A.
血管浮腫の既往歴のある患者ではアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤の投与により血管浮腫の発現リスクが高まると考えられ、かつ血管浮腫は患者を死に至らしめる危険がある1)-3)ことから、禁忌に設定されています。
血管浮腫は、タナトリルの重大な副作用として電子化された添付文書に記載されています。
ACE阻害剤の投与により、ACEが関与するブラジキニンの分解が妨げられると、ブラジキニンの作用が遷延あるいは増強され、結果的に血管透過性の亢進が起こり、血管浮腫が発症すると考えられています4)。
血管浮腫はACE阻害剤の投与を開始して1週間以内に発症することが多いとされていますが、症例により幅があるため、投与期間に関わらず注意が必要です。ACE阻害剤を中止すると、通常は72時間以内に症状が消退するものの、咽頭や喉頭に腫脹が出現し、気道閉塞のため挿管や気道切開を必要とした症例や死亡した症例も報告されています4)。
参考資料: |
1) |
Atkinson D, et al.:J ALLERGY CLIN IMMUNOL/091/1/00364~00364/1993 |
|
2) |
Adam A, et al.:LANCET/359/9323/02088~02089/2002 |
|
3) |
Orfan N, et al.:JAMA/264/0010/01287~01289/1990 |
|
4) |
厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 血管性浮腫(非ステロイド性抗炎症薬によらないもの)(令和元年9月改定)
https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/adr-info/manuals-for-hc-pro/0001.html |
[管理番号:10945]
※電子添文はこちらよりご覧いただけます