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保険薬局トレンドリポート

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医療機関、薬剤師会など地域との連携が復興の一歩に

総合メディカル株式会社 岩手秋田ブロック ブロック長 末松 善雄 先生 そうごう薬局 高田店 薬局長 増田 清佳 先生  
総合メディカル株式会社 岩手秋田ブロック ブロック長
末松 善雄 先生(写真左)
 
そうごう薬局 高田店 薬局長
増田 清佳 先生(写真右)
 
 
(岩手県陸前高田市)
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、多くの調剤薬局も地震や津波の被害を受けました。今回ご紹介する「そうごう薬局高田店」は岩手県陸前高田市の中心地にあり、県立高田病院の門前薬局でしたが店舗は津波で流失。それでも、薬剤師たちは医薬品の知識を活かして被災地でボランティア活動にあたり、3週間後には市内のコミュニティーセンターで仮設店舗を再開し、医療支援をはじめました。2011年8月には移設して新店舗がオープン。以前から地域連携が盛んだったという同店での震災時の様子やその後の活動についてお話を伺いました。
店舗流出するも調剤業務を再開
—震災時の高田店での様子についてお聞かせ願えますか

増田先生:
 当時、店舗にいた薬剤師は津波警報を受けて、目の前にある高田病院の屋上に避難をし、一夜を過ごしたそうです。避難をする際、当時の薬局長が患者さんの薬歴や処方データ、保険情報などのバックアップデータを持ち出したことが、震災後の医療支援にとても役立ちました。


—震災後は、高台にあって被災を免れた米崎コミュニティーセンターで仮設店舗を再開させたそうですね

末松先生:
 米崎コミュニティーセンターでは震災直後から高田病院の先生方が医療活動を行っていました。その後、全国からの医療支援により高田病院を中心とした医療チームが整い、4月4日には私たちもセンター内で県外の薬剤師会からの支援、近隣薬局の協力のもと営業を再開することができました。営業再開については、岩手県や保健所、薬剤師会から当薬局に協力依頼があったことがきっかけです。


—震災後間もない中での再開は、何かとご苦労もあったのではないでしょうか

そうごう薬局 高田店 増田先生:
 薬剤師4名、事務3名での再出発でした。以前の患者さんについては、薬局長が持って避難したデータを参考に医療に役立てました。そのほか、患者さんの多くがお薬手帳をお持ちになったことにとても驚きました。


—高田地区ではお薬手帳が以前から浸透していたのですね

増田先生:
 震災以前から、6~7割の患者さんはお薬手帳をお持ちになっていて、中には被災した家の中から、泥だらけの手帳を探し出し持ってきて下さった方もいらっしゃいます。お薬はなくなってしまっても、お薬手帳や保管データでどんな薬を処方されていたかがすぐに分かったことが、患者さんに安心感を与えることになりました。

末松先生:
 お薬手帳も以前からの薬剤師会の積極的な働きかけで、市民に浸透したものでした。今回のことでその重要性を再認識しました。患者さんが、「手帳があって本当によかった」と話されるのを私も何度か耳にしました。


薬を配布しながら被災者の心情を痛感
—店舗営業のほか、ボランティアでの医療支援も行ったそうですね

増田先生:
 震災後間もなくして、薬剤師会の呼びかけにより、地域の薬剤師、支援の薬剤師が分担し、支援物資として届けられたOTCを仕分けし、組み合わせてセットにし、仮設住宅を一軒ずつ回ってお届けしました。すべての仮設住宅を回るのに半年近くかかりましたが、多くの方が「お薬もありがたいけど、こうして人と話すことで気が紛れる」とおっしゃってくださいました。中には、震災で突然独りぼっちになってしまい、周りは誰も知らない人ばかりで今日はじめて人としゃべったという方もありました。また、仮設住宅に入っていない被災者を対象に、公民館でOTCを配ったり、お薬の相談会も行いました。こうしたボランティア活動の窓口はすべて薬剤師会になっており、市民の皆さんへは市から広報もしてもらいました。


—店舗営業と並行して、こうしたボランティア活動を薬剤師会が中心となって行っていたのですね

増田先生:
 薬の配布は平日の夕方や休日に、薬剤師が交代で各仮設住宅を回りました。また、陸前高田と大船渡が同じ薬剤師会に属しているため、この両市は休みの日に公民館で薬の配布と相談会を行いました。被災者の方たちとの何気ない会話のなかから、震災時のことをぽつりぽつりと話し始め、体調が悪いことを打ち明けてくださる方もいました。薬剤師という仕事を通して、被災者の皆さんに少しでも寄り添えたのかな、と思える体験でもありましたね。


—被災者の方々や患者さんとの関わりのなかで印象に残っていることはどんなことですか

増田先生:
 震災の翌週には、小児科の先生と一緒に宮城県の志津川(南三陸町)に行ったのですが、水道が復旧せず、衛生面に問題を抱えるなかでの小児薬の服薬指導は通常とは違う工夫が必要でした。普段、当たり前のように渡していた薬が、本当に命を救うものなのだと実感でき、患者さんにとって薬がどれだけ大事なものなのかを改めて知ることができましたね。その一方で、「眠れないから睡眠薬をもらったけれど、飲んでまた地震や津波がきたときに、起きられず逃げられなかったらどうしよう」と訴えられるなど、皆さんの不安も同時に思い知りました。


 
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