A.
電子化された添付文書には、以下の記載があります。
9.1 接種要注意者(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)
被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。
9.1.1 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者
安定期にあれば、主治医の意見や保護者との相談により接種を行うことができます。腎臓疾患の患者は、感染症罹患により重篤になることも多く、予防接種を必要とします1)2)。
もし腎臓疾患が急性期・増悪期または活動期にあれば、接種不適当者(重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者)3)に該当する可能性があります。
腎臓疾患のために副腎皮質ステロイド等の免疫抑制的な作用を持つ薬剤が投与されている場合は、以下の点にもご留意下さい。
【帯状疱疹予防の目的で接種するとき】
副腎皮質ステロイド剤や免疫抑制剤による治療を受けており、明らかに免疫抑制状態である者は、接種不適当者に該当します。免疫機能抑制下で水痘ワクチンを接種すると、播種性の症状を呈するなどワクチンウイルスの感染を増強させるおそれがあります3)。
【水痘予防の目的で接種するとき】
副腎皮質ステロイド剤等の免疫抑制をきたす治療を受けている者は接種要注意者に該当します3)。
水痘ワクチンは、免疫不全状態にある子どもを致死的な水痘から予防するために開発された経緯があり、免疫抑制的な作用を持つ薬剤の投与中でも接種不可ではありません。しかし、接種は慎重に行う必要があるため、疾患ごとに接種基準が定められています4)。
ネフローゼ症候群の場合、副腎皮質刺激ホルモンやコルチコステロイド等が使用されている際は、原則として症状が安定している症例が接種対象となります。プレドニゾロン投与量が2mg/kg/日以下が原則ですが、薬剤等による続発性免疫不全が疑われる場合には、細胞性免疫能を遅延型皮膚過敏反応テスト等で確かめた後に接種を行います4)。
ただし、基準を満たす場合でも、接種後2週間以内に治療などにより末梢血リンパ球数の減少あるいは免疫機能の低下が予想される場合は、播種性の重症水痘を発症する等ワクチンウイルスによる感染症状が増強する可能性が高いことから、接種を避けて下さい4)。
キーワード:腎障害
参考資料: |
1) |
公益財団法人予防接種リサーチセンター:予防接種ガイドライン2024年度版 p.126~136 |
|
2) |
木村 三生夫、堺 春美:予防接種の手びき〈第14版〉(2014年)p.53~58 |
|
3) |
電子化された添付文書 |
|
4) |
一般社団法人日本ワクチン産業協会:予防接種に関するQ&A集2023 p.214~215 |
[管理番号:15707]
※電子添文はこちらよりご覧いただけます
[ 2024年7月 更新 ]