A.
腎機能障害患者への投与について、電子化された添付文書には、以下の記載があります。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
2.1 重篤な腎機能障害のある患者([9.2.1参照]、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者に使用する場合[8.3.2、8.3.3参照])
8. 重要な基本的注意
8.3.2 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者では、病勢進展に伴う筋萎縮により血清クレアチニン値の低下を認める可能性があるため、一時点の血清クレアチニン値を基準値と比較するのではなく、血清クレアチニン値の推移を確認し、悪化傾向の有無を確認すること。また、BUN値は体内水分量等により変動するため、一時点のBUN値を基準値と比較するのではなく、BUN値の推移を確認し、悪化傾向の有無を確認すること。
8.3.3 筋萎縮のある患者では、投与開始前及び投与中定期的に、血清クレアチニン値・BUN値の測定に加えて、血清シスタチンCによる推定糸球体ろ過量の算出や、蓄尿によるクレアチニンクリアランスの算出等、筋肉量による影響を受けにくい腎機能評価を実施すること。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎機能障害のある患者
投与しないこと。腎機能障害が悪化するおそれがある。
9.2.2 腎機能障害のある患者(重篤な腎機能障害のある患者を除く)
投与に際し全身管理を徹底すること。急性腎障害や腎機能障害の悪化を来すことがある。特に投与前のBUN/クレアチニン比が高い患者では致命的な経過をたどる例が多く報告されている。
■重篤な腎障害が禁忌に設定された理由
脳梗塞急性期におけるラジカット注射剤投与中又は投与後に重篤な腎機能障害があらわれた症例(本剤と因果関係が否定できない死亡症例を含む)が報告されたことから、禁忌に設定されています1)。
ALSでは、臨床開発の試験成績からは腎機能障害の明確なリスクは認められなかったものの、脳梗塞急性期において重篤な症例が認められていること、ALSの臨床試験では一定の腎機能障害のある患者は除外されていたことを考慮して、ALSでも重篤な腎機能障害のある患者は禁忌とされました2)。
■投与可否の判断基準
明確な基準は設定されていませんが、脳梗塞急性期の使用成績調査では、推定糸球体濾過量(eGFR)が30mL/min/1.73m2未満の患者で腎障害発現率が高い結果が得られています3)4)。使用成績調査の結果を目安に、リスク・ベネフィットをご勘案の上で投与可否をご判断ください。
ラジカットを投与する場合、投与期間中も頻回に検査を行ってください5)。
■ALS患者に投与する場合
ALS患者では病態により血清クレアチニン値やBUN値が影響を受ける可能性があり、一時点の血清クレアチニン値やBUN値に基づいて禁忌への該当性を判断することは適切ではありません1)。
血清クレアチニン値・BUN値の推移を確認して悪化傾向の有無を確認してください。また、筋萎縮のある患者では、血清シスタチンCによるeGFRの算出や、蓄尿によるクレアチニンクリアランスの算出等、筋肉量による影響を受けにくい腎機能評価を実施してください5)。
参考資料: |
1) |
インタビューフォーム Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 2.禁忌内容とその理由 |
|
2) |
審議結果報告書(平成27年6月11日)p.32 |
|
3) |
ラジカット注30mg、ラジカット点滴静注バッグ30mg 適正使用のために(2011年9月) |
|
4) |
ラジカット注30mg 適正使用のために(2009年8月) |
|
5) |
インタビューフォーム Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 5.重要な基本的注意とその理由 |
[管理番号:11226]
※電子添文はこちらよりご覧いただけます
[ 2024年7月 更新 ]