A.
肝機能障害患者への投与について、電子化された添付文書(電子添文)には、以下の記載があります。
9.3.1 重篤な肝障害のある患者
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
ノバスタンは肝臓で代謝され胆汁中に排泄される薬剤であることから、重篤な肝障害のある患者に投与する際には十分に注意して下さい1)。
外国人のデータでは、健康成人12例と中等度以上の肝障害患者5例にアルガトロバン水和物注射液を2.5μg/kg/minで4時間点滴投与し(肝障害患者1例は1.25μg/kg/min)、経時的に採血して血漿中アルガトロバン濃度、血漿活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、全血活性化凝固時間(ACT)を測定しました。
肝障害患者ではCmax、AUC、半減期がそれぞれ健康成人の約2倍、約3倍、2.5倍であり、クリアランスは健康成人の1/4でした。またaPTTおよびACTのAUCも健康成人の約1.5倍でした2)。
肝機能障害患者での投与方法は確立されていませんが、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT) Ⅱ型で使用する場合は、低用量から開始して適宜aPTTを測定するよう、電子添文に記載されています。
<電子添文 7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)>
〈HIT Ⅱ型(発症リスクのある場合を含む)における経皮的冠インターベンション施行時の血液の凝固防止〉
7.3 本剤のクリアランスが低下している肝機能障害のある患者に対して術後4時間以降も抗凝固療法が必要な場合は、0.2μg/kg/分に減量するなど注意すること。aPTTが目標とする範囲に達するまでは、適宜aPTTを測定し、目標とする範囲に達した後は1日に1回aPTTを測定すること。
〈HIT Ⅱ型における血栓症の発症抑制〉
7.6 本剤のクリアランスが低下している肝機能障害のある患者、又は出血のリスクのある患者に対しては、低用量(0.2μg/kg/分)から投与を開始するなど注意すること。
7.9 本剤投与開始2時間後及び本剤の投与量の変更2時間後を目安にaPTTを測定し、投与量を調節する。肝機能障害がある患者又は出血のリスクがある患者に対しては、本剤投与開始あるいは投与量変更6時間後にもaPTTを測定することが望ましい。aPTTが目標とする範囲に達するまでは、適宜aPTTを測定し、目標とする範囲に達した後は1日に1回aPTTを測定すること。
参考資料: |
1) |
インタビューフォーム/Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目/5.慎重投与内容とその理由 |
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2) |
Swan SK, Hursting MJ:Pharmacotherapy/20/3/00318~00329/2000 |
[管理番号:4685]
※電子添文はこちらよりご覧いただけます