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糖尿病
“貪欲な腎臓”と糖尿病
【ライブ配信】 2016年5月11日(水) 19:00 ~ 19:40(終了)
“貪欲な腎臓”と糖尿病
【演者】
慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌代謝内科 教授
伊藤 裕 先生
腎臓は、これまで血圧調節、赤血球造成などを介して、体の各所への酸素供給をその主務とすると考えられてきた。しかし、腎臓は、同時にナトリウムとともに、ブドウ糖を再吸収し、また自らブドウ糖を作り(腎糖新生)、全身に供給するというエネルギー代謝にも関わってきた。しかし、この事実はこれまで等閑にされてきた感がある。改めてその有り体を眺めてみると、腎臓は、周囲にブドウ糖があると、インスリンに支配されることなく、自らの髄質機能を維持するため、そして酸塩基平衡力を確保するため、“貪欲な”までに、ブドウ糖を取り込みそして作り出しているように見受けられる。
SGLT2阻害剤の登場により、エネルギー代謝系の枠外で、体からブドウ糖が一気に退出させられるという全く新しい事態が作られた。この事態を正しく理解することから、“貪欲な腎臓”の姿が浮かび上がり、そしてこの薬剤の臨床作用を俯瞰する新たな視点が生まれると考えている。