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保険薬局トレンドリポート

保険薬局トレンドリポート

機器の導入や親身な対応で患者さまの健康管理や治療を支援

アイン薬局川崎店
薬局長
松山 麻衣子 先生
 
アイン薬局川崎店
薬局長
松山 麻衣子 先生
 
 
 
(神奈川県川崎市)
機器導入が患者さまとの距離を縮める手助けに
—貴店では尿糖試験紙の啓発活動も行われているそうですね

松山先生:
 尿糖試験紙は、尿中の糖分を測るものです。糖尿病や予備軍の患者さまにとっていちばんいけないのは、血糖値が急激に上がることですから、それを防ぐために食後に尿糖試験紙を使って糖度を測り、血糖値の上昇を把握することができれば、正しい食生活が行われているかの自己判断が容易になります。

店内の様子服薬指導


—川崎店では今年4月にSpO2測定器を導入し、薬局内で血液内の酸素飽和濃度測定が可能になったそうですね

松山先生:
 導入に先立ち、当社主催のバイタルサインチェック研修会に局員が参加し、検脈、聴診器、血圧計、SpO2の測定を実際に体験しました。その結果、呼吸器疾患の患者さまの服薬指導時に活用できるSpO2を「ぜひ川崎店でも測りたい」という声があがり、導入を決めました。測定の際には薬剤師が患者さまの指に器具をセットし、データは患者さまのお薬手帳に貼り付けます。薬剤師のなかには、医師や看護師と違って患者さまの身体に触れてはならないという意識が強い人もいるのですが、こうして指先だけでも患者さまに触れながら、「数値が良くなりましたね!」「どのように生活が変わりましたか?」「数値が急に落ちていますが風邪などひいていませんか?」などの会話をすることで、患者さまと薬剤師の距離感が縮まり、スムーズな服薬指導につながっています。


—実際に、薬剤師もフィジカルアセスメントをという世の中の動きがありますが

健康チェックコーナー 松山先生:
 たしかに研修で聴診器を使って心音や呼吸音などを聴いたり、実際にSpO2を測定していますが、それは診断目的というより「医薬品の適正使用」と「医療の安全確保」の為と位置づけています。実は先日、病院帰りで明らかに体調の優れない患者さまがいらっしゃったので、SpO2を測ると極端に数値が落ちていたんです。病院に電話をし、SpO2の数値をお伝えすると、先生から「すぐに病院に戻るよう伝えてください」と指示を頂きました。これも電話越しに、見た目だけの様子を伝えるのではなく、実際の数値をお伝えできたからこそだと思いました。


患者さまへの接近と治療へのモチベーションの相乗効果を実現
—調剤に留まらない新たな取り組みや機器の導入が、患者さまだけではなく病院の先生や看護師さんとの信頼関係も築く一因になっているのですね

松山先生:
 最大の成果は、患者さまと話すきっかけが増え、健康状態に一歩踏み込めるようになり、本来の目的である正しい服薬指導ができるようになったことです。ある糖尿病の患者さまは、服薬指導をしようとしても、いつも「分かっているから」で聞く耳を持とうとされませんでした。そこで、尿糖試験紙を紹介すると、「これまで糖分を測定するには針を刺す方法しかないと思い、それが嫌で検査を避けていた」というのです。これを機にご自身の健康状態について話してくださるようになり、家族に「いびきがうるさい」と言われることも発覚したため、念のために近くの睡眠時無呼吸症候群専門の病院をご紹介しました。すぐに受診されたらしく、帰りに立ち寄られ「やはり病気でした」と。このときは患者さまのお役に立てて本当によかったと心から思えました。


—そうした結果も、患者さまに真摯に向き合う薬剤師の皆さんの姿勢とモチベーションの高さがあってのことです

松山先生:
 3年前のアンケートを機に、「患者さまのためになることはないか」「何かこちらから聞き取れることはないか」という局員の意識がぐんぐんと高まっていきました。現在、2週間に1回、土曜の午後に薬剤師全員が集まりミーティングを行っています。ミーティングでは意見や質問、提案が活発に交わされ、予定時間をオーバーすることもあります。そうした活気が店内に広がり、患者さまにも伝わっている気がします。患者さまのなかには「○○さんいますか?」と薬剤師を指名される方もいて、信頼関係が築けてきているんだなと感じています。

—今後、店舗としての展開で考えていらっしゃることがあれば、ぜひお聞かせください

松山先生:
 今までもそうですが、特別に革新的なことをしようとは思ってはいません。基本は患者さまのニーズに合った服薬指導や対応をより完璧に行えるようにすること。そのために、サービス面や待合室の環境を整え、こちらから患者さまに働きかける努力が必要です。そのどれか1つが突出して「次の世代の薬剤師はこうあるべき」と考えるのではなく、多角的な取り組みの一つでも患者さまの心の琴線に触れて、「もう少し頑張って治療を続けてみよう」、「生活習慣を変えていこう」という患者さま自身の意識が働いて、治療に前向きになってもらえれば本望です。そのためにも、薬剤師が様々な知識を得て、正確に役立てることが重要で、その次のステップとして、在宅支援など地域医療に働きかけることも可能になってくるのだと思います。


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