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合併症発症・進展阻止を見据えた糖尿病治療

【演者】

滋賀医科大学 糖尿病内分泌・腎臓内科　教授
前川 聡 先生

　わが国における2型糖尿病患者の血糖コントロールはDPP-4阻害薬の登場により改善傾向にある。一方、最近の滋賀県医師会や糖尿病データマネジメント研究会（JDDM）の調査では、約半数がBMI25を超える肥満糖尿病であり、その特徴として複数の薬剤介入にもかかわらず、血糖、血圧、脂質のコントロール目標の達成率がすべて低く、心血管イベントのハイリスク群であることが報告されている。
　肥満患者は糖尿病性腎症の有病率が高いことも知られており、糖尿病性腎症の重症化を予防するためにも肥満を含めた包括的なリスク管理が重要と考えられる。
　本年新たに非典型的な糖尿病関連腎疾患を含む疾患概念として「糖尿病性腎臓病（DKD）」が提唱されたが、我々が行った滋賀医科大学糖尿病経過観察研究においても、アルブミン尿を有さない早期eGFR低下症例が増加する傾向にあった。
　SGLT2阻害薬の心血管・腎イベントへの影響を評価した大規模臨床試験結果への注目が集まる中、腎症を考慮した2型糖尿病の治療戦略について概説したい。