第29号 2019年3月発行

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PDF 地域包括ケアシステムで求められる薬剤師の役割(1239KB)

  • 市立敦賀病院 薬剤部 部長 荒木 隆一 先生
  • KKR高松病院 薬剤科 薬局長 眞鍋 伸次 先生
  • 京都中部総合医療センター 薬剤部長 和田 淳 先生
  • 育和会記念病院 薬剤部長 久岡 清子 先生
  • 須田病院 薬剤部長 定岡 邦夫 先生
  • 一般社団法人宝塚市薬剤師会 理事/薬局らくらくファーマシー 代表取締役 畑 世剛 先生

~医療と生活の両面で患者さんを支援するために連携でできること~
誰もが住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、「住まい・医療・介護・予防・生活支援」が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築が進められている。一方、地域医療構想の下で病床の機能分化が進行し、病院薬剤部は病院の機能に応じた薬剤師業務の構築が必要となっている。この大きな動きの中で、入院・外来・在宅を通じて安全かつシームレスに薬物治療を継続するためには、医療連携による薬学的ケアが不可欠だ。また、保険薬局においては、日常生活圏域の単位で医療と生活の両面で患者さんを支援する「かかりつけ薬局」の機能が求められており、病院と保険薬局が協力し、情報共有や人材育成を支援する試みが始まりつつある。こうした状況の中で、本座談会では、地域でシームレスに薬学的ケアを提供するための各施設の取り組みを共有するとともに、地域包括ケアの時代に求められる薬剤師の役割について討議していただいた。

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C-Pharmacy-1宮崎大学医学部附属病院 薬剤部

PDF 院外処方箋への検査値、身体情報の記載に始まるシームレスな薬薬連携の推進(745KB)

  • 薬剤部 薬剤部長 池田 龍二 先生
  • 薬剤部 副薬剤部長 岩切 智美 先生
  • 薬剤部 副薬剤部長 調剤室長 関屋 裕史 先生

医薬分業の推進、薬物療法の高度化などを背景に、医薬品の適正使用の推進と薬薬連携の重要性に注目が集まっている。薬剤師の職能に対する期待も高まる中、宮崎大学医学部附属病院(宮崎市・632床)では、医療安全の観点から院外処方箋へ14項目の検査値と3項目の身体情報を表示している。表示に際しては、情報を活用するための啓発活動とともに薬薬連携を推し進め、その結果、地域の薬剤師が一丸となって、医療の質向上のために業務を遂行できる土壌ができつつある。大学病院主導による院外処方箋への情報開示の詳細と薬薬連携推進について紹介する。

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C-Pharmacy-2横浜市立大学附属市民総合医療センター 薬剤部

PDF 薬剤師外来による外来がん化学療法の安全性向上と患者支援(706KB)

  • 薬剤部 部長 橋本 真也 先生
  • 薬剤部 がん専門薬剤師 徳丸 隼平 先生
  • 薬剤部 外来がん治療認定薬剤師 笹瀨 優斗 先生

~がん化学療法における薬薬連携モデルの構築への取り組み~
近年、外来化学療法における薬剤師の役割が重要性を増している。2014年度に「がん患者指導管理料」として薬剤師の外来業務が診療報酬でも評価されたこともその一つであり、全国で「薬剤師外来」が広がりつつある。横浜市立大学附属市民総合医療センター(横浜市・726床)では、従来から、お薬手帳シールや院外処方箋への臨床検査値表示などの取り組みにより、地域全体でがん患者さんの薬物療法を支援する体制を整えてきた。さらに2017年からは薬剤師外来を開始し、その有用性は医師からも評価されている。薬薬連携で目指す、地域全体のがん医療の質向上への取り組みを取材した。

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C-Pharmacy-3独立行政法人地域医療機能推進機構 四日市羽津医療センター

PDF 地域医療、地域包括ケアに貢献する薬剤師の育成(704KB)

