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循環器内科医がDPP-4阻害薬に期待すること

【演者】

北里大学医学部 循環器内科学　主任教授
阿古 潤哉 先生

糖尿病患者においては、非糖尿病患者に比較して虚血性心疾患の発症頻度が2倍以上に増加するとされている。このため、糖尿病の治療においては、細小血管障害の進行予防とともに、心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントの発症予防が大きな目標となる。冠動脈疾患は糖尿病になる前、耐糖能異常の段階から既に進行してきていることが判明している。また、血糖変動性は心血管イベント発症の原因となりうることが詳細な冠動脈イメージングからも判明してきている。DPP-4阻害薬は優れた血糖低下効果を示し、現在までに報告された大規模試験では心血管イベントの減少を示すことは出来なかったものの、イベントは少なくとも増加させないことが示された。
本セミナーでは、循環器内科の立場から見たDPP-4阻害薬の位置づけを中心に、心血管イベント減少を目指した糖尿病治療について考察したい。