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novの特性・臨床成績など

特性(特徴)、開発の経緯、警告・禁忌を含む使用上の注意などを医療関係者の皆様に向けてご紹介

ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)Ⅱ型

※警告・禁忌を含む使用上の注意の詳細につきましては、最新の添付文書をご参照ください。

ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)Ⅱ型における血栓症の発症抑制

(1)試験方法(多施設共同・非盲検・非対照試験)

概要

ARG-J試験(医師主導治験)は、海外におけるHITおよびHITTS(HIT with thrombosis syndrome)患者を対象とした臨床試験であるARG911試験の実施計画に準じて実施された。
HIT患者に対するアルガトロバンの血栓塞栓症の予防および治療効果を確認するため、ヘパリン投与後に血栓塞栓症を合併したHIT患者をHITTS、血栓塞栓症を合併していない患者をHITとして、国内でARG-J試験が実施された。

対象

HITまたはHITTSの患者
HITまたはHITTSの診断基準に該当するもの、またはヘパリン起因性血小板減少に関する陽性検査所見を有する患者

HITの診断基準

以下の基準を満たす患者

  • ヘパリン投与後、血小板数が投与前値比50%以上減少または10万/μL以下に減少
  • 他に明らかな血小板減少の原因が認められない

HITTSの診断基準

  • HITの診断基準を満たし、かつヘパリン投与後に適切な画像診断(血管超音波、血管造影など)により動脈もしくは静脈に血栓が観察された患者あるいは心筋梗塞、脳梗塞、肺塞栓症、その他の血管閉塞症(脈拍触知不能、冷感、四肢のチアノーゼ等)等の臨床所見を示す血栓塞栓症を発症している患者

ヘパリン惹起血小板凝集検査、抗PF4/ヘパリン複合体抗体検査等の陽性検査所見が記載された既往のあるHIT/HITTSの患者は、ヘパリン投与による血小板減少が確認されない場合でも選択可能とする。

患者背景

解析対象例数   HIT患者
6例
HITTS患者
2例
性別 男性/女性 3/3 1/1
年齢(歳) Mean±SD 68.5±9.8 74.5±2.1
体重(Kg) Mean±SD 60.40±8.61 62.55±17.61
HIT抗体検査
[治験薬投与開始前]
陽性/陰性 2/4 2/0
ヘパリン投与開始前血小板数
(×104/μL)
例数
Mean±SD
5
26.56±11.01
2
19.40±3.25
ヘパリン投与後血小板数の最低値
(×104/μL)
例数
Mean±SD
5
3.92±3.73
2
1.35±0.21
HIT/HITTS既往歴 HIT/HITTSの既往 2/0 0/0
他の既往歴 肝機能障害 1 1
ヘパリン使用歴
[治験薬投与開始6週間以内]
なし/あり 1/5 0/2

※ HIT/HITTS既往例として登録された患者2例のうち1例のデータを含む。

投与方法

開始用量 アルガトロバン水和物として0.7μg/kg/分で開始し、持続注入する。ただし、肝機能障害患者や出血のリスクのある患者に対しては、開始用量を0.2μg/kg/分とする。
用量調節 投与開始約2時間後にaPTTを測定し用量を調節する(ただし、10μg/kg/分を上限とする)。aPTTが基準値(投与前値)の1.5~3.0倍で、100秒以下となるように用量を調整する。肝機能障害がある場合、もしくは出血のリスクのある場合には、さらに4時間後(投与開始後6時間)にも再度aPTTを測定し再度用量調節を行う。投与量変更後は約2時間後にaPTTを測定し、aPTTが基準値(投与前値)の1.5~3.0倍で、100秒以下となるように用量を調節する。。
投与期間 最長14日間。経口抗凝固療法への切り替えができない場合は、最長42日間まで可とした。投与開始から投与終了後30日までの有効性及び安全性が評価された。

個々の症例のアルガトロバン水和物投与量

開始投与量
(μg/kg/分)
抗凝固療法達成時
投与量
(μg/kg/分)
血小板数回復時
投与量
(μg/kg/分)
最高投与量
(μg/kg/分)
aPTTの投与前値からの
延長率
[最低値(倍)-最大値(倍)]
0.7 0.7 2.1 2.1 1.12-2.70
0.7 0.7 ※2 0.7 1.57-2.21
0.7 0.7 ※2 1.2 0.94-2.25
0.2 未達成 未回復 0.2 1.19-1.33
0.7 0.7 0.7 2.2 1.22-2.32
0.2 0.2 0.35 0.35 45.0秒-69.3秒※3
0.2※1 0.2 0.15 0.7 1.44-2.94
0.7※1 0.7 0.75 0.75 2.04-3.25

※1:HITTS患者
※2:登録時に血小板減少が認められなかった為「血小板数の回復」の評価を行わなかった。
※3:ヘパリン非投与下でのaPTT測定が実施できなかったため、aPTT50-80秒で用量調節を行った。

