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花粉症重症化ゼロ作戦

【演者】

福井大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学　教授
藤枝 重治 先生

スギ花粉症は、日本人成人の約半数が発症する国民病と言われている。しかしながら、スギ花粉症の根治療法は、舌下免疫療法のみであり、一般的には抗ヒスタミン薬の内服を第一選択として症状を抑制している。一方でスギ花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎発症予防策は存在しない。
我々は、AMED免疫アレルギー実用化事業において、福井市の1歳６か月および３歳児検診を利用してスギ・ダニ・ネコ特異的IgE検査のための採血とアンケート調査および鼻内所見、鼻汁中好酸球検査を行い、アレルギー性鼻炎発症の有無を検討した。その結果、１歳６か月時点でのアレルギー性鼻炎の発症率は1.5～３％、３歳児には17～19％に急増する。ほとんどがダニアレルギーである。さらに小学生から中学生になるとスギ花粉症が42%に増加する。すなわち花粉症予防には3歳～小学生の間が問題となる。我々は、その間にダニ舌下免疫療法を行ったり、腸内細菌叢もしくは鼻腔細菌叢に影響を及ぼしたりすることで重症化を防げないかと考えている。