A.
妊婦又は妊娠している可能性のある女性は禁忌に該当し、妊婦への投与について、電子化された添付文書には以下の記載があります。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。妊娠中期及び後期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤を投与された患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の変形、肺の低形成等があらわれたとの報告がある。また、海外で実施されたレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠初期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者群において、胎児奇形の相対リスクは降圧剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある。
妊婦におけるタナトリルの有効性・安全性及び胎児への影響について弊社で検討した臨床データはありませんが、他のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤を妊娠中期および末期に投与した際に胎児・新生児に影響が認められたとの報告が複数あり、その機序として胎盤を通過したACE阻害剤の影響が考えられます1)。また、海外の疫学調査において、妊娠初期にACE阻害剤を投与された患者群では、投与されていない患者群と比較して、胎児奇形の相対リスクが2.71倍であったと報告されています2)。
なお、妊娠していることが把握されずACE阻害剤またはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響が認められた例が報告されています3)4)。
妊娠する可能性がある女性に対しては、代替薬の有無等も考慮してタナトリルの投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与して下さい。
参考資料: |
1) |
Branch RL, et al.:ADVERSE DRUG REACTION BULLETIN/246/00943~00946/2007 |
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2) |
Cooper WO, et al.:N ENGL J MED/354/23/02443~02451/2006 |
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3) |
阿部 真也 他:周産期医学/47/10/01353~01355/2017 |
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4) |
齊藤 大祐 他:鹿児島産科婦人科学会雑誌/29//00049~00054/2021 |
[管理番号:6128]
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