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循環器専門医からみた糖尿病に対する治療戦略

【演者】

群馬大学大学院医学系研究科 循環器内科学　教授
倉林 正彦 先生

わが国では急性心不全患者の30～35%は糖尿病を合併している。
そして、厳格な血糖管理を行っても心不全の発症率は低下しない。
Steno-2研究において、血糖・脂質・血圧などを集学的に管理した群で心血管イベントは確かに53％も抑制され、本邦の糖尿病診療ガイドラインにおいても、糖尿病の慢性合併症の予防・進展抑制のために、血糖コントロールのみならず、血圧や脂質代謝のコントロールを目指すことが記載されている。しかし、スウェーデンのナショナルデータベースを用いた大規模な研究で、血糖、血圧、LDL-C、アルブミン尿などのリスク管理を徹底しても心不全や心血管死のリスク低減は不十分であることが報告された（Rawshani A, et al. NEJM 2018; 379:633-644）。
そのような状況の中、SGLT2阻害薬の大規模臨床試験の結果が相次いで発表され、心不全入院/心血管死および腎イベントの減少が示された。本セミナーではこれらのエビデンスのオーバービューを行い、心腎連関を中心に糖尿病治療戦略について解説したい。