

〈加算1〉

  1. 在宅患者訪問薬剤管理指導の届出
  2. 直近1年間に、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費の算定回数(情報通信機器を用いた場合を除く)の合計が24回以上
  3. 緊急時等の開局時間以外の時間における在宅業務に対応できる体制が整備(在宅協力薬局との連携を含む)
  4. 急変時等の開局時間外における在宅業務に対応できる体制であることを行政機関や薬剤師会等を通じて周知している
  5. 薬剤師に対して在宅業務に関する研修を実施し、定期的に外部の学術研修を受けさせている
  6. 医療材料及び衛生材料を供給できる体制
  7. 麻薬小売業者の免許を取得

〈加算2〉

  1. 加算1の基準を全て満たす
  2. 次のア又はイを満たす
    1. ア)
      次の要件を全て満たす
      • 医療用麻薬について、注射剤1品目以上を含む6品目以上を備蓄し、薬剤交付・指導ができる
      • 無菌製剤処理を行うための設備を備えている
    2. イ)
      直近1年間に、在宅患者訪問薬剤管理指導料等の乳幼児加算、小児特定加算の算定回数が6回以上
  3. 2名以上の薬剤師が勤務し、開局時間中は常態として調剤応需の体制をとっている
  4. 直近1年間に、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の算定回数が24回以上
  5. 高度管理医療機器の販売業の許可を受けている

医療DX推進体制整備加算
4点(処方箋受付1回につき、月1回)

2024年10月改定にて、医療DX推進体制整備加算・ 医療情報取得加算の見直しが行われました。
詳しくは下記のリンクよりご確認ください。

オンライン資格確認により取得した診療情報、薬剤情報等を調剤に活用できる体制や、電子処方箋及び電子カルテ情報共有サービスの導入など、医療DXに対応する体制を評価した新設の加算です。ただし、特別調剤基本料Bの薬局では算定できません。

【主な施設基準】

  1. レセプトオンライン請求を行っている
  2. オンライン資格確認の体制を有している
  3. オンライン資格確認等システムを通じて患者の診療情報、薬剤情報等を取得し、調剤、服薬指導等に活用できる体制を有している
  4. 電子処方箋により調剤する体制を有している(2025年3月31日まで経過措置)
  5. 電磁的記録により調剤録・薬剤服用歴等を管理する体制を有している
  6. 電子カルテ情報共有サービスにより取得した診療情報等を活用する体制を有している(2025年9月30日まで経過措置)
  7. マイナ保険証利用率が一定割合以上である(2024年10月1日から適用)
  8. 医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い医療を提供するための十分な情報を取得・活用して調剤を行うことについて、薬局の見やすい場所に掲示している
  9. ⑧の掲示事項について、原則としてウェブサイトに掲載している(2025年5月31日まで経過措置)。ただし、ホームページ等を有しない薬局は、この限りではない
  10. サイバー攻撃に対する対策を含め、セキュリティ全般について適切な対応を行う体制を有している

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。

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