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慢性腎臓病患者の新たなる糖尿病治療戦略

～心腎連関を断ち切るために～

【演者】

日本大学医学部 内科学系腎臓高血圧内分泌内科学分野　主任教授
阿部 雅紀 先生

　糖尿病性腎症は透析導入原疾患の第一位であり、わが国のCKD対策の重要な疾患であることは周知の事実であるが、注目すべきもう一つのCKD原疾患として腎硬化症があげられる。わが国では高齢化に伴い、高血圧を基礎疾患とした腎硬化症が透析導入原疾患第3位の疾患となっており、近年増加傾向にある。そのため、透析導入患者数を抑制するためには糖尿病性腎症と腎硬化症への対策が重要な課題となっている。さらにこれらの患者群は心血管疾患（CVD）の発症率が高いことも特徴的である。糖尿病はCVDの強い危険因子であり、CVDはCKD患者において発症しやすいため、糖尿病とCKDの組み合わせは透析導入だけでなく、CVDのリスクが増加することになる。糖尿病性腎症の進展を阻止するためには生活習慣の是正、食事療法はもちろんのこと、血糖値、血圧、脂質の管理など集学的なチーム医療が大前提ではある。今回、近年注目されている血糖降下薬のSGLT2阻害薬について最近の知見を概説する。