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保険薬局トレンドリポート

保険薬局トレンドリポート

患者さんの生活に寄り添った支援を行う訪問専門薬剤師の取り組みとは

 
南熊本調剤薬局
在宅部 課長
介護支援専門員
長峰 慎之介 先生
 
 
 
(熊本県熊本市)
今回ご紹介する「ファーマダイワ 南熊本調剤薬局」は、熊本県内では数少ない訪問専門薬剤師を配置するなど、在宅部門併設型の調剤薬局として注目を集めています。平成21年4月から在宅医療支援をスタートさせ、医療用麻薬調剤が可能など在宅緩和ケア対応薬局として知る人ぞ知る存在に。11名いるスタッフのうち、訪問専門の薬剤師は4名。現在は、施設を含めるとおよそ280名の患者を受け入れ、うち個人宅100名以上は熊本県で最も多いとか。他県からも注目を集める同薬局の在宅への取り組みについて詳しくお伺いしました。
2年間の準備期間を経て、在宅支援をスタート
—はじめに、貴薬局の在宅支援に対する取り組みの経緯をお聞かせください。

店内の様子長峰先生:
 熊本市では平成19年に、訪問診療や往診を複数の医師が連携して行う「熊本在宅ドクターネット」が発足しました。この取り組みに当社も薬剤の面から関われるのではと、繋がりをもったのがきっかけです。薬剤師として、患者さんの生活に寄り添ったケアができることは、患者さんや地域にとってはもちろんこと、薬剤師本人にとっても、会社にとってもプラスになると考えました。


—実際に在宅支援事業をスタートさせるまでにはどのような準備をされたのでしょうか。

長峰先生:
 およそ2年にわたって研修会や勉強会を行い、医師、訪問看護師、ケアマネージャーから直接、在宅医療の現状や問題点、注意点、連携方法などを学びました。そして、平成21年4月に近隣の在宅専門クリニックの開業と同時に当薬局でも在宅部門をスタートさせました。


ときには患者さんに合った剤形を提案することも
—個人宅の患者さん数は熊本県で一番多いそうですが、薬剤師の担当分担などはどのように行っているのでしょうか。

長峰先生:
 以前は、患者さんごとに担当薬剤師を決めていたのですが、上手く運営できなかったため、現在は、曜日ごとのシフト制で1日平均6軒程度を4名の在宅専任薬剤師で訪問しています。

そこで重要になってくるのが情報共有です。毎朝30分の打ち合わせを行い、前日に訪問した患者さんに関しての申し送りを行います。また、薬剤師全員がiPadを持ち、その中に在宅患者さんの薬歴やケア内容を入力し、全員がすぐに確認できるようにしています。つまり在宅専門薬剤師全員で患者さんをフォローしていく方針です。


—在宅医療に携わるにあたり、取り扱い薬剤や機器も専門性が高いものになってくるのでしょうか。

長峰先生:
 薬剤に関しては常に1000品目以上の在庫があるのですが、特徴としては、がんなど終末期の患者さんに対応した薬剤や機器が多い点でしょうか。例えば、医療用麻薬は貼付剤、注射剤含めて40種類ほど。疼痛コントロールに主に使用するシリンジポンプを5台所有し、TPNに対応するための高カロリー輸液等も取り扱っています。また、無菌調剤に対応するため、簡易型クリーンベンチも設置しています。


—在宅の患者さんと接する上での注意点や配慮すべき点についてお聞かせください。

在宅訪問の様子長峰先生:
 一番は患者さんのペースに合わせることです。よく私はサッカーの試合に例えますが、薬局の店頭が私たちにとってホームグラウンドなら、在宅は患者さんにとってホームグラウンド。患者さん個人の生活のシーンに私たちが入り込むことになるので、特に患者さんに合わせるということに気を遣います。また、患者さんやご家族にとっても、薬局より、自宅の方が自分たちのペースで質問をしやすいようで、次々に疑問点や不安なことなどを投げかけてくる場合もあります。その時には、専門的な知識をより身につけるべきだと思い知らされる場面も多々あります。


—薬剤師として、在宅の患者さんの服薬管理という重要な役割を担うわけですが、今までの患者さん対応で印象深いことなどはありますか?

長峰先生:
 在宅を始めたころ、医師の指示通りに薬を飲めていない患者さんがあまりに多いことに驚嘆した記憶があります。また薬を水で服用しないで、ラムネのように唾液で溶かして服用する人がいることも、印象的でした。薬がきちんと飲めていない、飲み方を理解していない患者さんが意外に多いということです。なぜ患者さんが薬を飲めていないか、理由は患者さんそれぞれ違いますので、その理由を探ることが重要です。例えば、患者さんが医師から処方された薬を飲む、飲まないは、「剤形」が大きく関わっていることがあります。患者さんによって、錠剤が苦手、カプセルが苦手、粉薬が苦手など様々です。入れ歯の患者さん場合、粉薬だと口の奥にまで入れられなかったり、嚥下障害の患者さんは口腔内崩壊錠だとすぐに溶けて液体になり、飲み込むのが難しい。そうした、患者さん一人ひとりの嚥下状況や注意点を把握し、きちんと服用できるものへの提案を医師にすることもあります。


—医師など医療機関との連携はどのように行われているのでしょうか。

長峰先生:
 担当医師や看護師、そして私たち薬剤師が一堂に会し、病態や服薬管理を報告し合うカンファレンスを月に1回行っています。私たち薬剤師の訪問は、基本2週間に1度なので、睡眠、食事、排泄といった患者さんの日常生活の情報が入りにくいんです。そこで、カンファレンスを通して、毎食の食事量、排泄状況、睡眠がとれているかといった情報収集を行っています。排泄状況の悪い方には、下剤の調整法や新たな薬剤を提案します。また食事量が減っている患者さんが、もし糖尿病の治療剤を使っていれば、低血糖のリスクがあるなど、薬による副作用を伝え、時には薬剤のスライディングを医師に提案することもあります。担当医師はみなさん薬剤師の仕事に理解があり、私たちの意見を尊重してくれるんです。餅屋は餅屋に徹することができる。その上で情報を共有しているため、連携がきちんと取れるんですね。ここ熊本は、まさに「在宅ドクターネット」がうまく機能している良い例だと思います。

 
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