  • 薬剤科 薬剤科長 松田 浩明 先生
  • 薬剤科 副薬剤科長 片山 歳也 先生
  • 薬剤科 主任 小島 さおり 先生
  • 薬剤科 相松 伸哉 先生

~入院から外来、在宅まで、安全で有効な薬物治療の提供を目指して~
薬物治療の高度化やチーム医療の推進、地域包括ケアシステムの構築など医療を取り巻く環境が大きく変化する中で、臨床薬剤業務およびチーム医療の実践能力を備えた薬剤師の育成が課題となっている。四日市羽津医療センター(三重県四日市市・226床)薬剤科は、薬剤師12名の体制で幅広い薬剤業務を通して医薬品の適正使用に貢献、その活動は地域へと広がりを見せている。その一方で、臨床実践力のある薬剤師の育成を目指した教育プログラムを取り入れ、成果を上げている。地域医療、地域包括ケアに貢献する薬剤師の育成を目指す同院の取り組みを紹介する。

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C-Pharmacy-4兵庫県立尼崎総合医療センター/尼崎市薬剤師会

PDF 薬薬連携を基盤とした地域医療への貢献(790KB)

  • 兵庫県立尼崎総合医療センター 薬剤部 部長 辻本 勉 先生
  • 一般社団法人尼崎市薬剤師会 会長/マキ薬局 薬局長 牧 孝子 先生

~薬剤師が糖尿病治療の質向上に貢献するための環境づくり~
超高齢社会を迎えたいま、地域全体でシームレスな薬物療法を安全に行うためには、病院薬剤師と薬局薬剤師による連携が不可欠である。兵庫県立尼崎総合医療センター(兵庫県尼崎市・730床)薬剤部と尼崎市薬剤師会(加盟薬局210、会員500人)は、以前から合同研修会を開催するなど積極的に薬薬連携を進めてきた。さらに2017年以降はトレーシングレポートの導入や院外処方箋への検査値印字、参加型・体験型の糖尿病スキルアップ研修など、薬剤師の専門性を患者支援に生かすための実践的な連携へと進化させている。安全な薬物療法を患者さんに提供するための薬薬連携と人材育成の取り組みを取材した。

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C-Pharmacy-5地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター

PDF より良い薬物治療と連携推進のための情報共有の在り方を探る(981KB)

  • 大阪急性期・総合医療センター 薬局 薬局長 田中 恵美子 先生
  • 大阪急性期・総合医療センター 薬局 薬薬連携室 室井 政子 先生
  • 一般社団法人住吉区薬剤師会 会長/苅田薬局 栗生 正也 先生
  • 日本調剤万代東薬局 店舗責任者 管理薬剤師 荻野 里美 先生

~処方箋への臨床検査値表示とネットワークシステムの構築~
地域医療連携の推進において、薬剤情報や患者情報の共有は不可欠であり、そのためのシステム構築が全国各地で進められている。大阪府の基幹病院である大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区・865床)では、処方箋への臨床検査値の表示をはじめ、薬薬連携室の稼働、研修会の開催など、情報共有の方法を模索しながら薬薬連携を推進してきた。さらに住吉区薬剤師会とともに薬に特化した情報ネットワークシステムの構築に着手し、地域への拡大を目指している。薬薬連携への取り組みとネットワークシステムの構想について取材した。

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C-Pharmacy-6日本赤十字社 庄原赤十字病院 薬剤部

PDF 薬学生を対象に病院見学会を開催し地域医療を支える基幹病院の薬剤師業務を紹介(929KB)

  • 薬剤部 薬剤部長 本田 和穂 先生
  • 薬剤部 副薬剤部長 黒長 正明 先生
  • 薬剤部 調剤課長 岸 美沙 先生

広島県庄原市は岡山、鳥取、島根の各県と接する中国山地のほぼ中央に位置し、関西以西の市町村で最大の面積を有する。また、65歳以上人口が40.8%と県平均の27.5%を大きく上回る(2015 年国勢調査より)ほか、無医地区も全県53カ所のうち23カ所を占めるなど、過疎化と高齢化が著しい地域でもある。庄原赤十字病院(301床)は市内唯一の総合病院であるとともに、二次救急指定病院、へき地医療拠点病院として徹底した住民本位の医療を提供している。薬剤部も調剤から治験に至るまで多岐にわたる業務を手掛けるが、その実態を紹介するために薬学生を対象とした病院見学会を毎年開催している。今回は見学会の様子を、開催に込められた思いも交えてレポートする。

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。

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