A.
腎機能障害患者への投与について、電子化された添付文書(電子添文)には、以下の記載があります。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎機能障害患者(クレアチニンクリアランスが30mL/分以下、又は血清クレアチニンが3mg/dL以上)
投与量を半量にするか、若しくは投与間隔をのばすなど慎重に投与すること。排泄の遅延による過度の血圧低下及び腎機能を悪化させるおそれがある。
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤は糸球体内圧を低下させることにより短期的な腎機能の保持を解除させるおそれがあり、腎機能を悪化させる場合があるため、特に重篤な腎機能障害患者においては、急速な腎機能の悪化を招くおそれがあると考えられます1)。また、イミダプリル塩酸塩は主に腎から排泄され2)、腎機能障害のある患者では活性代謝物の血漿中濃度の上昇や排泄遅延が認められている3)ことから、注意が必要です。
さらに、1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症の場合、投与初期(1ヶ月以内)に急速に腎機能の悪化や高カリウム血症が発現するおそれがあるので、投与初期は血清クレアチニン値および血清カリウム値を測定し、急速な腎機能の悪化や血清カリウム値の上昇が認められた場合には減量あるいは投与中止などの適切な処置を行って下さい4)。
投与開始用量について、電子添文には以下の記載があります。
6. 用法及び用量
〈高血圧症、腎実質性高血圧症〉
通常、成人にはイミダプリル塩酸塩として5~10mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、重症高血圧症、腎障害を伴う高血圧症又は腎実質性高血圧症の患者では2.5mgから投与を開始することが望ましい。
〈1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症〉
通常、成人にはイミダプリル塩酸塩として5mgを1日1回経口投与する。ただし、重篤な腎障害を伴う患者では2.5mgから投与を開始することが望ましい。
参考資料: |
1) |
インタビューフォーム Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 5.慎重投与内容とその理由 |
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2) |
伴野 清 他:田辺製薬研究報告(1993年)p.62~72 |
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3) |
石井 當男 他:臨床医薬/8/2/00299~00313/1992 |
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4) |
電子化された添付文書 |
[管理番号:10937]
※電子添文はこちらよりご覧いただけます