(2)結果

有効性評価

主要評価項目である「すべての原因による死亡、四肢切断および新規血栓塞栓症の発生」において、アルガトロバン投与の効果が認められた。また、アルガトロバン投与後、血小板数が回復し、抗凝固療法が達成された。

1)主要評価項目

複合評価項目:すべての原因による死亡、四肢切断および新規血栓塞栓症の発生

本剤投与後、8例中7例において複合評価項目の発現が認められなかった。残り1例においては本剤投与2日後に新規の四肢動脈血栓症を認めたが、本剤の投与を継続した結果(投与期間10日間)、処置を行うことなく投与10日後に軽快した。

  HIT患者 HITTS患者
n=6 n=2
発現例数 発現割合の
95%信頼区間
発現例数 発現割合の
95%信頼区間
複合評価項目(すべて
の原因による死亡、四肢
切断および新規血栓塞
栓症の発生)
1/6 (0.4, 64.1) 0/2 (0.0, 84.2)

2)副次評価項目

①血小板数の回復
本剤投与3日以内で血小板数が回復した患者の例数は、HIT患者では2/4例、HITTS患者では0/2例であった。投与期間内で血小板数が回復した患者の例数は、HIT患者では3/4例、HITTS患者では2/2例であった。

  HIT患者 HITTS患者
n=4 n=2
回復例数 回復割合の
95%信頼区内
回復例数 回復割合の
95%信頼区内
投与3日以内 2/4 (6.8, 93.2) 0/2 (0.0, 84.2)
投与期間内 3/4 (19.4, 99.4) 2/2 (15.8, 100.0)

※HIT/HITTS既往例として登録された患者は血小板減少が認められなかった為、評価を行わなかった。

血小板数の回復の定義

  • 投与前値が10万/μL未満の場合、治験薬投与開始後、血小板数が10万/μL以上への増加
  • 投与前値が10万/μL以上の場合、治験薬投与開始後、血小板数が投与前値と同レベルまたは増加

(参考)各症例における血小板数の推移

(参考)各症例における血小板数の推移

②抗凝固療法の達成
本剤初回投与時に抗凝固療法を達成した患者の例数は、HIT患者では4/6例、HITTS患者では2/2例であった。投与期間内に抗凝固療法を達成した患者の例数は、HIT患者では5/6例、HITTS患者では2/2例であった。

  HIT患者 HITTS患者
n=6 n=2
達成例数 達成割合の
95%信頼区間
達成例数 達成割合の
95%信頼区間
初回投与時 4/6 (22.3, 95.7) 2/2 (15.8, 100.0)
投与期間内 5/6 (35.9, 99.6) 2/2 (15.8, 100.0)

※投与後2時間以降の最初に測定されたaPTT が投与前値の1.5倍以上延長した場合に達成とした。HIT患者の未達成例2例のうち1例は投与後1時間56分の測定値(達成)があり、このデータを含めると達成は5/6例となる。

抗凝固療法の達成の定義
aPTTが基準値(投与前値)の1.5倍以上延長する

(3)安全性

1)出血(大出血および小出血)

HIT患者において、大出血(頭蓋内出血)が1例、小出血が2例5件に認められた。

性別
年齢
有害事象名
(出血分類)
重症度 発現時
投与量
(μg/kg/分)
治療薬の
処置
その他の
処置
発現時期
(発現日ー
投与開始日)
因果関係 転帰
女 性
70歳代
鼻出血
(小出血)
軽度 0.7 変更せず なし 2 おそらく
関連あり
回復
術中出血
(小出血)
中程度 投与してない なし 5 関連あるかも
しれない
回復
男 性
70歳代
点状出血
(小出血)
軽度 0.2 変更せず なし 0 関連あるかも
しれない
軽快
結膜出血
(小出血)
軽度 0.2 変更せず なし 0 関連あるかも
しれない
軽快
喀血
(小出血)
軽度 0.2 変更せず なし 0 関連あるかも
しれない
軽快
頭蓋内出血
(大出血)
高度 0.2 中止 血小板輸血
ステロイド
パルス療法
2 関連あるかも
しれない
軽快

出血の定義

<大出血>

  • 顕在的で2g/dL以上のヘモグロビン減少又は4単位を超える赤血球輸血が必要とされる出血
  • 頭蓋内出血、後腹膜腔内出血、関節内への出血

<小出血>

  • 2g/dL未満のヘモグロビン減少を伴う顕在的出血
  • 4単位以下の赤血球輸血が必要とされる出血
  • 治験薬投与の中断に至る挫傷

2)副作用

ARG-J試験では8例中6例に出血関連の副作用6件、肝障害4件、皮疹2件などの副作用が報告された。

  HIT HITTS
症例数 6例 2例
副作用 4例15件 2例3件
出血性副作用
大出血
小出血
2例6件
1例1件
2例5件


その他の副作用 4例9件 2例3件

申請資料

疾患情報「ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)Ⅱ型」へ

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