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保険薬局トレンドリポート

在宅医療に必要なスキルの習得を目的に、大学病院などで実務研修を実施

株式会社大賀薬局 代表取締役 副社長 大賀 崇浩氏

日本調剤株式会社 薬剤本部
課長
大坪 匡志 先生(写真:左)

日本調剤株式会社 大阪支店
管理薬剤師
柴山 はる子 先生(写真:右)

(大阪府大阪市)


地域包括ケアシステムの構築や在宅医療の推進が求められる中、日本調剤では全国の大学病院で実務研修を実施しています。無菌調製や病棟業務を経験することで、在宅医療を含む高度で幅広い業務を提供できる薬剤師を育成することがその目的です。同社が病院研修を実施するようになった経緯と具体的な内容について大坪匡志先生に、また、研修の様子と印象を柴山はる子先生に伺いました。

在宅医療への本格的な参画に向け、実務レベルの向上が不可欠に

—貴社が大学病院で実務研修を始めた経緯についてお聞かせいただけますでしょうか。

大坪先生:
弊社が最初に大学病院での実務研修を行ったのは、2014年10月の旭川医科大学病院でした。当時、私は北北海道のエリアマネージャーで、その前年に旭川医科大学病院の近くで新規に開局したことから、定期的に大学病院の薬剤部を訪問し、薬剤師のあり方について頻繁に議論させていただいていました。今後、医療機関は機能分化が求められ、病院薬剤師は病棟業務に比重を移す一方で、保険薬局は地域包括ケアへの本格的な関与が求められ、薬局薬剤師は在宅での薬物療法支援に直面することになります。しかし、在宅医療に本気で取り組むためには、TPNや抗がん剤の無菌調製をはじめ、ベッドサイドにおける服薬指導、薬剤管理など多様で未経験の業務を行わなくてはならず、われわれが果たしてその責務を全うできるのか、大きな不安がありました。旭川医科大学病院の薬剤部の先生方とは、お互いの役割と問題点を理解する過程で、薬剤師としての目標を共有し行動に移す必要性を感じるようになっていったのです。

—同じ薬剤師という立場にありながら、求められている役割が違う。その中で協力の可能性を探っていったということですね。

大坪先生:
そうですね。同じ資格を持つ仲間ではありますが、私自身は薬局薬剤師のレベル向上が必要だと強く感じていました。すると、大学病院薬剤部から「薬剤師研修制度を活用して病院で研修をしてみませんか? 在宅で必要な知識と技術なら病院の業務が役に立つと思います」とお声をかけていただいたのです。病院薬剤師業務を身に付けることができれば、安心して在宅への移行を支援できるのではないか、と考えていたところでしたので、願ってもない提案をしていただき感謝しています。負担が大きいにもかかわらず病院が薬局薬剤師のために骨を折ってくださるなら、こちらも真剣に学ぶ覚悟のある薬剤師を責任を持って送り出そう、そんな決意でスタートしました。旭川医科大学病院では既に9名が、その他7つの大学病院などで計20名ほどが研修を修了しましたが、さらに10倍、50倍と増やしていきたいと考えています。

病院職員と同じタイムスケジュールの本格的な実務研修

—具体的な研修内容を教えてください。

実務研修カリキュラム・実施時間旭川医科大学病院の30日間カリキュラム*クリックで拡大

大坪先生:
カリキュラムも期間も病院によって違うのですが、旭川医科大学病院では期間は月中の2週間を利用し合計30日間(3カ月間)で行いました。最低でも連続10日間の単位でお願いしています。なぜなら、10日間あれば入院から退院までの一連の業務に関われるからです。内容の濃い治療が行われる期間で、治療方針、治療計画、検査値の見方、持参薬管理、副作用モニタリング、薬剤管理指導などの病棟業務を経験します。その他、TPNや抗がん剤の無菌調製、WOC(褥瘡)、外来がん化学療法、TDM(治療薬物モニタリング)、緩和ケアなども研修させていただいています。また、3カ月、6カ月のフル期間から月中2週間(合計30日間)だけの短期のケースまで、受入先の病院と相談しながらカリキュラムを決めています。

—研修対象となるのは、やはり若手の薬剤師なのでしょうか。

大坪先生:
若手よりもむしろ管理薬剤師などベテランを主体にしています。研修の目的には、知識や技術を習得するだけではなく、薬剤師としての志を見つめ直すきっかけにしてほしいという思いもあるからです。また、薬局の責任者が研修に参加すれば、その後の病院側とのコミュニケーションもより円滑になるはずです。実際に、薬剤部の先生方はわれわれの思いを酌み、薬局薬剤師の業務内容を理解した上でそれに即したカリキュラムを組んでいただいています。なお、勤務体系はフルタイムで病院職員と同じです。手術室の薬剤払い出しやカンファレンス、時には司法解剖に立ち会うこともあります。病院でなければ経験できないことを学び、医師や看護師の業務の進め方、考え方を知り、コミュニケーションの取り方を実践的に学ぶことも重視しています。

 
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