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保険薬局トレンドリポート

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患者の心の痛みに寄り添い、薬剤師の職能の向上を追求する精神科クリニックの門前薬局

ひまわり調剤薬局 管理薬局長 熊谷 拓朗 先生  
ひまわり調剤薬局
管理薬局長
熊谷 拓朗 先生
 
 
 
(福島県郡山市)
福島県郡山市内にある「ひまわり調剤薬局」は、精神科を標榜する「すがのクリニック」の門前薬局として平成8年に開局しました。スタッフは管理薬局長の熊谷拓朗先生を中心に薬剤師5名、事務5名の計10名。患者さんと接する際の気遣い、向精神薬を扱う上でのリスク管理など、精神科の特性を考慮した店舗づくりとはどういうものなのでしょう。また、熊谷先生が積極的に取り組まれている臨床研究や学会報告についても伺いました。
診療科の特性を考慮した店舗づくり
—精神科クリニックの門前薬局としての特徴はどのようなことでしょうか。

熊谷先生:
 特にプライバシーの確保は厳しくする必要があると思っています。患者さんの中には、「勤務先や近所の人もこの薬局に通っているかもしれない」という不安を抱いている人が少なくありません。精神科に通院していることを他人に知られないように、個人名を取り扱うときは特に慎重になります。


—具体的にどのような対策をされているのでしょうか。

プライバシーへの配慮熊谷先生:
 お名前はまず名字でお呼びし、患者さんが近くに来てからフルネームで確認をします。また、患者さんに症状を伺ったり、服薬指導など会話をするときは声量をできるだけ落として、他の方に聞こえないように配慮しています。患者さんのプライバシーを守るために今年2月からは独立したブースも設置しました。将来は会話の内容が患者さんにしか聞こえないスピーカーの導入や、番号で患者さんをお呼びすることも検討しています。


—その他、患者対応で心掛けていることはありますか?

熊谷先生:
 精神科の疾患というのは、症状や薬の副作用など他人にはその辛さが分かりにくいものです。本人にしか分からない辛さを少しでも理解するにはやはり私たちが勉強をし、知識として身につけるしかありません。そのため、「すがのクリニック」主催の勉強会に局員が参加させていただいたり、薬局内でメーカー主催の新薬などの説明会や勉強会も行っています。


日々の疑問から研究テーマを設定し、学会でも発表
—知識を得るために先生ご自身で研究をされ、学会でも毎年発表を行っていると伺いました。

熊谷先生:
 通常業務の中で疑問に思ったことや、研究したら面白いだろうと感じたことを常に頭に入れておき、緊急性の高いものから優先して研究します。一昨年の学会では、薬をうまく飲み込めないという患者さんのための「簡易懸濁法と粉砕法の比較実験調査」を、昨年は「抗精神病薬と下剤投与量の相関調査」を発表しました。精神科の患者さんは抗精神病薬の副作用でもある便秘対策に下剤をたくさん飲んでいる方が多いので、下剤の量をできるだけ少なくできるように抗精神病薬と下剤投与量の関係を調べ、服薬指導に生かしたいと考えたためです。


—今年はどのようなテーマなのでしょうか?

嘔吐物処理の体験実習熊谷先生:
 「嘔吐物処理と感染症予防」です。毎年、研修をしてから学会発表を行うのですが、今年の局内の実習では、片栗粉を水で溶かして食紅で着色したものを嘔吐物に見立てて、二次感染を防ぎつつきれいにふき取ることがいかに大変かを局員で体験しました。その上で、効率的で確実な処理の手順をマニュアル化し、そのマニュアルをもとに全員ができるように徹底します。この実習は、「すがのクリニック」でも実施し、医師や看護師の皆さんにも体験していただきました。嘔吐物の処理は、重要な作業ですが正しい方法は意外と知られていないものです。嘔吐物をただ拭きとっただけでは逆にウイルスを拡散し、感染の原因になりますので、処理に当たる際の服装や消毒方法などを具体的に示すことで意識づけを行いました。


—一般に精神科の患者さんは治療の中断と症状の再燃が問題とされますが、先生が服薬指導で特に気をつけているのはどのような点でしょうか。

熊谷先生:
 仰る通り、「つい忘れてしまう」「飲みたくない」「飲む気がしない」「飲まなくても寝られる」からと、薬を飲まずに症状の再発を繰り返すケースは結構多くあります。ですから、服薬を中断するリスクはしつこいくらいに何度も説明します。また、ハイリスク薬も多いため、患者さんが間違って飲んでしまうと大変危険です。残薬がないか、飲みすぎていないかを毎週チェックし、時には自宅まで伺ってチェックすることもあります。
 さらに、患者さんの中には薬や疾患に対する理解力が低い方がいます。一般的に、薬はPTPシートにてお渡ししますが、それでは飲んでもらえないこともあるため、「朝に飲む分」「昼に飲む分」「夕に飲む分」にそれぞれ一包化してお渡ししています。それでも飲めない方には、「お薬ボード」というものを作って、いつ何を飲むかを書き、薬をテープで留め、日めくりカレンダーのように使うことで服薬コンプライアンスを高めるように工夫しています。

 
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