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保険薬局トレンドリポート

患者の主体性と細やかな支援で成果を上げる「糖尿病性腎症重症化予防プロジェクト」

そうごう薬局 対馬中央店 薬剤師 渡部 真吾先生

総合メディカル株式会社
そうごう薬局 対馬中央店 薬剤師
渡部 真吾先生

(長崎県対馬市)


長崎県対馬市では、総合メディカルグループが運営する保険薬局が中心となり、糖尿病性腎症重症化予防事業を推進しています。糖尿病性腎症患者の症状コントロールに行政、医療者がチームとして関わり、きめ細かいフォローで重症化を予防するプロジェクトです。今回は対馬中央店の渡部真吾先生に具体的な取り組みと成果について伺いました。

糖尿病の重症化予防に向けた、患者主体の取り組み

—最初に対馬中央店の概要についてお聞かせください。

渡部先生:
当店は、長崎県対馬いづはら病院と長崎県中対馬病院が統合され、長崎県対馬病院が開院した2015年5月に、その門前薬局として開局しました。現在のスタッフは薬剤師が12名、事務が13名です。処方箋枚数は、平日は1日250~300枚、土日祝は1日約30枚で月間6000枚ほどになります。

—次に「糖尿病性腎症重症化予防プロジェクト」についてお伺いします。まず、プロジェクト参画の経緯について教えてください。

渡部先生:
対馬市では2008年に「健康つしま21計画」を策定し、市民の健康づくりを推進してきました。私ども、総合メディカルは市内で5店舗の保険薬局を運営しており、日常の調剤業務からさらに踏み込んだ地域医療への貢献を考える中で「糖尿病性腎症重症化予防プロジェクト」を市に提案しました。これは、医薬コンサルティング会社のマディア社が開発したプログラムを活用したもので、糖尿病の重症化予防による患者さんのQOL向上はもちろん、医療費の適正化も目的にした新たな取り組みです。これが市の糖尿病重症化予防事業の一環として実施されることが決定し、2014年10月に3カ年計画の事業としてスタートしました。

—具体的にはどのような内容なのでしょうか。

渡部先生:
主治医から紹介された糖尿病患者さんに対して、医師、薬剤師、管理栄養士などが連携し糖尿病性腎症の悪化、透析の導入を防ぐことが目的です。薬剤師が薬局で患者さんと面談を行いますが、最初に食事のカロリー制限や運動指導など、主治医の指示内容を踏まえた行動目標を設定します。その際にはコーチングの手法を用い、薬剤師から提案するのではなく、あくまで患者さん本人の意志で実行可能な目標を設定することを主眼にしています。

—行動目標を患者さんが設定するという点は興味深いですね。

待合室の椅子の高さにも工夫を

渡部先生:
当プロジェクトは6カ月間という期間を決めており、その中で行動を習慣化し、自己管理ができるようになることを目的としています。ただし、6カ月で完結させるわけではなく、その後も続く治療の主体はあくまで患者さん本人で、薬剤師は無理なく習慣化できるようサポートするというスタンスです。例えば、お酒の量を減らす必要がある場合、患者さんが「今後はお酒を一切口にしません」と目標を立てたとしても無理がありますよね。こうした時は、「急に止めるのではなく、自分に可能な範囲で徐々に減らしてはどうでしょうか?」とアドバイスします。そうすることで、「毎日の焼酎を週4回にして、糖質の低い製品に変える」という、本人が納得し、「これならできそうだ」と達成意欲を持てる現実的な目標を設定することが可能になります。

患者さんと1対1で向き合い、目標達成をサポート

—6カ月間におよぶプロジェクトの流れを教えてください。

渡部先生:
各患者さんに糖尿病療養支援研修を修了した担当の薬剤師がつきます。最初の2カ月間は薬局で30~40分の面談を3回とフォローの電話確認を行い、3カ月目以降は面談もしくは電話でのコーチングを月に1回行います。内容は、治療方針や臨床検査値の確認と、食事、運動の支援がメインです。食事の支援は、患者さんが撮影した食事の画像をもとに管理栄養士が評価し、薬剤師はその結果に基づいてアドバイスを行います。運動に関しては、専門医が監修した教材を用いながら、主治医の指導内容の範囲で、運動に関するアドバイスを薬剤師が行います。その他に服薬状況や残薬の確認も行います。

—プロジェクトの対象患者さんの反応はいかがですか。

渡部先生:
患者さんは、病院で受診し薬局で薬を受け取るという一連の治療の中で支援を受けることが可能なので、プロジェクトに参加しやすいという声が聞かれます。また、普段から服薬指導を受けている顔馴染みの薬剤師に、生活改善や病気に関する悩みについても相談できるので、安心して療養ができるようです。

—薬剤師さんは患者さんと医師や管理栄養士との間に立ってアドバイスするなど責任ある立場にあるだけに、ご苦労もあるのではないでしょうか。

待合室の椅子の高さにも工夫を

渡部先生:
最初は、患者さんが自分を信頼してくれるのか、打ち解けて話してもらえるのかという不安がありましたが、患者さんと1対1で向き合い、現在の状況、抱えている悩みをもとに一緒に目標を設定し、それを一つずつ確実にこなせるようアドバイスを続けることで患者さんが心を開いてくれることが分かりました。中には、「患者さんがなかなか言葉を交わしてくれない」と悩む薬剤師もいましたが、みんなで話し合い、「世間話から始めてはどうか」などと意見を出し合いました。こちらから歩み寄り、患者さんも自身の病気や体調と向き合って改善に向けて努力をした結果、血糖値の低下など、成果が数値に表れたときは本当に嬉しいですね。

 
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